一次元の挿し木 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 宝島社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299064042

作品紹介・あらすじ

2025年第23回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作

「謎の牽引力、ストーリーの面白さは、今回これがダントツ」大森 望(翻訳家・書評家)
「古人骨のDNA鑑定が暴く驚くべき真相!」香山二三郎(コラムニスト)
「謎の散らばせ方、話の運び方も上手く、最後までぐいぐい読ませました。文章も上手い」瀧井朝世(ライター)
「文章力が圧倒的だし、魅力的な謎の提示、読者を惑わす情報を入れてくるタイミングなど、とにかく舌を巻く巧さだ」千街晶之(書評家)
「遺伝人類学を専攻する主人公の専門家らしさもきちんと書けているし、一方で“ちゃぽん”という擬音の活かし方も巧みだ」村上貴史(書評家)
「スケールが大きい陰謀劇であり、成長小説としての面白さも備えた作品。広げた風呂敷をきちんと畳み、物語の幕を閉じる技量に、自信を持って推す」川出正樹(書評家)

二百年前の人骨のDNAが
四年前に失踪した妹のものと一致!?

ヒマラヤ山中で発掘された二百年前の人骨。大学院で遺伝学を学ぶ悠がDNA鑑定にかけると、四年前に失踪した妹のものと一致した。不可解な鑑定結果から担当教授の石見崎に相談しようとするも、石見崎は何者かに殺害される。古人骨を発掘した調査員も襲われ、研究室からは古人骨が盗まれた。悠は妹の生死と、古人骨のDNAの真相を突き止めるべく動き出し、予測もつかない大きな企みに巻き込まれていく――。

感想・レビュー・書評

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  • このミステリーがすごい!文庫グランプリ受賞作

    え?デビュー作?
    これはやばい作家さんが現れた…。

    物語が動き出すまでの言わば序章もほどよく、回り始めたらノンストップなところがいい。
    ちょっとグロテスクな部分も含まれるが、全体的に甘酸っぱいというか青春の香りがしました。

    装丁も素敵で、美しい。
    読後に見るとちゃんと話の内容を踏まえている。

  •  著者は「あらすじを読んだだけで面白いものを書こう」という意識で作品を書いているとのこと。目論見は見事成功している。
     本の裏表紙のあらすじを読んだ時点で心惹かれた。読み始めた途端、4年前に失踪した妹と200年前の人骨のDNAが一致したってどゆこと? と一気に引き込まれた。
     謎が謎を呼ぶ展開がとても面白く、文字通りページを捲る手が止まらなかった。SF要素が入っているとは思いもよらず意外だったし、タイトルの意味が解るとタイトルがそもそも謎の答えだったのかと衝撃を受けた。

     ミステリ要素も素晴らしいが、サスペンス描写も巧みであった。謎を追う主人公たちに迫り来る、怪物のような大男の存在と「ちゃぽん」という擬音の印象づけ方が上手く、ちゃぽんを目にしただけで背筋が凍ったし、クライマックスのスリルは筆舌に尽くしがたいほどハラハラし手に汗握りながら読んだ。

     読み出すと読者を掴んで離さなくさせる優れたリーダビリティーは、とてもデビュー作とは思えない。紛れも無い傑作だと思う。

  • 生命の神秘に囚われた研究者の欲求によって生み出された紫陽。そんな紫陽と、何も知らずに心を交わした悠の生き方が切ない。

    悠の視点では、信じられないような出来事やわけがわからない謎が身内にあったり、そもそも自分が精神的におかしいのではないかと思わされるようなことを言われて気が狂いそうになりながらも真実に向き合っていく様は胸が痛む。
    唯もただの友達としてかけがえのない時間を過ごしていた紫陽の残酷な運命を見ながら、何も事情を知ることができずにそれでも側にいる姿が眩しくも苦しい。
    研究者、大人たちの欲求によって翻弄されてしまった悠たちの存在、登場するキャラクターが魅力的だった。

    表紙とタイトルに惹かれて手に取った本だけれど、読了後改めて見ると心にくる。

  • ヒマラヤ山中で見つかった200年前の人骨を鑑定すると4年前に失踪した妹のものと一致した─、という心躍るあらすじのサイエンスミステリ。
    キャラ作りはライト文芸っぽい、からか当然のように主人公の青年が謎のガールとミーツするが、最終的には"失恋コンビ"になるのが良い。なるほどそういうふうにそのふたりを持っていくのかと思った。
    大企業、巨大宗教団体、倫理を超えゆく科学、とてんこ盛りだが読ませるパワーがあるのでグイグイいける。
    表紙イラストのQ-TAさんはよく装丁でお見かけするが、今作が一番好きかも。うつくしくも恐ろしい、ちょっと表しすぎな気もするくらいぴったりの表紙イラストです。
    なぜヒマラヤ山中の湖に年代も人種もバラバラの人骨が大量にあるのかという一番大きな"謎"については触れられず、物語の暗渠に流れるままなのが良い。SFなのかオカルトなのか、いまはまだ解かないままで─。

  • 第23回このミステリーがすごい大賞、文庫グランプリ受賞作
    失踪した妹を探していた七瀬悠。大学院の遺伝人類学を学ぶ悠は、義父の連れ子だった紫陽と仲の良い兄妹だった。
    インドで発見された二百年前の人骨のDNAが、妹のものと一致した。そこから悠は妹の行方をおっていく。
    設定はともかくとして、文章は読みやすく、謎解き、回収とテンポよく、登場人物も魅力的。なるほど受賞作にふさわしい出来栄え。

  • スケールの大きな話でした。怖い!怖い!と思いながら読み進めました。

  • 「パンよりはマシ」以上の感想があまり浮かばない。
    200年前の人骨が4年前に失踪した妹のDNAと一致したという謎は魅力的だが、その謎の解決も、そのほかの謎の解決も、基本的には理系の力業。同じ理系ミステリだったら、『禁忌の子』の方がはるかに良い。
    それでも、パンよりはマシだった。

  • ミステリー=犯人探しというイメージを覆すような一冊でした。読み進めていきながら一体どういうことなんだ?っていうことを理解していきながら真相を知っていくときう新しいミステリーの面白さがありました。少し別次元のミステリーに出会えました。

  • 最後悲しかったけど、めちゃくちゃ面白かった
    読ませる力すご
    次の展開気になりすぎて
    次作も楽しみ!

  • 発売日に購入し、おもしろくて一気読みしました。
    たくさんあった謎も最後にはスッキリ解決して読んでいて気持ちが良かった。

    ただ、あんなに探していた紫陽がまた消えてしまった時、悠はあっさりとそれを受け入れていて、「あれ、そんなあっさり?もういいの?」と思ってしまいました。

    ラストも私は好きな終わり方でした。

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