月曜日の抹茶カフェ

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 1500
感想 : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299020284

作品紹介・あらすじ

『木曜日にはココアを』待望の続編!

川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。
その「マーブル・カフェ」が定休日の月曜日に、1度だけ「抹茶カフェ」を開くことに。

ツイていない携帯ショップ店員と愛想のない茶屋問屋の若旦那、妻を怒らせてしまった夫とランジェリーショップのデザイナー兼店主、恋人に別れを告げたばかりのシンガーと実家の祖母と折り合いが悪い紙芝居師、時代に取り残されたと感じている京都老舗和菓子屋の元女将と自分の名字と同じ名前の京菓子を買いにきたサラリーマン……。

この縁は、きっと宝物になる――。

人は知らず知らずのうちに、誰かの背中を押していることに気づく、
一杯の抹茶から始まる、東京と京都をつなぐ12ヵ月の心癒やされるストーリー。

『木曜日にはココアを』のおなじみのメンバーも登場するシリーズ続編です。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは今まで何人の人と繋がってきたでしょうか?

    えっ?何人って言われても…えーっと、家族がいて、友達がいて、そして会社の同僚がいて…XX人くらいかな?と数え出した方、さて、本当にそれでいいのでしょうか?そんな考え方で答えが出るものでしょうか?

    私はブクログの本棚にある通り今までに400数十冊の小説を読んできました。その起点は2019年11月のある日に、たまたま見たテレビ番組のゲストが推薦した言葉に感じるところがあって恩田陸さん「蜜蜂と遠雷」の映画を見たことに遡ります。そしてたまたまブクログという場を知り、同作品のレビューに影響されて小説を手にしたところから、今日に繋がる私の読書人生が始まりました。あなたは今、そんな私が書いたレビューを読んでくださっています。なかなかに気の利いた言葉を綴ることもできませんし、長いだけが取り柄?のこんな私のレビューですが、もしかしたら、そんな中からも何かを感じていただき、今度はあなたの人生に、私が何かしらの影響を与えていく、そんな可能性だってあるかもしれません。

    『人でも物でも、一度でも出会ったらご縁があったってことだ』

    そう、私たちは『縁』という言葉に特別な感情を抱いています。それは、決して直接的な、明示的な関わりだけが全てではありません。無意識のうちに、ほんの些細なことがきっかけで私たちは思った以上に他人の人生に影響を与えていくものです。あなたが強く意識していない事ごとでさえ、他の誰かにとっては人生を変えられるくらいの影響を受けた、そんな風に思われていることだってあるかもしれません。人と人との繋がりというものは思った以上に広く、深く、そして強いものです。

    そんな人と人との思わぬ繋がりに光を当てた作品がここにあります。”人は知らず知らずのうちに、誰かの背中を押していることに気づく”というそんなクレジットで説明されるこの作品。「木曜日にはココアを」で人の優しさに溢れた世界を描きだしてくださった青山美智子さん。この作品は、そんな青山さんが、あの幸せな読後の瞬間が忘れられない、そんなあなたに贈る人の優しさをしみじみと感じる物語です。

