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- 本 ・本 (440ページ)
- / ISBN・EAN: 9784305707161
作品紹介・あらすじ
古典文学と色彩の関係を追い続けてきた著者の『源氏物語』色彩論集成。
絢爛とした美の世界とともに変容する、豊穣な色相の変遷を追う。
物語の深化の果てに辿り着いた究極の色とは?
それは色のない世界、すなわち、無彩色の思想ではないか。
【 古典文学と色彩の関係を追いつづけてきて、漸くうっすらと見えてきたものがある。自分なりの結論を検証してみようと思う。
散文では『源氏物語』の豊饒な色の絢爛とした美の世界とともに、変容する色相の変遷がある。そして物語の深化の果てに辿りついた究極の色とは? それは色のない世界、すなわち、無彩色の思想といえる。
平安時代に極まった『源氏物語』のネガティブなこの思想が時代を経て、享受され、昇華した律文がある。鎌倉から南北朝時代の『玉葉和歌集』『風雅和歌集』の色たち、いわゆる京極派の歌たちである。この京極派歌人たちは『源氏物語』を読んで読んで読み込んだ末、身につまされる受難の実体験から、自身の生か死か、極まった厳しい現実と『源氏物語』が重なり、やがて『宇治十帖』の宗教的命題へと両者は深化し、交錯してゆく。その情景なり哲学が一層凝縮されて、歌に表現されたもの、それはつまるところ、透明な色といっていいだろう。時代を隔てて、両作品は散文と律文ながら奇しくも色のない世界に到達する。】
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著者プロフィール
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