【2021年・第19回「このミステリーがすごい! 大賞」文庫グランプリ受賞作】甘美なる誘拐 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 322
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299014924

作品紹介・あらすじ

第19回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作! ヤクザの下っ端二人組、真二と悠人。人使いの荒い上司にこき使われる彼らの冴えない日常は、ある日、他殺体を発見したことで変わり始める。同じ頃、下町で自動車部品店を経営する植草父娘は、地上げ屋による嫌がらせで廃業に追い込まれかけていた。抵抗するため、父娘はある人物を頼るが……。一方、宗教団体・ニルヴァーナでは、教祖の孫娘が誘拐される事件が起きていた。様々な人物や事件が、衝撃のラストに帰結する、誘拐ミステリーの新機軸!

感想・レビュー・書評

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  • 会話文と情景描写のバランスが良くて読みやすい。理詰めミステリでよくある淡々とした感じとは違う、好みな感じだった。
    展開、人物のやり取り、疾走感のある筆致、とにかく面白かった!最後の最後までどう終わるのか予想がつかずドキドキしながら読んだ。

  • ヤクザの麦山組が経営する会社・新明興業に社員としている真二と悠人。ある日、組長の友人(金貸し)に会おうとすると、そこには死体が。他にも、自営業の親子が詐欺に遭ったり、宗教団体の孫娘を誘拐しようと計画を立てたりと様々な事件が後半に絡み合ってくる。


    第19回の「このミステリーがすごい」大賞で文庫グランプリを受賞した作品です。

    題名の通り、誘拐を企てて、実行するシーンはもちろん描いていますが、それだけでなく詐欺や殺人といった一見関係のない出来事が次々と登場します。それが話の後半になって、どのようにして集結していくのか。後半になるにつれて、まだバラバラだけど大丈夫かな?と思っていましたが、最後の章で一気に回収していくので、痛快でした。

    主人公は、ヤクザの下っ端の真二と悠人ですが、サブストーリーとして、部品店を営む親子と警察の物語がちょこちょこ挟み込んでいきます。

    誘拐の話は中盤あたりで、前半は主に詐欺や殺人事件を描いています。なので、前半あたりで、誘拐の話がなく、別々の物語が同時進行で進むので、予測不能でした。
    ヤクザをメインに描いていますが、暴力といったシーンは特になく、シリアスよりもコミカルさが優っていて、愛らしさもあって、面白かったです。

    誘拐のシーンですが、宗教団体側と犯人側の2つの視点があります。実行の裏側でどのように繰り広げていたのか、本編とメイキングのような楽しみ方ができ、ハラハラ感もあって楽しめました。

    そして、誘拐の結末、殺人事件の真相、詐欺にあった親子の運命。これがどう絡んでいくのか。先の見えない展開に不安もありながらも、最後は人情も加わって、痛快でした。

    小説ならではの楽しみ方があり、映像化すると、これは楽しみが半減するのでは?と思うくらい、色んな仕掛けが施されていて、驚きでした。読むにつれて、なんとなくこうなのでは?という展開を想像を膨らませていましたが、想像以上で面白かったです。

    作者は現役の医師ということで、そういった知識は散りばめられていませんが、話の展開が面白く、今後どのような作品を書くか楽しみです。

  • このミス大賞受賞作。
    …だから手に取ったわけじゃないんだけどw
    初めて読む作家さんだけどライトに楽しめるかなーと思って買った。
    まぁそういう時はハズレも多いのだけれどw今回は大当たり。この作家さん、これからも追っかけようっと。ついったやってるらしいのでそっちも。

    ヤクザ(未満)にチンピラ二人に好感触。
    何も考えてなくて、突拍子もないこと言い出す軽い奴…に見えて有言実行しちゃう悠人がかっこよかった。はちゃめちゃで危なっかしいんだけどキモは掴んでるみたいな。

    それに生々しいのは出てこないし、まぁ上層部になったらそれだけじゃ済まないのかもしれないけれども、とりあえずこっち側で出てくる人たちみんな「まとも」。
    意外に春香のおばあちゃんも「まとも」だったし。

    しかし最初のコールタール撒き散らし事件でさえも彼の仕業だったとは…!

    種明かし編になったら、ちょ待って嘘どっから騙されてた?!って。でも小気味よかった。小さなエピソードも気をつけて読んでいたのにそんな意味があったとは…!

    お父さんに残した手紙も変だったのはわかったけど、じゃぁどうやって?これは菜々美だとわかっても、身分証明書も偽って?悠人もグルだったとは思えなかった…!

    あと牛村はどうやっても牛山のビジュアルで脳内再生してしまう。

    宝籤の当選番号を見て当選を知るときの真二の反応がよくわかった。頭ではわかってもそれが意味するところと現実が合致しなくて認めようとしなくて「え?え?」ってなるやつ。

    最初の偽装誘拐の時、車が止まっては進み、止まっては進みやってた意味がわかった時思わず吹き出してしまった。

    ラストもよかった。

    "ごちゃ混ぜでやってみるか、と真二は思った。自分ひとりでメシを食っても腹がふくれるだけだけれど、こうして三人で食えばそれだけで楽しい。人生もひとりより、ごちゃ混ぜの方が楽しそうだ。"

    大きな物語が終わりに差し掛かったとき。
    読んでる方も、どうしたって終幕も雰囲気を感じ取るんだけど、そのタイミングでよくあるのが
    「大団円!」って雰囲気を作り出そうとするような…明るい、浮かれたような空気?

    私はあれが苦手で。
    ドラマとかでもよくあるでしょ。もちろん終わりは明るくていいんだけどわざとらしいというか。
    終わりかたがくどくなるというか…うまくいえないが…どんだけ悪態つくんだ私は…

    今回はそれがなくて、真二がぼんやり思った通りなんとなーくごちゃ混ぜでやって行くのかなって自然に思えたの。このメンバーも飾ってなくて好きだし!

    次回作もチェックしよう!

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