源氏物語の色 いろなきものの世界へ

  • 笠間書院 (2014年2月18日発売)
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  • 本 ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784305707161

作品紹介・あらすじ

古典文学と色彩の関係を追い続けてきた著者の『源氏物語』色彩論集成。
絢爛とした美の世界とともに変容する、豊穣な色相の変遷を追う。

物語の深化の果てに辿り着いた究極の色とは?
それは色のない世界、すなわち、無彩色の思想ではないか。

【 古典文学と色彩の関係を追いつづけてきて、漸くうっすらと見えてきたものがある。自分なりの結論を検証してみようと思う。
 散文では『源氏物語』の豊饒な色の絢爛とした美の世界とともに、変容する色相の変遷がある。そして物語の深化の果てに辿りついた究極の色とは? それは色のない世界、すなわち、無彩色の思想といえる。
 平安時代に極まった『源氏物語』のネガティブなこの思想が時代を経て、享受され、昇華した律文がある。鎌倉から南北朝時代の『玉葉和歌集』『風雅和歌集』の色たち、いわゆる京極派の歌たちである。この京極派歌人たちは『源氏物語』を読んで読んで読み込んだ末、身につまされる受難の実体験から、自身の生か死か、極まった厳しい現実と『源氏物語』が重なり、やがて『宇治十帖』の宗教的命題へと両者は深化し、交錯してゆく。その情景なり哲学が一層凝縮されて、歌に表現されたもの、それはつまるところ、透明な色といっていいだろう。時代を隔てて、両作品は散文と律文ながら奇しくも色のない世界に到達する。】

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著者プロフィール

神奈川県鎌倉市に生まれる。
東京女子大学卒業、日本大学大学院文学研究科修了。国立国会図書館主査、和洋女子大学、梅光女学院大学教授を経て、現在、梅光学院大学名誉教 授。文学博士。
著書 『色彩と文学―古典和歌をしらべて―』(桜楓社出版 昭32)、『萬葉の色相』(塙書房 昭39)、『平安朝文学の色相―特に散文作品 について ―』(笠間書院 昭42)、『色彩と文芸美―古典における―』(笠間書院 昭46)、『日本文学色彩用語集成―中世―』(笠間書院  昭50、風 俗史学会第一回「野口眞造記念染色研究奨励金」受賞)、『日本文学色彩用語集成―中古―』(笠間書院 昭52、風俗史学会第六回「江馬 賞」受賞)、 『古典文学における色彩』(笠間書院 昭54)、『日本文学色彩用語集成―上代一―』(笠間書院 昭55)、『平安朝の文学と色彩』(中 央公論社 昭 57)、『日本文学色彩用語集成―上代二―』(笠間書院 昭61)、『万葉の色―その背景をさぐる―』(笠間書院 平元)、『文学に みる日本の 色』(朝日新聞社 平6)、『王朝の色と美』(笠間書院 平11)、『日本文学色彩用語集成―近世―』(笠間書院 平18)、『増補版万 葉の色―そ の背景をさぐる―』(笠間書院 平22)、『色へのことばをのこしたい』(笠間書院 平23、「ビューティサイエンス学会賞」受賞)。
上記に明記した他に、以下の受賞がある。『日本文学色彩用語集成―上代一〜近世―』(笠間書院 昭50〜平18)全5巻に「エイボン芸術 賞」(平19 年度)受賞。『日本文学色彩用語集成―上代一〜近世―』全5巻に「ビューティサイエンス学会賞」(平19年度)受賞。

「2014年 『源氏物語の色 いろなきものの世界へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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