- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784299049315
作品紹介・あらすじ
第22回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作!
紀元前1300年代後半、古代エジプト。
死んでミイラにされた神官のセティは、心臓に欠けがあるため冥界の審判を受けることができない。
欠けた心臓を取り戻すために地上に舞い戻ったが、期限は3日。
ミイラのセティは、自分が死んだ事件の捜査を進めるなかで、やがてもうひとつの大きな謎に直面する。
棺に収められた先王のミイラが、密室状態であるピラミッドの玄室から消失し、外の大神殿で発見されたというのだ。
この出来事は、唯一神アテン以外の信仰を禁じた先王が葬儀を否定したことを物語るのか?
タイムリミットが刻々と迫るなか、セティはエジプトを救うため、ミイラ消失事件の真相に挑む!
浪漫に満ちた、空前絶後の本格ミステリー。
【選考委員 大絶賛!】
死者が甦る世界でなければ書けない魅惑的な謎に正面から挑んでいる。
これだけ野心的な設定を用意して、壮大な物語をきちんと着地させた点を高く評価。
このミステリーはたしかにすごい。――大森 望(翻飲家、書評家)
現世に蘇ったミイラが何の違和感もなく受け入れられるあたり、
落語にも似たとぼけた味わいがあり、思わず吹き出しそうになった。
奇想天外な謎作りといい友情溢れる人間関係劇といい大賞の価値あり。――香山二三郎(コラムニスト)
探偵役がミイラ、タイムリミット有り、不可能犯罪のほか謎がちりばめられ、
読ませるポイントが随所に用意されている。
古代エジプトに興味をもてない方々もぜひ読んでほしい。――瀧井朝世(ライター)
感想・レビュー・書評
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冥界から現世に戻って謎を解決? 世界観とバランスが抜群の古代エジプトのミステリー #ファラオの密室
■あらすじ
時代は古代エジプト、主人公である神官セティは亡くなってミイラとなっていた。彼は心臓が欠けていたことから冥界で審判を受けられず、現世に戻って探す必要があったのだ。さらに現世では、先代王のミイラが消失してしまうという事件が発生してしまい…
■きっと読みたくなるレビュー
新人作家先生ながらパワフルな一冊。古代エジプトを舞台に、神々の話を交えながら、現世復活の謎とピラミッドでの不可能犯罪を探っていくミステリー。
なかなか出会ったことのない時代背景だし、生き返ったミイラが主人公って、どんなんだ?!と思いましたが、これが上手なんです。
様々な要素を盛り込んだ小説にも関わらず、ゴチャつかずバランスが取れてるんですよね~ たぶん古代エジプトの世界観をしっかり作り上げているからでしょう、結構無茶な設定やキャラクターもすんなり受け入れられます。すっかり古き異国の時代に浸って楽しませていただきました。
本作のメインテーマとなっているのは宗教と政治。どの国もいつの時代も、人間が一番恐れるのは死というのも同じだし、偉い人が統治のために考えることは同じ。そして犠牲になるのは、立場の弱い人間たちというのも同じですね…
そして謎解きもどう着地するのかと思いきや、終盤一気に展開してくれるんです。復活の謎も密室の謎も、言われて見ればそうだよなって目から鱗。シンプルなんだけど、この物語の不思議な部分をするっと解決してくれます。そして最後は、心地いい気分で満たされました。
■ぜっさん推しポイント
王墓建設のため奴隷として働いている少女カリ。追い詰められた絶望の中で生き抜く姿、そして前向きな行動が忘れられない。こんな小さく弱い少女、少なくとも苦しまずに生活できるような世の中になって欲しいのに、残念ながら行き過ぎた価値観をもち、力で牛耳ろうとする傲慢な人たちが、いまだに存在している。
紀元前1300年から既に3300年以上経過していますが、いつになれば人間は変われるのでしょうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初読みの作家さん、2024年「このミス」大賞受賞作品。
凄く不思議なファンタジーな物語だったが、そもそも古代エジプト自体がミステリーでファンタジーな為、しっかりと馴染む事ができた。