    『一月も半ばに差し掛かっているけど、年が明けて初めてのお参りだから、これが実質「初詣」』と、仕事の前に神社にお参りするのは最初の短編の主人公・美保。そんな美保はスケジュールを勘違いし、『休みなのに早番出勤』してしまったことに気づきます。『そのまま帰る気になれず、私はモールをひとまわりした』ものの、買おうと思っていた『ダウンジャケット』が売り切れ、『ファストフード店』では、『ケチャップをこぼしてニットの袖を汚し』てしまい、さらには『ハンカチを忘れてきた』状況に『まったく今日はツイてない』と嘆きます。そんな時、『ふと、マーブル・カフェのことを思い出した』美保。『居心地がよくて、さわやかな好青年の店長がいて』、『もちろん、コーヒーも紅茶も美味しい』という『お気に入りのカフェ』。『ツイてない日は、大好きな店で過ごして気分を上げていかなくちゃ』とお店まで来てふと『今日は月曜日。そういえば、マーブル・カフェの定休日』と、思い出しました。『やっぱりツイてない』と引き返そうとした時に一人の女性が出てきて、『お休みだけど、やってますよ』と言われ扉の前に立つと『マーブル・カフェ』の『「ーブル」の三文字』がマスキングされ『「ッチャ」と書かれている』のに気づきます。『抹茶カフェ?なんの冗談だ』と思いつつ店内に入ると『今日だけ、抹茶カフェなの。抹茶が嫌いじゃなかったら、どうぞ』とマスターに声をかけられます。『奥のテーブル席にカップルが一組』だけの店内で、『いらっしゃいませ』と『和装の男性』に声をかけられメニューを見せられた美和。『濃茶一二〇〇円 薄茶七〇〇円 どちらも和菓子付き』という内容に『えっと、これだけですか』と訊くと『はい』と答えて『あさっての方向を見ている無表情』の男性。『濃茶と薄茶の違いはよくわからない』、『年始の開運祈願』で『ちょっと奮発しよう。自分への応援だ』と思い『じゃあ、濃茶で』と注文した美保。『顔を上げると、ぱっと目が合』いますが、『すごい勢いで顔をそむけ』る男性に、『そんなに嫌がらなくたって』と、『傷ついて気が沈む』美保。そんな時『定休日とか閉店後とかに、時々イベントやってるんだ』と、マスターが話しかけてきました。告知は一切せずに『なりゆきで行くことになった』『知らなかったけどどういうわけか来ちゃった』という人だけで良いと言うマスターに『ご縁、ってことですか』と訊くと『まあ、そうだね』と返すマスターは、『月曜日の抹茶カフェへ、ようこそ!』と笑みをこぼします。そんな時、『お待たせしました、濃茶です。和菓子は寒牡丹となっております』と男性が『黒塗りの盆』を持って戻ってきました。そんな定休日の『マーブル・カフェ』から『縁』で人と人とがどんどん繋がっていく物語が描かれていきます。

    2021年9月9日に刊行された青山美智子さんの六作目となるこの作品。そんな青山さんの作品との出会いは2017年に刊行されたデビュー作であり代表作である「木曜日にはココアを」でした。そんな作品の続編が出るという情報を聞きつけた私。そして、ずっと今日を楽しみにしてきた私。そして、この作品は、刊行日に読んだ初の小説ということで私の読書史に残る歴史的な作品となりました(笑)

    さて、そんなこの作品の前作となる「木曜日にはココアを」では、やがて雇われ店長となる主人公の『僕』が、『なんともほっとする空間だった』というマーブル・カフェを『こんなところにカフェが』と偶然に見つけたことを起点に、人と人とがどんどん繋がって12の短編が”輪”になるように描かれていく物語でした。そんな作品の続編であるこの作品も、前作同様に12の短編から構成されており、さらにその12という数字を活かして『睦月』『如月』…『師走』と一年12ヶ月の季節を順番に追いながらぐるっと一回りするという絶妙な構成がなされています。続編ものは多々あります。そこに読者が期待するのは前作で登場したあの人物はあれからどうなったのだろうという、“登場人物たちのそれから”です。この続編では、謎の人物のまま終わった『マスター』の素性、海外にまで繋がる物語の舞台となったシドニーに縁のある人物、そして、マーブル・カフェのその後といった、読者が続編ものに期待する事ごとがさりげなく描かれていきます。これ以上はネタバレそのものですので、ここまでとしたいと思いますが、続編ものに期待する読者を裏切らない作品であると一言付け加えておきたいと思います。

