(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法
- 笠間書院 (2020年9月23日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
- / ISBN・EAN: 9784305709288
作品紹介・あらすじ
読んだほうがいいのは分かってる! わかってるけど読んでもよくわからない! だから読んだふりをしちゃうんだ!
夏目漱石、村上春樹、ドストエフスキー、三島由紀夫、カミュ……。
読んだふりしたくなる、だけど実はよくわからない小説の楽しく読む方法を、注目の若手書評家の著者が解説。
教養のために小説を読みたい。ちょっと面白そうな名作があるから読みたい。
映画の原作になった文学を読んでみよう……と思っても、「忙しい」とあとまわしにしがちな人や、もう読んだふりをしたくない人に、名作小説も古典小説も、ちょっと読み方を変えれば、面白くなる「読む技術」を著者が伝授します。
【目 次】
はじめに
目次
総 論
1 なぜ小説はわかりづらいのか
2 テーマとメタファー
3 小説を読むうえでいちばん大切なこと
あの小説を誰よりも楽しく読む方法
違和感から読んでいく 『若草物語』(ルイーザ・メイ・オルコット著)
あらすじを先に読んでおく『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー著)
タイトルに問いかける 『金閣寺』(三島由紀夫著)
自然を楽しむ 『老人と海』(ヘミングウェイ著)
前提を楽しむ 『吾輩は猫である』(夏目漱石著)
多重人格になってみる 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(サリンジャー著)
あえてさらっと書かれてあることを察する 『雪国』(川端康成著)
翻訳は何冊か読み比べて好みにあったものを 『グレート・ギャツビー』(F・スコット・フィッツジェラルド著)
作者の考え方をたのしむ『ペスト』(カミュ著)
解説書をたくさん読んでみる『源氏物語』(紫式部著)
小説のように短歌をたのしむ『サラダ記念日』(俵万智著)
児童文学はストーリー以外を楽しめる『ピーターパンとウェンディ』(ジェームス・マシュー・バリー著)
文章を楽しむ『羅生門』(芥川龍之介著)
妄想をひろげる「眠り」(村上春樹著)
小さな問いから、大きな問いへ結びつける「亜美ちゃんは美人」(綿矢りさ著)
小さな問いから、大きな問いへ結びつける(応用編)「お父さんは心配なんだよ」(カフカ著)
細部のこまかさをたのしむ『うたかたの日々』(ボリス・ヴィアン著)
語り手を疑ってみる『ドグラ・マグラ』(夢野久作著)
青年漫画だと思って長い海外文学を読む『ゴリオ爺さん』(バルザック著)
型を知らないからこそ、面白く読める小説がある。『三体』(劉慈欣著)
おわりに
感想・レビュー・書評
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小説、読みたーい!って気分になる。
『人生を狂わす名著50』の三宅香帆さんが‘よくわからん’「小説の読み方」を指南!
という名目で自分の好きな小説を紹介&解説。いつものようにインターネット文体を駆使し、フランクに熱く語る。
ジェネレーションギャップ(著者は執筆当時26歳)を感じながらも、楽しく読めました。著者が京大大学院で習った知識(と、あとがきでぶっちゃけている。)をかみ砕いて、分かりやすく、読みやすく本にしてくれています。ありがたいです。
感想冒頭にも書いたように小説読みたくなる。実際紹介されているものをネットでポチっとしてしまいました。
読み方指南本としては、平野啓一郎さんの『本の読み方 スロー・リーディングの実践』よりハードル低いかな。
小説を自己啓発本のように読んでみる、というのは、私も最近自分がそう読んでいたのではないか、と思っていたので親しみを覚えました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
近代文学や海外の古典など、いわゆる名作としてタイトルだけは知っててもなんだか小難しくて読めないんだよな〜、でも名作と言われているくらいの本だし、一応読まなきゃとは思ってるんだけど。と、思っている人は少なくないはず。
かく言う私も漱石先生の『我が猫』は高校時代に50ページで挫折、『罪と罰』を何度も寝落ちしながら完読するも、『カラマーゾフの兄弟』は、長っ!無理!と読む前から挫折した経験あり。
ということで、このタイトルはニーズにぴったりではないか!と思って読みました。
読み物として、また、名作文学のブックガイドとして、面白いのは面白かったのですが、期待した読み方に関しては、「国語の授業みたいな読み方を推奨されてもなぁ」という印象も受けました。
