分断されるアメリカ (宝島社新書)

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  • 宝島社 (2024年10月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784299061072

作品紹介・あらすじ

アメリカの大統領選が盛り上がりを見せています。カマラ・ハリスが民主党候補になったことで、大統領選の構図は、まさにアメリカの分断を象徴する形となりました。そして、10月4日に映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』が公開されます。アメリカの19州が独立戦争を起こす内戦を描いた映画です。まさにアメリカの分断を象徴する映画です。本書は、アメリカの分断をテーマにした新書です。

感想・レビュー・書評

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  • マイクロターゲティングで個々の有権者の動向を徹底的に洗い出す。例えば、ある人が、これまての5回の大統領選挙で1回も投票した事がなければ、その人のところへは戸別訪問する事はない。ある人が、1回は選挙に行った事があって、それも自政党へ投票していれば、そこをターゲットに戸別訪問する。その人が投票に行って、自政党へいれたかどうかは、一部の郡では選挙を管理する側が投票結果まで見せてくれるところからわかる.そもそも聞き込みを入れるとわかってしまう。これに加え、ネットの書き込みとか、ブローカーから売られているクレジットカードのデータとか、それらを分析していくと、かなり精度の高い人物像がわかる。そして、その人をターゲットに人海戦術でボランティアを送り自政党への投票を促す.ハイテクを使ったドブ板選挙。その結果が例えば、無理やり選挙に連れて行くためにポピュリズム的な政策をアピールする。そして、トランプというポピュリストを生み出した。

  • 2期目を目指す共和党トランプと民主党カマラハリスが戦う大統領選直前の模様です。
    共和党はキリスト教福音派などの保守的な白人に人気。
    民主党は労働組合員やヒスパニック、黒人等のマイノリティに人気。
    トランプ氏が勝利して関税で外国を振り回している今、米国内の様子まで気にしている余裕は正直ありません。
    また「シビルウォーアメリカ最後の日」という映画が紹介されていましたが、タイトル以外褒める所がない駄作です。

  • 2025年、19冊目です。

  • 分断は今に始まったことではなかった。
    現在も分断されており、1980年代からつねに激しく分断している。
    しかし、なおアメリカがバラバラにならないのはなぜか。
    保守もリベラルもやはり、アメリカは強く偉大だと思っているからだろうか。

    分断の原因は何か?
    一つ目は、共和党と民主党における選挙の方法。
    マイクロターゲティングという現代的な手法でその人の志向を把握し、ドブ板選挙を実施する。
    エリートと大衆を対比させ、大衆に迎合する言説で投票行動を促す。

    二つ目は、宗教。
    西部勢力、カルフォルニアとテキサス州にマイノリティや女性が多い。
    一方、南部に企業が移っているため南部の人口が増加している。
    分断の現象的な始まりは、2009年ティーパーティ運動。
    本質的な始まりは、公民権運動1950年代

    福音派とリベラル派の宗教的対立点はどこか?
    中絶、LGBTQ
    民主党のクリントンはアーカンソー、ゴアはテネシーだったが、現在は、同州は民主党全滅。

    バイブルベルト(南部の州)にいる「原理主義者」の政治宗派グループを「福音派」と呼ぶ。
    同じプロテスタントでも白人と黒人では教会が違う。

    以前は、結婚と同時に改宗しなければいけなかったが、現在は、インターフェイスマリッジが増え、宗教の違うモノ同士が結婚可能。

    分断の3つ目の要因は、人種。
    ただ肌の色の違いだけでなく、同じラティーノであっても定住者(セトラー)と移民(ニューカマー)との対立もあり、結果、支持政党の分断に繋がっている。
    黒人優遇策に対する反動があり、白人が差別されていると訴えている。

    社会的、文化的保守層が共和党という基盤を持って、近年極めて組織化されてきている。

    三つ目は政治的要因。
    保守派が復権を目指す中で積極的に作り上げた。
    また、保守もリベラルも富裕層が高度に組織化されて潤沢な資金が流れ込む仕組みができている。

    分断の要因、4つ目は、シンクタンク。
    保守派に鞍替えするシンクタンクもある。
    シンクタンクが拡大した理由は、一つが官僚制における政治的任用制度の影響、そして、二つ目が財政的要因として、非営利団体への優遇税制が挙げられる。

    5つ目は、労働組合。
    労働組合の組織率は下がっているものの、投票率は女性の方が高いため、ヒスパニックと女性の社会進出により、労働組合の影響力が高まり、結果、リベラルとの親和性が高まった。
    ただ、労働組合が直接の分断の要因ではない。
    しかし、共和党が、反労働組合の立場で、分断を強調している。

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著者プロフィール

上智大学総合グローバル学部教授、アメリカ学会会長(22-24年)。上智大学外国語学部英語学科卒、ジョージタウン大学大学院政治学部修士課程修了(MA)、メリーランド大学大学院政治学部博士課程修了(Ph.D.)。主要著作:『キャンセルカルチャー―アメリカ、貶めあう社会』(小学館、2022年)、『アメリカ政治とメディア』(北樹出版、2011年)、『アメリカ政治』(共著、有斐閣、2023年)ほか。

「2024年 『混迷のアメリカを読みとく10の論点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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