    そんな前作は『木曜日には、とびきりおいしいココアを彼女に捧げる』と誓う『僕』の強い想いに魅せられていく、『カフェ』を舞台にした物語でした。それに対して、同じ店にも関わらず『定休日とか閉店後とかに、時々イベントやってる』というマスターの意向もあって、京都の老舗お茶屋『福居堂』のひとり息子が定休日である月曜日に登場します。そして、彼が淹れたお茶を飲むことになった携帯ショップ店員の美保が登場する場面が起点となって物語は展開していきます。『濃茶一千二〇〇円』『薄茶七〇〇円』と二つからメニューを選ぶシチュエーションがあったとしたらあなたならどうするでしょうか?そもそもこの二種類の抹茶の違いをご存知でしょうか?『どろりとした質感でペンキみたいだ』という『濃茶』を初めて飲んで『強烈。苦いとか渋いとかじゃない』と衝撃を受ける美保は『お菓子、先に食べるんだよ』とマスターに指摘され、あわてて『寒牡丹』を口にします。そんな展開から始まる物語は、同じ店であっても前作とは全く異なる”和”の様相を見せていきます。前作はシドニーへと舞台が飛びました。それは、『カフェ』だからこその自然さでしたが、この作品では、もうこれしかない!という感じで京都へと舞台が繋がっていきます。そんなこの作品の最後には『京ことば監修 こばやしあきこ』という記載が出てきます。京都が舞台、しかもそこに登場するのはある人から繋がる82歳の女性ということもあって、見事な『京ことば』が語られます。シドニーで新聞記者もされていた経歴から前作での自然なシドニーの街並みの描写を見せてくださった青山さん。一方で京都には経歴上ご縁はないようですので、その担保としてこういった専門家の監修を受けて作品の質を確保されるところなど、青山さんの作品へのこだわりを感じました。また、物語では、『茶筅をジグザグと素早く動かしたあと、大きな泡をつぶすようにそっと表面をなで』、『もう一度、すっと深く差し入れ』、『最後に、のの字を書いてゆっくり引きます』といった抹茶を淹れる場面の描写や、『白いういろうを三角に切って、氷に見立てたんどす』と紹介されていく和菓子・水無月の描写など、「月曜日の抹茶カフェ」という書名から期待される飲食の描写も魅力の一つで、これから読まれる方には是非このあたりの展開にも期待していただきたいと思います。

    そんな”和”にこだわったこの作品の一番の魅力が”輪”です。この作品は『マーブル・カフェ』を起点に、場所を変えても繋がっていく連作短編の形式を取っています。一般的に連作短編というと何かしら一つの集団の中の人から人へと視点が移っていきますが、この作品では、年齢、場所等を超えてさまざまな人物(実は、今回は人物以外にも視点が移動します!お楽しみに(笑))へと視点が移動していきます。その繋がり感は、一般的な連作短編の考え方からは大きく突き抜けたものです。えっ、そんな関わり?というような、普通には見逃してしまいそうな、大きく意味があるとは思えないような繋がりへと広がっていくこの作品。それこそが前作の正当な続編の証、この作品最大の魅力でもあります。

    『さかのぼっていくと、繋がっている手がどこまでも無数に増えていくんだ。どの手がひとつでも離れていたら、ここにはたどりつけなかった』

    というように、私たちは明確に意識する以上に、さまざまな人との繋がりを元にして毎日を生きています。たまたま一本電車を乗り過ごしてしまったことで、たまたまいつもと違う道を通ったことで、そしてたまたまちょっとした親切をしたことで…と、強く意識にも残らない些細なことでさえ、今のあなたを作り出しているのはそんなさまざまな場面での人と人との繋がりの集合体です。

    『一番素晴らしいのは、遠いところで手を繋いできた人たちが、自分がどこかで誰かを幸せにしてるかもしれないなんてまったくわかってない』

    そして、

    『自分の身の回りのことに取り組んだ産物が、あずかり知らぬ他人を動かした』

    人と人との繋がりはその繋がりを作る個々人の中に明確に意識がないということが素晴らしいと、マスターの言葉を通して青山さんは読者に語りかけます。これは実際そうなのだと思います。”あなたの今の幸せは私があの時に○○をしてあげたからだ”といった、その繋がりが強く出過ぎる関係性があるとしたら、それは人と人の繋がりにかえって負担となっていくのではないでしょうか?もちろん、現実にはそんな風に”恩義を感じる”繋がりもあるでしょう。しかし、この世の繋がりの圧倒的大半は、そうではなく、意識にもはっきり残らない、でも確かにその繋がりがあったからこそ今の自分がある、そんな人と人との繋がり、そんな繋がりの存在に気づかせてくれる、それこそがこの作品の最大の魅力だと思いました。

    『縁って、実はとても脆弱なものだと思うんです。どちらかが一度でもぞんざいな扱いをしたら、あっけなくちぎれてしまう』というように私たちはさまざまな『縁』を起点に広がっていく人と人との繋がりの上に生きています。そんな『縁』は決して、年齢や立場などの壁で仕切られるものではありません。意識の中にある繋がり以外に、日々関わりあっていく、日々広がっていく、そして日々繋がっていく私たち。そんな私たちの周りに存在する”繋がりの輪”に光を当てたこの作品。