あと、読んでおいてこんな事言うのも何ですが、こう読んだら楽に面白く飲めるよ〜というガイドを読む前に、いっぺん自分で当たってみて挫折したり、わからん???と思ってみたりすることも、やっぱりとても大事な事ではないかしら?自分だけの感じ方や読書体験。それが、「さっぱりわからん」であっても、それはそれで貴重なんじゃないかと思います。
-
ネタバレは、人によって気にしない人もいれば、すごく気にする人もいる。
ネタバレを気にしないから、そのことをずっと疑問に思っていたけれど、この本を読んで、ちょっとスッキリ。
『ストーリー、つまり行き着く先は同じでも、どんな台詞を言わせるか、…作者によって違うはずだ。というか、それをちがわせるのが、…作家としての才能なんだと思う。』
本を読んでいて、特に小説は、まっすぐに進むストーリーはほとんどない。
迂回したり、戻されたり、まるで感情のジェットコースターのように進んでいくのが小説で、その瞬間を楽しみ続けるのがおもしろさだと思う。
確かに、ネタバレを通して、ハイライトと終わりを知ってしまうと、あっけなく感じる。
その通りなんだけど、2回目のジェットコースターがつまらないかというと、必ずしもそうではない。
前とは違った景色を見たり、思わぬところで怖さを感じたり。1度目とは違う味わい方がある。
名作であればあるほど、味が終わることのないガムのように、読み続けることができる。
ただ、それができるようになるには、ちょっとしたコツがあった方がいい。
自分の本の読み方を大切にしつつも、じゃあ文学を研究する人ってどうやって読んでいるのだろう?となんとなく思ったときに、構えることなく、サラサラと読むことができる1冊。 -
まず合わなかった。
自分も小学生からの読書歴ながーい。
読み方は人様に伝授できるものはないし
レビューもお粗末。弁解すれば忘備録だからいいや、人様に読んでいただくような高尚なものではないが率直に思ったままを書いてる。
小説の読み方基礎講座ーなんじゃぁ?
読み方は人それぞれね。
自分にとっては単なる娯楽、楽しみ、
おもしろいか面白くないか
引き込まれるか、そうでないか。
読む技術なるものが
その作品それぞれに記載されてた。
源氏物語ー「読む技術」
『古典は解説書をたくさん読んでみる』
はぁー
如何ですか?
たぶんブクログの皆様には薄ぺらいよね。
読書家の読むものではないですね。
あの名作がどんなものか載せられてるか、知りたくて〜
カラマーゾフに吾輩は猫、金閣寺、羅生門、雪国、老人と海、ピーターパン、若草物語、サラダ記念日、源氏物語、この辺は読んだふりでなく
読んだし。
グレートギャッビー、
ペスト、
三体
うたかたの日々
ゴリオ爺さん
「亜美ちゃんは美人」綿矢りさ。
お父さんは心配なんだよ
この辺はいつか機会があったら読んでみようー
表題の付け方で90%成功している。さすが。
一つ良かったこと
「グレートギャッビー」
の読む技術に関して
(翻訳は何冊か読み比べて好みにあったものを。)
これは確かに翻訳で合う合わないはある。 -
京大院卒で会社員の傍ら作家・書評家として活躍されている著者による、表題まんまのキャッチーな1冊。
バットを振っている、という汗臭い表現が本著に相応しいかというと微妙ですが、とにかく自分の視座で考えを構成して述べているのは凄いと思いました。
そんな中で、たまに「知らんけど」的な感じでディスクレイマーを述べたりするのはちょっとクスッときます。
小説、好きなように読めば良いと思うんですよ。
たぶん、著者もそれには賛成してくれるんじゃないかと思います。
ただ、ちょっと読み方を変えてみると、今の自分に刺さるコトが見つかったり、自分の考え方を変えるコトに出会ったりできる、ってのが小説を読む楽しさでもあり、動機にもなるんじゃないかと思います。
そのキッカケを与えてくれるのが、本著なのかもしれません。
※小説批評で行くと↓の本を読んだりもしましたが、学術サイド。入口としては本著が入りやすいかもしれません。
『批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義』
https://booklog.jp/users/skylark0311/archives/1/4121017900
本文中の印象的だったフレーズとして、「何度も言うけれど、私は、小説における、いわゆる『ストーリー』なんて些末な存在だと思っている。」つまり、筋書きに辿り着く表現の中に作家性が出る、ということで、これは読んでいてなるほど・・・と思いました。
(まぁ、ストーリー構成力も作家の個性だとは思いますが)
しかし、小説を読むという行為も、突き詰めると人と人とのコミュニケーションなんだな、というのも本著を読んでいて感じたことです。
