後鳥羽院和歌論

  • 笠間書院 (2015年3月10日発売)
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本 ・本 (708ページ) / ISBN・EAN: 9784305707673

作品紹介・あらすじ

後鳥羽院にとって、和歌とはいかなる営みであったのか。予断のない検証を試みる。
君臣和楽を求める一方、隠名や女房を名乗って優劣を競い合う歌壇の主宰、王者の歌は何を目指したのか。定家の歌に魅せられ、その振る舞いに苛立ち、終生とらわれ続けるのはなぜか。〈タテ〉と〈ヨコ〉の関係が交差する〈場〉の生成に着目し、始発期から隠岐に崩ずる最末期までの総体を読むことから考える。

【 その後鳥羽院が後代の勅撰集に重い役割を果たし続け得たのは、右に見た隆盛な活動を展開した新古今歌壇を形成せしめ、その歌壇で率先して、のびやかにして繊細な感覚の、風格を湛えた歌を詠み連ねたこと、及び、承久の乱を引き起こしたのち、配所生活の芸能活動は唯一和歌に絞り、仏道に勤しみながら、詠歌と編纂とに望ましい成果を求め、倦まず創作に向かったことが理由である。人生前半の都での異様に充実した活動は当然として、後半の隠岐での活動は、追い詰められ、希望を失いながら、悟れぬ内面を表現する真摯な探求と、対照的な、孤の自己を最期まで王たらしめるべく、自在な宮廷和歌を詠み続ける執念にも類する意思によって継続された。立場上必然的に終生政治との関わりのうちに営まれた和歌は、特に後半においては、その徹しぶりにおいて、実情実感歌と題詠歌とを問わず、政治の評価の如何に関わらない達成を遂げていたのである。】……終章第四節「後鳥羽院の和歌」より

『新古今和歌集』とその周辺、また、古代から中世への境界たるこの時代の文学、文化を読み解くためにも、必読の書。

著者プロフィール

1952年、長野県生まれ。
国文学研究資料館名誉教授・武蔵野大学特任教授。
和歌文学・中世文学専攻。
『後鳥羽院和歌論』(笠間書院、2015年)、『百人一首に絵はあったか―定家が目指した秀歌撰―』(ブックレット〈書物をひらく〉16、平凡社、2018年)

「2020年 『和歌史の中世から近世へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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