    青山さんらしく、優しく、穏やかに、そして思った以上に深く掘り下げられていく物語の中に人と人との繋がりの素晴らしさを改めて感じた、そんな作品でした。

    • nikuさん
      こんにちは、初めまして。ちょうど今日この本のことを知って、読みたいと思っておりました。
      レビューを拝読してますます読んでみたくなりました。
      こんにちは、初めまして。ちょうど今日この本のことを知って、読みたいと思っておりました。
      レビューを拝読してますます読んでみたくなりました。
      2021/09/11
    • さてさてさん
      nikuさん、こんにちは。
      前作の「木曜日にはココアを」をお読みになられたんですね。私は前作を読んで一年ほど間が空いてしまいましたが、この...
      nikuさん、こんにちは。
      前作の「木曜日にはココアを」をお読みになられたんですね。私は前作を読んで一年ほど間が空いてしまいましたが、この続編は続編ものの良さを存分に感じさせてくれる素晴らしい作品だと思いますので、マーブル・カフェの記憶が鮮明なうちに是非お読みになられることをお勧めします。「木曜日にはココアを」同様に幸せな読後が、特に12話は絶品ですので堪能いただけたらと思います。
      今後ともよろしくお願いします!
      2021/09/11
  • 『木曜日にはココアを』に続き、マーブル・カフェを起点とした短篇連作。12ヶ月それぞれの月に1人の主人公が登場する。今回の舞台は東京と京都。心温まるストーリーやフレーズに加え、京都の抹茶や老舗の和菓子屋さんなども出てきて、12ヶ月を通じた季節の移ろいと共に落ち着いた和の雰囲気にとても癒される。たくさんの「普通の人」が主人公として登場する青山さんの小説を読むと、自分の日常生活も自分の心の持ちようでいくらでも変えていける、という前向きな思いになる。ほっこりした読後感の一冊。

  • 『木曜日にはココアを』の続編ということで、楽しみにしていたが、1日で読み終えてしまい、少し寂しい気持ちでいる。
    ココアの登場人物たちのその後も描かれていて、「縁」について考えさせられる温かい短編集。
    今回も全員どこかで繋がっていて、いくつもの偶然が積み重なって、出会いはうまれることを教えてくれた。みんな、みんなに育てられているし、みんなを育てている。みんな繋がっている。
    自分もそのうちの一人なんだと思うと、もっと肩の力を抜いて、人と関わっていけそうな気がした。
    細かいことは気にせずに、ひとの温もりを見落とさず、感謝の気持ちを忘れずに、前を向いて歩きたい!

  • この世界にずっと浸っていたかったが、読み終えてしまった...。自身の仕事観、家族観、人生観などと照らし合わせながらパズルのピースを埋めていくように...。
    縁を手繰り寄せるのは日々マイナーチェンジをする自分自身だ!
    過去作を読み返したくなる一冊。

  • 誰かと繋がった背景には、たくさんの縁がつながり合っている。そう思うと今まで見えなかったつながりにも感謝の気持ちが芽生えてきた。そしてまた出会えるために、出会いたい人に誇れる自分でいることで、不思議と繋がっていく。なんだかあったかい。

  • あぁもう好きすぎて読み終わりたくなかった、この世界!

    個人的に小さい時から茶道が身近にあったので、タイトルを見た瞬間、いやもうこれ好きです私と前のめりで読み始めたけど、この前のめりは間違いではなかった。はい、もう、最初から最後まで、好きが詰まってましたよ。

    カフェの定休日に一度だけ開かれた「抹茶カフェ」
    その一度だけのイベントにつながる1年間12か月の物語たち。
    この12の物語の主人公たちが少しずつつながって重なって一つの円になる。
    あぁそうだ、円であり縁でもあるんだね。

    なんだかいろんなことがうまくいかないな、とか、思ったのと違うな、とか、「なんとなく」どんより知ることって誰にでもあるけれど、そんなときにこんな優しい縁で繋がる円の中に自分もいたら。
    それはもうそれだけで明日を信じられるってそんな気がする。