コミュニケーションとしては、かなり遅効性。読んで、考えて、やっとわかって(もちろんわからない時もあって)、そこでついに繋がった気になる感覚。これがハマる人にはハマるんだと思います。
細かいところをつらつら書くと、村上春樹は、訳者であっても村上春樹だなぁ。。とか、『ピーター・パンとウェンディ』の解説はちょっと泣ける・・・とか思いました。
あと、カフカのオドラデクのくだり、本著にあなたの解釈も・・・と書いてあったのでおずおず申し上げると、個人的には"自分の評判"なんじゃないかとも思いました。(カフカがどういう人物像なのか知りませんが。)
ブクログユーザー的には良い1冊なのでは?と思いました。機会があればぜひ。 -
Kindleで1568円。大学の頃、インチキ文学部生だった私は、足らぬ頭で小難しい文学論、哲学論の講義などに食らい付いていたものの、結局それらには興味が持てませんでした。サラリーマンになった今も私が折に触れて思い出すのは、作品や作家への好きな想いが溢れふすぎる先生の講義です。そして、この本はそんな講義を思い出させる、楽しい本です。
著者は大学院時代のご専門が日本古典文学だったとのことで、最後に登場する、源氏物語の説明などは、この本の性質上致し方ないのですが、少ない紙数で終わってしまうのが残念なくらい面白かったです。古典文学作品そのものだけでなく古典解釈も含めて楽しめるという姿勢は、おそらく他に紹介されている古今東西の作品についても、底通しているテーマで、源氏の紹介を敢えて最後に持ってきているのも、一つの謎解きになっているような読後感でした。
著者の文学への熱い想いだけでは終わらせず、文学に触れるのを諦めた私のような人間にも、たまにゃそういうのも楽しんでみるかなと思わせるような力を持つ本でありました。 -
ライトな文章で書いてあるので、好き嫌いは分かれそうな印象。
内容はなるほど〜と思うことが沢山あって、面白かった。
ストーリーを追うこと以外の楽しみ方を教えてくれる。もっと細部にこだわって読んでみようと思う。
-
こんな本ちょっと期待していた。
本書を読めば
「この本読んだことあるで〜あんま覚えてへんけど」状態を「この本読んだことあるで〜あんま覚えてへんけどなんかおもしろかった気がする」にまで持っていくことができる、と個人的には思っている。
確かに小説(特に文庫本)は通勤通学中など片手間で読めるイメージを持っていたが作者がそこに忍び込ませたメタファーを考えたりすることでより作品の魅力を楽しむことができる気がする。
これから有名文学を読むときはなるべく前提知識を蓄えたうえで読んでみようと思った。
文学系の大学院ってこんな研究ができるのか、、、羨ましい。
以下、本書で取り上げられた作品の一部を抜粋して
1.私がかつて読んだことのある本、あるいは全部は読んだことないけど印象にある本
2.これから読んでみたくなった本
について自由に書いてみようと思う。
1.1 我輩は猫である
夏目漱石のバックグランドを知ったうえで読むとより楽しめる。漱石は猫となって自分語りをしていたのだ。猫は人間になりたかったのかなぁと思ったが猫が漱石だったとするともっとはっちゃけた人になりたかったという願望があったのかもしれない。
1.2 羅生門
高校の教科書で読んだなぁ。名前がまず中二病っぽくて好きでした。いつか全部読みたい。
1.3 老人と海
高校の読書感想文を書く題材として父から渡された本。あの頃はほんとにただ読まされてた感があったなぁ。あの時父がなぜこの本を勧めてきたのか、そこに意図はあったのだろうかとか無性に考えてしまう、、、
1.4 ドグラ・マグラ
最近読破したはずだが冒頭のブーンとスチャラカチャカポコしか印象に残ってない。最後の三宅さんの解釈が好きです。
2.1 カラマーゾフの兄弟
あらすじはわかったから今度読んでみるぞー
2.2 金閣寺
あの人のことがいつも頭によぎる。まさしく愛だ。
2.3 亜美ちゃんは美人
綿矢さんの蹴りたい背中も合わせて読みたい。
2.4 眠り
妄想力ならまかしてください。
-
このタイトルにドキッとしたやついるだろ。そう!そこのあなた!
大丈夫よ安心して、私もそうだった!
小説って作者の文体とか自分との相性の良し悪しがあると思うけど、手に取った作品は面白く、楽しく読みたいじゃないですか。
有名どころに挑戦したいけど、何書いてあるかさっぱり……ってなりそうで避けている人もいると思うのだけど、この本自体も読みやすくて、また解説されている方法もトライしやすい。
手にとってみたい有名な作品、でも難しそうという不安を軽くしてくれて「実はね、これはこう読めば面白いんだよ!ほらほら、ひとまず読んでみて!」ってプレゼンしてくれる。
文豪やビッグタイトルに尻込みしてる人ほどおすすめです
著者プロフィール
三宅香帆の作品






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