ただいま神様当番 (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社
4.19
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本棚登録 : 7243
感想 : 451
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299028853

作品紹介・あらすじ

『赤と青とエスキース』で2年連続本屋大賞にノミネートされた青山美智子氏の最新文庫。
ある朝、目を覚ますと手首から腕にかけて「神様当番」と太くて大きな文字が書かれていた! 突如目の前に現れた「神様」を名乗るおじいさんの願いを叶えないと、その文字は消えないようで……。「お当番さん、わしを楽しませて」幸せになる順番を待つのに疲れた印刷所の事務員、理解不能な弟にうんざりしている小学生の女の子、SNSでつながった女子にリア充と思われたい男子高校生、大学生の崩れた日本語に悩まされる外国語教師、部下が気に入らないワンマン社長。奇想天外な神様に振り回されていたはずが、いつのまにか彼らの悩みも解決していて……。青山美智子氏が贈る、笑えて泣けるエンタメ小説です。巻末には、大人気ミニチュア写真家であり、本作のカバーを手がけた田中達也氏との対談も収録しています。
2020年7月刊行の単行本『ただいま神様当番』、待望の文庫化です。

感想・レビュー・書評

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  • こちらも会社の先輩にお借りした一冊。お借りした本は早く返さねば!と思うものの、今週は期末決算で超絶忙しく、本を読む気分にはなかなかなれなかった(^◇^;)

    そんな忙しい時に読むにはぴったりの本だった。

    青山先生の本は兎に角読めばほっこりするのは間違いない。
    絶対に失敗しない作家さんの1人だ。

    短編嫌いの私にも読みやすく、短編なのが嫌ではない。


    短編のそれぞれの主人公は、毎朝同じバスに乗り合わせる乗客たち。
    ある朝、バス停に行くと、落とし物と書かれた自分が欲しかったものを拾う。

    気がつくと、腕に大きく活字で『神様当番』という文字が書かれていることに気づく。
    その文字はどんなに洗っても消えない。

    そして神様が現れ、神様のお願いを聞くことになる。


    どのお話も、ほっこり心が温かくなる。
    忙しい日の隙間隙間にはもってこいの物語。

    • アールグレイさん
      マキさん★こんにちは!

      青山美智子さんは私の好きな作家さんです。スピンオフものはともかく、ほとんど読みました。
      にしゃ~あっと笑う神様は、...
      マキさん★こんにちは!

      青山美智子さんは私の好きな作家さんです。スピンオフものはともかく、ほとんど読みました。
      にしゃ~あっと笑う神様は、きっと可愛い神様なんだろうな、と思っています。
      自分のもとに現れたら困ってしまいますけどね。
      (@^^)/~~~
      2023/10/07
    • bmakiさん
      アールグレイさん

      いつも青山さん読まれてますよね(*^▽^*)
      私は自分ではあまり手を出していませんが、多分会社の先輩が好きなのでし...
      アールグレイさん

      いつも青山さん読まれてますよね(*^▽^*)
      私は自分ではあまり手を出していませんが、多分会社の先輩が好きなのでしょうね。いつも貸してもらっております(^^)

      神様、可愛いですよね。
      私は飼ってもいいかなぁ?

      もし私が神様当番になったら、きっと会社の中の発表会とかに手を挙げさせられそう(^◇^;)
      苦手でやりたくないことを克服させられて、階段を一段登るのかなぁ???
      2023/10/07
  • 落ち込んだあと、前向きな気持ちになるには、何かきっかけがあるといい。それは、自分が見つけることだけではなく、誰かが手を差し伸べてくれることもある。そのことに気付けたら、もう一歩踏み出しているのだろう。