舞台は3300年前の古代エジプト18王朝時代。世界初の一神教を始めたアクエンアテン王、彼の死直後のエジプトの混沌と混乱の中での物語。
アクエンアテン王やネフェルティティ、ツタンカーメンに纏わる番組や雑誌、書籍等を個人的に興味があった為よく観たり読んだりし、この18王朝時代にはある程度の予備知識を持っていたが無くても物語に支障はない。逆をいうと無い方が純粋に物語が楽しめるのではないか?とも感じた。
セティが物語の主人公、セティの死後の裁判の際、心臓に欠けがあるため裁判ができず、それを探す為に現世に戻るという信じがたい物語。
しかし古代エジプトの背景が相まって、なんだかスッキリと受け入れてしまえる。
そこでミイラ職人である親友タレクと奴隷の身でピラミッドの石運びしている少女カリと協力して心臓の欠片探しが始まる。
ファラオの死後、ファラオのミイラが王墓から消えるという事件が起こり、街は混沌中でアテン信仰者達の暴動も過激化していく。その中での捜索と、友情と愛情の物語。
セティの正体と死因などに隠された謎はかなり早い段階で想像ができ、結局その通りだった。しかし先程も書いたが舞台がミステリーな為、物語の面白さはずっと継続される。
古代エジプトの持つミステリーとファンタジーの中に、更にミステリーとファンタジーを組み込んだ様な作品。
とても面白かった。 -
古代エジプトとミステリーの組み合わせが非常に興味深く、新鮮でした。
死者が蘇る等、半ばファンタジーのような世界観ですが、その異質さと現実的なミステリーパートがちぐはぐで面白いです。
肝心の種明かしについては微妙な印象ですが、やはり、この特殊な世界観がなによりの魅力かなと思います。
文量は少なく、さらさら読めます。
休憩の1冊にオススメです。 -
古代エジプトを舞台にしたミステリー。エジプト人の王や神や死に対する考え方も興味深かったし、奴隷のことや、ピラミッド建設中に崩落事故を仕立て上げた方法など、色々想像すると面白かった。
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「このミステリーがすごい!」第22回大賞受賞作。
舞台は古代エジプト。主人公が死んだ所から話はスタート。冥界の審判が心臓が欠けているため、受けることができず。欠けた心臓を取り戻すために、現世に三日間だけ戻ることに。なぜ自分は死んだのか、なぜ心臓は欠けたのか。
また現世では、先王のミイラが密室状態のピラミッドから消失する事件も発生。
といったあらすじ。
初の古代エジプトミステリー。設定は今まで読んできた作品の中にはなく斬新でしたが、謎解きはイマイチ。納得はできませんでした。
大賞作品ということで、期待値が大きかった分残念でした。 -
古代エジプトを舞台としたミステリー小説。読み始めは、登場人物がカナ文字だから読み辛いかなーって思ったけど、意外とスラスラと読み進められた。謎解きも面白かったけれど、神への信仰やピラミッドの作りなど、エジプトを楽しめる内容盛りだくさんだったのが面白かった。
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エジプトの文化/生活、王政/奴隷制、神様/死生観などを感じることが出来る一冊でした。
あの世から復活した主人公を見ても、あたり前のようにそれを受け入れて普通に会話をしているエジプト人の様子が、最初はシュールに感じたのですが、いつの間にか自分もその光景に慣れてしまい、当たり前のように読んでいました。
エジプトという舞台装置とミステリーが上手く融合した作品でした。
変わったミステリーを読みたい方にはおすすめです。他では体験できない世界観を味わいましょう。 -
エジプトが舞台で、カタカナの名前がたくさん登場という、私の苦手がつまった作品。
初めはやっぱり四苦八苦で、何度も登場人物表を眺めながら読んでいたけど、気がついたらミイラ紛失の謎や甦りという独特な世界観に惹き込まれていた。
死から甦ったセティのこちらでの命のリミットは3日。親友のタレク等と共に失われた心臓を探す。
このリミットが迫ってくる感じや、途中で様々なトラブルに巻き込まれる感じに既視感が…
こないだ読んだ本に登場した「走れメロス」だわ。
設定はもちろん違うんだけど、似たようなハラハラドキドキ感を味わえた。
でも、ミステリーという感じはあまりしなかったかも。