BL研究者によるジェンダー批評入門 言葉にならない「モヤモヤ」を言葉で語る「ワクワク」に変える、表象分析のレッスン
- 笠間書院 (2023年5月26日発売)
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感想 : 19件
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784305709899
作品紹介・あらすじ
紀伊國屋じんぶん大賞2023 第1位 『布団の中から蜂起せよ』高島鈴さん応援!
【概 要】
本書は、映画やドラマ、漫画やアニメ、現代アートなどビジュアル要素のある作品を、「ジェンダーの視点」で批評してみようとお誘いする本です。
「なんかモヤモヤした!」「すごくかっこよかった!」といった感想から一歩踏み込んで、「なぜモヤモヤしたのか」「どのようにカッコいいと感じたのか」を言語化してみると、「作品を見る」という体験がもっと豊かになります。
第一部では、それぞれの作品で「セクシュアル・マイノリティの登場人物や同性愛がどのような言動をしているか(what)、どのようなカメラワークで描かれているか(How)」「その背景には何があるのか」などについて、「あっこ先生」と「もえさん」の会話を通して学ぶことができます。
本文内には、専門用語の解説や参考文献の案内があり、ジェンダーやフェミニズムに関する専門的な知識がなくても読み進めることができます。
第二部では第一部のもととなった論文や映画の応援コメントなどを掲載しており、本格的な批評文にも触れることができます。大学などでのレポート作成やSNSでの発信にも役立つでしょう。
本書を読めば、
普段何かを見るたびに感じていた「モヤモヤ」「いいね!」に対して、「そういうことだったのか!」と納得してスッキリするだけでなく、
「いろんな映像作品を見て分析したい!」
「好きな作品をもっともっと応援したい!」
「S N Sで作品批評をしてみたい!」
……と、自分の気持ちを言葉で表現する「ワクワク」に目覚めるはずです。
アメリカ留学中のクィア理論との出会いから、自身のルーツがBLの祖先である「24年組」の「美少年漫画」だと気づいたことがきっかけで、BL論を研究し、映画、アート、クィア領域研究倫理などについて執筆してきた著者による、ジェンダー批評入門講義が始まります!
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・映画『LOVEMYLIFE』で「何が描かれているか」より「どう描かれているか」に注目する
・映画『砂の女』の「女」と「男」という二項対立を揺るがす映像表現とは?
・ドラマ・映画『おっさんずラブ』から差別と偏見の構造を考える
・二人の人間の新しい関係の可能性を探る、漫画『作りたい女と食べたい女』
・世界のLGBT映画史につらなる映画『his』
・ステレオタイプから自由になる、映画『おろかもの』の登場人物たち
・現代アート「サエボーグ」のパフォーマンスから、アートの次元で「身体」を眺める……など
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感想・レビュー・書評
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入門というだけあって、こういうことが書いてあるんだろうなあと思ったら想像通りのことが書いていた
私がわりかし日頃からBL愛好者として映画や漫画やアニメにジェンダー的観点から批判したり感想を言ったりしているからだと思う
特筆すべきは透明化されがちなレズビアンコンテンツについてかなりの量が割かれていること。BL研究者というからBLコンテンツ、もといゲイコンテンツの話が多いのかと思ったけれどレズビアンもかなりの割合で扱っている。批評と同時に良質なコンテンツガイドでもあるので、レズビアンの映画や漫画を知りたいけどよく知らないという人はそういう目的でも読んでみてもいいかもしれない
ただやや著者の偏見っぽいものが垣間見える瞬間もあり、そこに引っかかりを覚えた -
BL研究者によるジェンダー批評入門: 言葉にならない「モヤモヤ」を言葉で語る「ワクワク」に変える、表象分析のレッスン。溝口彰子先生の著書。ジェンダーやフェミニズムについて学べる良書。ジェンダーやフェミニズムについての知識も理解もない人に読んで欲しい一冊だけれどジェンダーやフェミニズムについての知識も理解もない人はきっと手に取ることもないのでしょうね。
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大学のレポートのために参考書として読んだ。
私は深く考えるのが本当に苦手だな、とつくづく思った。当事者てあることよりも想像力の大切さを訴えてられる中、自分の想像力の乏しさを痛感。
そんななか、対話形式を取られているから、レズビアンリーディングやホモフォビアやミソジニーなど専門用語がすっと入ってくのが個人的には助かった。
2023.1.8
6
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淑徳大学OPACリンク
https://x.gd/3KlrF -
違う世界が開けた。
目から鱗 -
わかりやすい
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恐らくハードルの高いテーマと視点だけれど、あっこ先生ともえの対話の形を取っているため読みやすい。一通り二人の対話を通して自分でも考えた後に、文章として整理された批評文を読む形になるので理解しやすくなってると思う。
個人的によく思考を巡らせるトピックなのでとても興味深く読み応えがあった。 -
同性愛者に焦点を当てた作品の批評を書いた本作は、非常に理知的な表現が多く、言語化がとても上手な先生だな、と思いながら読み進めた。
インパクトのあるタイトルに面食らいつつ、対談形式で描かれる一つ一つの作品批評には作者なりの「愛」を感じる。相当細かく作品を読み込まないとでない感想や言葉ばかりだったからだ。また深いジェンダーへの理解と歴史を知るからこそ、この作品をかけたのだと随所で感じた。
印象的だったのはカミングアウトについて。自分からビアン、ゲイとカミングアウトすると眉を曇らす人に対し、異性愛者は会話の中で無意識に毎日カミングアウトしている、との考えは目からウロコだった。
理解し、認めるだけでいい。その為にも知識はアップデートしていくべきだし、他者のプライベートな性別、性的嗜好を尊重することが大切だと思う。
また、つくたべの恋愛ものになったから読むのをやめた、の発言に対して無頓着と切り捨てたところも同感だ。自分もモヤモヤしていただけにしっかり言語化してくれて嬉しくなった。
自分の好きな「つくたべ」や気になっていた「ポーの一族」「おっさんずラブ」等の話も話題に出ていて興味深く読めた。細かいところまでは自分なりに考察しきれなかったので改めてまた読みたい。 -
とてもいい分析だった。自分も感想言うときは注意したいし、これまでBL読んできてなんとなく感じていたことが言語化されてた
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会話形式で読みやすい。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/790634 -
わかったつもりで発した言葉が相手を傷つけることがあるのだとつくづく思った。実際に自分の周りにLGBTを公言している人がいない、テレビで見るような人しか知らないからどうしても偏ってしまう。こうなんだろうなと勝手に想像してしまう。しかもそれは異性愛者の目線だったりする。
この本で紹介されている本や映画はほぼ見たこと読んだことないのだけれど、機会があったら読んでみよう。
そして「何が(what)描かれているか/いないか」だけでなく、「どう(how)描かれているか」を考えてみたい。 -
コミックの『LOVE MY LIFE』は凄く良い作品なのに、映画化されたそれは、なんか違うなぁ〜と思っていたけれど、その違和感をことごとく書いてくれている!
「おっさんずラブ」の映画版になんか満足しなかった理由も書いてある!
読んでて、そうそう!それそれ!そこやねん!と同調できて痛快でした。
著者プロフィール
溝口彰子の作品