  • いやぁ
    これまた良く出来たお話だ♪

    全て心が暖まる。
    朝 同じバス停にいる5人に
    順番に神様が現れ
    とりついた相手に お題を出す【悩みと向き合わせる】

    この神様は、バス利用者の前に現れ
    時間別のバスに乗るのも楽しみにしてるようだ。

    人は一人一人 自分の思い込みの中で生きている
    同じバス停で毎朝見かけてる人達への印象も 全て思い込みだし

    悩みにぶつかってて 回りが見えなくなってる時も大体 自分に見えてる出来事はは自分の思い込みが かなり影響してる

    どのお話も、優しさに溢れ ホッコリしましたが

    最後の福永さんのお話
    少し胸を締め付けられた…
    自分は45ですが、20の時に勤めてた会社で
    社長を裏切った事がある。

    No.2の社長の親戚に【会社をおこす ついてこないか?】と話を持ちかけられ、社員の9割は新しい会社へ行った。

    けどその新会社は簡単にツブレタし
    裏切られた社長は現在 会社をデカクしている。

    前社長も良い人じゃないし
    新社長は勘違い野郎だし
    俺は若くて無知だった。

    現在 頑張って生活出来てるから
    人に迷惑かけてるが 今の状況が正解だと思う
    間違ってても正解にしていく事も大事だと思う

    でも他人に指摘された時は、自尊心が邪魔しても
    自分以外の目線で自分を観察する事、客観視する事を教えてくれてるような本でした。

  • ミニチュア写真家の田中達也さんとの対談が巻末に記載されていて、恥ずかしながら、田中さんを初めて知った。確かに「木曜日にはココアを」の表紙はすごく素敵で、何度もじっとみつめてしまった記憶がある。そうか、あの素敵な表紙にはそんな経緯があったのか、と納得。青山さんと田中さんの仕事への思いの質感が似ていて興味深かったです。

    で、肝心の内容ですが・・・

    う~ん、いい・・・。ほんわかする。青山さんの文章は肩ひじ張らずにリラックスして読める。深く傷ついたり落ち込んだりせずに安心して読める。だからといって、浅い読書とはならない。

    それにしてもどうしてこうも各短編の登場人物たちががうまくゆるく繋がれるんだろう。

    OL
    小学生の女の子
    高校生男子
    イギリス人の大学非常勤講師
    零細企業社長

    の5が収録されている。

    4つ目、リチャードの話のなかで、”Actually、 it is a very difficult problem for me.”を、「ぶっちゃけマジ無理」と学生に訳され、〇にするか×にするか迷う場面なんて、リアリティーがあって、訳とともにうまいと思った。5つの短編の主人公はみんな「坂下」というバス停で顔を合わす仲なのだけど、リチャードとひとつ前の短編の主人公・高校生男子が直接会話をする場面で、その内容が全て前編に通じていてよかった。高校生男子の経験がリチャードの心を動かした。ふたりの心が通い合った。なんて素敵。

    一番好きだったのは最後の零細企業社長・福永の話かな。いや、今時こんな俺様社長もないだろ、と思いつつ、なんだか感情移入してしまう人だった。それは、私の年齢のせいか、私も仕事について悩みを抱えているせいか・・・。裸一貫やり直す気概のある人でほっとした。

    前回の青山作品へのレビューにも書いたけれど、青山作品の何が素敵って登場人物がみな、結局は自分で決めて自分で行動していること。今回は「神様」が、きっかけにはなっているけれど、何かが大きく変わらなくとも、モノの見方ひとつ変えるだけで、自分で自分の周りの世界を変えていけるのだと気づくこと。

    さて、次はどんな優しい世界を見せてくれるのか、青山作品をまだまだ読んでみたいです。

  • 神様は左手にいるけれど、きっと自分の奥の奥にある気持ち

    行動に移せなかったり、気持ちを正直に出せなくてモヤモヤしてたり。

    神様が来てくれたことで、人生が見方が変わっていきます

    神様が左手にいると思って生活したらとても楽しいかも!!

    ミニチュア写真家の田中達也さん!
    お寿司の絵本の人!いつも表紙が素敵だなと思っていたけど全てがつながり、自分の無知がちょっと恥ずかしいです

    対談で語られていた、アイデアを出し惜しみしないって大切だなって思いました!

  • こないかなぁ…お当番さん。
    私のイメージしているこちらの神様はお茶の水博士なんだけどなぁ…アトムの。

    なんて言われるかなぁ…仕事かなぁ、仕事だろうなぁ。。「わし、楽しく働きたい」とか。
    あっ「お金持ちに飼われるネコになりたい」とかかしら。
    もはやただのわたしの願望。

    ちょっとした日々のもやもや、躓きに答えを探させてくれる神様当番。
    今回も、ちょっぴりうるっとして優しい気持ちになれる青山美智子さんの連続短編小説でした。

  • 青山美智子さんの5冊目だが、これも★5つだ。

    脇役で何度か登場する"喜多川葵"と"花屋のお姉さん"がサッパリしていて好きだ。
    あと、男子高校生の話に出てきた女子高校生の"アザミ"も純真無垢で良い。

    人は誰でも毎日の生活環境にうまく溶け込んで、自分の居場所を作り維持するため、少しだけ見栄を張ったり我慢したりしている。
    人それぞれに異なる事情があるので、自分だけに都合がいいように物事は進まない。

    周囲があきれているのに気づかずに、自分の考えを正当化して言動を続けると、しっぺ返しを食らうことがある。
    思い通りにいかない時、自分がダメだなあって反省できるのはいいことだ。

    本当はこうしたいと思っても、これまでの自分の行動は簡単には変えられないものだ。
    変わるためには、きっかけと覚悟が必要。
    そして、一歩踏み出し今までと違う自分をさらけ出した時に、受け入れてくれる人が身近にいてくれることが必要。

