西洋絵画に隠されたユダヤの秘密 ――聖書の「あの場面」は何を物語るか?

  • 笠間書院 (2024年10月28日発売)
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本 ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784305710246

作品紹介・あらすじ

世界の美術館に収蔵された名画には、描いた画家本人でさえ気づかないうちに、ユダヤの知恵を伝えるものがいくつもある。ユダヤ教を深く学び、自らもユダヤ教に改宗した著者が、その一つひとつを読み解く書。ミケランジェロの『アダムの創造』で、神とアダムの指先が触れそうで離れているのはなぜなのか。そこで人類に問われていることとは? また、ブリューゲルの『バベルの塔』が伝える、子どもの教育でもっとも重要なものとは何か。ミレー『落穂拾い』が、富める者の義務として教えていることは――?

約50点の絵画をカラーで収録。歴史的な名画を鑑賞しながら、現代を生きるための知恵と勇気、哲学、そして私たちに問われていることを学べる本。ヘブライ聖書(旧約聖書)に興味がある方はもちろん、西洋美術をより深く、多様な視点で捉えたい方にもおすすめしたい。

感想・レビュー・書評

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  • この本は出会えて良かった一冊になりました。
    ユダヤ教について知っているようで知らない、絵画と言えばキリスト教にらついての本ばかり…思い出せばそうだったと感じた。

    著者の経歴もなかなかユニークだし、なによりユダヤ教に改宗されており、成る程だからと思える。

    絵画は少なめだけど、前後の解説がもう絶品。
    歴史の見方も変わる…そんな気持ちになりました。

  • 西洋絵画は好きで良く美術館に行ってるが、その中でも、ユダヤの教えを描いた作品が多数あるのを全然知らなかった。この本はユダヤ教の歴史を順に3つの章に分け、それぞれの絵と共に深く教義を説いている。著者自身がユダヤ教に改宗されているのでとても説得力があり、美術館に行く楽しみが更に増えた。

  • ユダヤ教について詳しく書かれていて、とても興味深く読めました。
    絵画には詳しくないので初めて見る絵もたくさんありましたが、絵を見ながら読む事でユダヤ教の事が良く分かりました。また有名な絵画にこんな深い意味があると知り、とても面白かったです。

  • ユダヤ教は偶像崇拝を厳しく禁止している。
    神は一切の姿形を持たない「絶対空・絶対無の存在」。
    (ミケランジェロの「人間の創造」は)ユダヤの教義に違反している。
    アダムとエバの絵は男女の体つきへの固定観念を与え、性差別の一因。
    神はアダムもエバも平等に創られた。外見での差別は神の意志を歪める。
    システィーナ礼拝堂の絵は神の失敗を描いているとも言える。
    善悪の判断ができない人間が永遠の生命を持つことはあり得ない。
    けなす時は密かに、褒める時はその者だけに聞こえるように行うべき。
    誰にも見つからなくても、必ず神は見ておられる。
    (石油・石炭の利用は)神の意思に反する罪深い行為。
    「他人を気にするなかれ、周りを気にした途端に神は見放される」。
    「想定外」という弁解は一切してはならない(ノアの箱舟、原発事故)。
    善と悪との違いは紙一重。人間関係は常に用心し冷静に相手を読む。
    (バベルの塔)神は「人間の言語をバラバラにする」という方法で工事を止めた。
    「言語こそ四国の源泉である」。
    徹底した語学教育(トリリンガル)の重要性。
    周りの村八分や気遣いを一切気にせず、自分の信じる道を行く(アブラハム)。
    一見堪え難い不幸も、神がすべてお見通しの上での考えやアドバイス。
    生命の神秘と生命科学の可能性を強く信じる(アブラハムとサラの高齢出産)。
    子供の信仰心教育が最も重要。信仰心は親が教えないと育まれない(イサクの燔祭)。
    財産や国土は武力でしか保持できないという冷厳な事実(ヤコブとエサウ)。
    リーダーに弁説能力がないなら、スポークスマンが必要(モーセとアロン)。
    ユダヤ教は多数決で指導者を選ばない「神選指導者制」。
    (十の災い)圧政者を解放させるには、その最も大事なもの(子供の命)を奪う必要。
    紅海横断の「海の歌」:民族と個人の自由と独立、神への感謝と忠誠。
    偶像崇拝禁止:それが「人が人を支配する政治権力構造」の道具となるから。
    権力者が巨大神殿や仏像で自己の権力を誇示するのを厳しく戒める。
    徹底した偶像崇拝禁止は、抽象的思考を強く求める。
    ユダヤ教は絶対抽象の世界における人間思考の深化を求める宗教。
    (荒野の40年)神を信じない世代を「世代交代」させる必要があった。
    スケープゴートの本来の意味:「民族の生き残りのための脱出」。
    未知の分野に単身乗り込む勇気ある開拓者を「スケープゴート」と呼ぶ。
    (ダ・ヴィンチの絵は)キリストの最後の晩餐ではなく「過越(ペサハ)のセーダー」の場面。
    皿の塩水はエジプトでの苦難の期間に流した汗と涙を象徴。
    ガチガチのパン「マッツォ」はエジプト脱出時の象徴。
    (カナン偵察後)神は不信仰な世代に約束の地に入れない罰を与えた。
    モーセは約束の地カナンに入ることなく死ぬという厳しい処罰を受けた。
    (モーセは)神に「岩に話しかけろ」と言われたのに二度「叩いた」。
    「岩を叩けば水が出る」という誤解を民に与え、民族団結の象徴を破壊した。
    ユダヤ人はヘブライ聖書の勉強を通して神と会話をする。

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著者プロフィール

京都に生まれ、カトリックの修道院生活、天台宗比叡山での修行を受けるも法律の道に進み、司法試験と国家公務員上級職試験に合格。経産省を経てニューヨークで企業買収専門の弁護士やマイケル・ジャクソンの弁護士として多忙を極めていた時、突然病魔に侵され、ユダヤ人の医者に命を助けられたことから、ユダヤ教指導者(Chief Rabbi)であったヘンリー・ノア氏に師事。3年間に及ぶ、司法試験の勉強に匹敵する量のユダヤ教の書物の週3回のプライベートレッスンを終えて、口述試験、筆記試験、誓約証書のサイン、ミクベ(Mikveh)の儀式、妻の同時改宗、さらにユダヤ式の2度目の結婚式、そして本格的な外科手術である割礼手術を受け、ユダヤ教に改宗。ニューヨークのユダヤ人の誰よりもユダヤ教については理解していると評価を受け、改宗証書の授与を受けた。
現在はイスラエル工科大学の日本代表。
多くのユダヤ教に関するビジネス書を執筆。日系ユダヤ人、日系ユダヤ教徒として世界的に著名。 英語、韓国語、台湾語、中国語の出版もユダヤ教に関するものが多い。

「2024年 『西洋絵画に隠されたユダヤの秘密』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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