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- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784305706904
作品紹介・あらすじ
古今を通じての恋の代表選手、和泉式部が最もいとおしい思い出を描いた『和泉式部日記』。あらざらんこの世のほかの思ひ出でに今一度の逢ふこともがな [百人一首]。たったこれだけの事をこんなに情愛をこめて、やさしく美しく表現した『和泉式部日記』を、最も原作に近い本文を持つ三条西家本の原態を生かし、読解する。ここに『和泉式部日記』が新しい解釈で蘇る。
【古今を通じての恋の代表選手が、数ある恋の中でも最もいとおしい思い出、敦道親王との愛の経緯を、発端から宮邸入りまでの約十箇月、二人の感情の起伏を実にリアルに、心をこめて描いたのがこの『和泉式部日記』です。主要人物はこの二人きり、宮の小舎人童(こどねりわらわ)と乳母、女の使う樋清童女(ひすましわらわ)がわずかにこれにからみ、最終段、宮邸を去る北の方と姉女御が結末を締めるだけ。そんな単純な構成でありながら、二人の恋心の展開は波瀾万丈、取りかわす会話や和歌・手紙文は情趣と機知にあふれ、千年前の男女交際はこんなにも文化の薫り高いものであったかと、現代のそれと思いくらべて、今昔の感に堪えません。かくも美しい恋の姿を書き残しておいてくれた作者に、心からの感謝と敬愛の念を捧げます。……はじめにより】