    青山美智子さんの作品には、こういう人が自分の近くにいてくれたら、という人物が登場して背中を押してくれたり共感してくれる。
    この物語で、背中を押してくれるのは"神様"だ。

    実際はこういう(神様のような)人が身近になかなかいないから、よそ行きの自分を演じ続けて苦しくなることがよくある。
    自分も他人をそれほど見ていないように、他人も自分のことを親身に見ていないということなんだろう。

    素の自分を他人もそこそこ認めてくれて、自分も他人のいいところを理解して、お互いに成長しながら自然体で暮らしていきたいものだ。

    ###

    表紙の写真にも惹かれるが、これは田中達也さんというミニチュア写真家に頼んでいたことを知った。
    田中達也さんの作品はSNSで見れるのでインスタグラムで観賞した。
    こちらもなかなか良いネ!

  • 青山さんは5冊目。どれも連作短編だが、読んで心が温かくなる作品ばかり。
    神様のイメージは、頭はお茶の水博士だが、服装含めると亀仙人だろうか? お茶目で言動は脱力系。つい笑ってしまう。
    毎朝、同じ時間にバスに乗る5人に順番で当番が回ってくる。それも絶妙に相手が欲しがるものを餌に、当番を割り当てて行く。引っ込み思案だったり、言いたいことをハッキリと言えない人達が、神様の宿題で変わって行く。男子高校生と零細企業社長の内容が特に心に響いた。明るい未来が開けたように思う。

  • 神様なんて非現実的と思いましたが、1つ1つのエピソードはあぁ、こういう気持ちってあるよね…と共感しやすいものが多くありました。自分だったら神様によってどんな気持ちに気付かされるかなと興味はありつつ、でも勝手に手が動くのはちょっとやだなぁと思いました。

    • のんさんさん
      青山作品一気に読まれましたね。私も読みます!
      青山作品一気に読まれましたね。私も読みます!
      2024/03/22
  • 毎朝同じバス停で、同じ時刻に居合わせる、老若男女5人の連作短編。
    彼らの前に突然、白ラインの入ったえんじ色のジャージの上下を来ているおじいさんの神様が現れて、神様の願いごとを叶えてあげる『神様当番』が順番に与えられる。

    自分の幸せが来るのをを待ち望んでいるOL。
    弟のためにお姉ちゃんらしくなろうとしている、健気な小学生の女の子。
    リア充になりたい男子高校生。
    どの願いごとも早く叶えられてほしいと思いながら、一気読みしてしまった。
    ほろっと泣けてくるし、前向きな気持ちになれます。

    4番目の大学非常勤講師のイギリス人の話と、最後の零細企業社長の話が特によかった。

    「お話」は、スピークではなくトーク。
    楽しい会話とは、心のこもった言葉。
    教科書には載っていなかったこと。

    そして、世の中っていうのは、たいがい誰かの落し物でできているのだそうです。
    それを知って、いかなる場合も感謝の気持ちを忘れてはいけないなぁとしみじみ思いました。

    ここに出てくる神様のモデルがいることを知って、なるほど!と思いました。
    巻末の、青山美智子さんと田中達也さんの対談を読んで、前作をもう一度すべて読み直したくなりました。

    • アールグレイさん
      こんばんは★cafeさん

      ――にしゃあ~っと笑う神様。
      「おねがいごと聞いて」と甘える様子が目に浮かびます。
      私は、青山美智子さんの作品が...
      こんばんは★cafeさん

      ――にしゃあ~っと笑う神様。
      「おねがいごと聞いて」と甘える様子が目に浮かびます。
      私は、青山美智子さんの作品が気に入っています。連作短編、青山さんは話の繫がり方が好きです。
      (o^-')b
      2022/07/25
    • m.cafeさん
      アールグレイさん、こんばんは♪

      甘えてくる神様、可愛いかったです!(^^)

      予期せぬ人のつながりに気づくと嬉しくなりますよね(#^.^#...
      アールグレイさん、こんばんは♪

      甘えてくる神様、可愛いかったです!(^^)

      予期せぬ人のつながりに気づくと嬉しくなりますよね(#^.^#)
      2022/07/25
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著者プロフィール

1970年愛知県生まれ。横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国し、上京。出版社で雑誌編集者を経て、執筆活動に入る。第28回「パレットノベル大賞」佳作を受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が、第1回「宮崎本大賞」を受賞する。『お探し物は図書室まで』で2021年「本屋大賞」2位に、『赤と青とエスキース』で2022年「本屋大賞」2位に選ばれる。他の著書に、『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』『月曜日の抹茶カフェ』『マイ・プレゼント』(U-ku氏との共著)『月の立つ林で』『リカバリー・カバヒコ』等がある。

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