    お抹茶を飲むときにいただく季節を感じさせる和菓子たち。もてなす人ともてなされる人をつなぐ優しい気持ち。
    お濃茶とお薄。季節によっても変わる茶器。作法なんて気にせず、おいしくいただくことが大切。

    知らないところで誰かと誰かがつながっていて、それが自分にもつながっていて。そんな風に考えるだけで今ここにいる自分の存在も大きな円の中にあるんだってそう思う。
    読み終わった後、優しくて温かくて滋味あふれるこの物語たちをそっと胸に抱きしめた。

  • 胸の中のダマになった塊を溶かして、
    泡立つようにふんわりと心が軽くなる。
    そんな心の薬になる一服のような一冊。

    点と点が出会って線になるように、
    人と人とを繋いでいく縁が、
    お互い思いやり尊敬し合い、
    緑のように育っていく。

    柔らかな葉が繁り、深呼吸して心が和らぐ。
    すべてが繋がりきらめいて、
    日常で忘れがちな恵みや幸福に気づかせてくれる。

    甘味も苦味も混ざり合い、
    人生を芳醇な味わいにしてくれる、
    まろやかで味わい深い作品。

    心を癒やす一服のひとときに、
    温かな希望が宿る本です。

  • 喫茶店「マーブル・カフェ」。定休日は月曜日ですが、その日を使って、何か催し物をやっている。この日は、京都の茶問屋の若旦那が開く「抹茶カフェ」。事前告知はないので、お客は閑散としていたが、そこにある客が来店。東京や京都を舞台に色んな人たちが主人公となって、人生をちょっと良くさせてくれる連作短編集。


    「木曜日にはココアを」の続編ということですが、マーブルカフェのマスターや店長が再登場するだけで、あとは新たな登場人物なので、前作を読んでいなくても、普通に楽しめるかと思います。

    京都と東京が舞台で、ほぼ日本人なので、個人的にはこちらの方が読みやすかったです。

    全部で12編で、編毎に主人公が変わります。サブタイトルには月の異名(如月・睦月・弥生など)が載っていて、京都や抹茶など「和」のイメージを際立たせています。

    といっても、話の内容はバラエティに富んでいます。老舗の和菓子屋や紙芝居師といった「和」だけでなく、シンガーやランジェリーショップの店員など色んな人が、何かしらの心の引っかかりを抱えています。

    自分ではなかなか解決できなくても、何かをきっかけに霧が晴れるかのように心が豊かになっていく描写が描かれています。まるでお茶を飲んで、心が潤ったような感覚がありました。

    前作はココアでしたが、今回は抹茶。
    甘味のある話やほろ苦さの味がある話など様々な「お茶」の味を堪能でき、心が和やかになりました。

    一つ一つは独立した話でしたが、読み進めるたびに
    「あれ?この人、今までの話に登場した人」といった再登場する人物もいて、ちょっとした仕掛けが面白かったです。
    なので、次は誰が主人公になるんだろう?といった楽しみ方もできて、心が躍りました。

    結果として、全体が一つの大きな輪のように不思議な縁で繋がれていることにちょっとした嬉しさがありました。
    こうして、考えてみると、知らない人同士で見えない糸のようなもので繋がっていることに世間って狭いなぁとしみじみ感じました。

    ストーリーでは、みんなが幸せに豊かに進んでいます。自分が今抱えている悩みも、いつか霧が晴れてくれたらなと思わずにはいられませんでした。
    縁を大切に頑張りたいと思います。

  • あっという間に読み終えてしまってちょっと寂しいくらいです。
    特に水無月のお話が印象深かったです。
    青山美智子さんの本はどの本も心が温かくなるものばかりで、今日もこの本のおかげでとても気持ちがいいです。ご縁を大切に一日一日過ごしていきたいです。

  • 「木曜日にはココアを」の続編。
    連作短編になっていて、緩やかに繋がっています。
    縁の大切さが身に染みてほっこりします。
    前作に出て来た登場人物のその後も垣間見れてよかったです!
    また続編出たら嬉しいなぁ。

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著者プロフィール

1970年生まれ、愛知県出身。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国、上京。出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。第28回パレットノベル大賞佳作受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が第1回宮崎本大賞を受賞。同作と2作目『猫のお告げは樹の下で』が未来屋小説大賞入賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
『お探し物は図書室まで』より

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