大軍都東京 忘れられた日本の戦争遺跡を訪ねる

  • 笠間書院 (2025年1月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784305710345

作品紹介・あらすじ

団地は軍需工場、公園は飛行場、緑道は軍用線、オブジェは高射砲台座!?

あの公園・学校・病院・住宅地・道路も軍事施設だった

戦後80年。今なお残る戦時下東京の痕跡を見て、学ぶ



戦後80年が経とうとしている現在、日本が戦争を繰り広げ、何百万もの国民が死に、敵国の人々を殺してきた日々を記憶する人は少なくなりました。

戦前の東京は、軍の施設が密集する軍都の中の軍都、「大軍都」でした。戦後、軍用地のほとんどは転用され、今や軍がいたことすら知らない人も増えています。しかし、丁寧に目を凝らすと、戦争にまつわる建造物や事件の痕跡(戦争遺跡)が、今も当時の記憶を残し続けています。

本書は、作家で街歩き案内人も務める著者が23区と多摩地区に今なお残る戦時下東京の痕跡を解説。実際に現地を訪ねていただけるよう、歩行ルートなども紹介しています。

中学・高校の調べ学習として、戦争と平和の問題を考えるきっかけにもなる一冊です。

※本書は2014年に発刊した『大軍都・東京を歩く』(朝日新書)をベースに、10年間の変化のほか、前著では紹介できなかった施設なども取り込み、また新たに多摩地区も対象に広げ、書き下ろしたものです。



【目 次】

まえがき

第一章

軍に囲まれていた皇居と海軍発祥の地

皇居周辺と築地地区

第二章

軍の街だった赤坂・六本木・青山

港区など

第三章

陸軍の学校が集まり、いまだに謎も残る地

新宿区

第四章

練兵場だった代々木公園/海軍施設だらけ芝公園

渋谷区・目黒区など

第五章

軍事工業地帯だった赤羽、十条、王子

板橋区・北区

第六章

大演習場が広がっていた住宅街

世田谷区など

第七章

大兵器工場だったドームシティ

文京区

第八章

スパイ学校、特攻基地、防空陣地もあった

練馬区・中野区・荒川区・葛飾区など

第九章

多摩地区は軍の航空拠点

多摩地区

あとがき

感想・レビュー・書評

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  • 軍都東京めぐり。
    『るるぶ』や『◯◯の歩き方』のような楽しみ方のできる本。本書を片手に戦争遺跡を訪ねてみては。

    戦前は軍の施設が密集する「大軍都」だったらしい。全国でも最大規模の実戦部隊が都心に駐屯し、多摩地区には多くの航空基地も。戦後、それらは住宅や公園、学校などに転用され、忘れ去られていく。

    で、読みながら歴史の勉強にもなる。

    ー 明治天皇は1868(明治元)年10月に東京に入りますがいったん京都に戻り、1869(明治2)年3月に再び東京に入って、以後東京がなし崩し的に首都となります。最初に天皇が東京へ向かった際は臨時の兵が付き従いましたが、常設の護衛部隊はいませんでした。そこで1871(明治4)年、鹿児島藩、山口藩、高知滞、いわゆる「薩長土」の藩兵を「御親兵」として明治政府直属の部隊とし、天皇の護衛にあてることにします。これが1872(明治5)年に「近衛」と改称され、のちの近衛師団の元になります。明治政府の軍は「天皇を守る軍」として始まったのです。

    ー 皇宮警察の職員宿舎があるあたりには、明治初期には近衛砲兵営がありました。ここでは1878(明治11)年に竹橋事件が起きました。これは、前年の西南戦争に近衛兵らが出征したにもかかわらず恩賞が少ないとの不平に端を発した反乱事件です。もともと近衛兵は天皇を守るだけで戦場に出なくていい、と聞かされていたことで不満が高まっていたともいいます。天皇を守るはずの軍隊が反乱を起こしたことに政府は衝撃を受け、この事件を機に憲兵制度や皇宮警察ができ、また軍人勅論などの精神教育が強化されました。

    戦時の金属回収により消え去った銅像の跡が生々しい。更に衝撃的なのは、23区内にも軍の飛行場があり、そこから特攻機も発進していたこと。B25が東京を奇襲爆撃したことに驚いた軍は、あわてて首都防空用に成増飛行場を作り、そこから特攻機は飛び立った。

    ノスタルジックな気持ちと忘れていた反省と、そして少しだけ大友克洋のネオ東京を思い出しながら、いつか散策してみるかという気持ちになる。だが、本書で満足してしまったので、多分行かないだろうな…。

  • 旧軍遺構巡りの参考に。再開発の激しい東京なだけに、かなりの遺構が失われたり大きく姿を変えているのは残念。遺構の説明も簡素なものが多くて、後世に伝えるというよりは早く戦争の記憶を忘れたいような意識すら感じられた。

  • 毎年、桜の季節には、いつも仲間で千鳥ヶ淵緑道を歩くのですが、今年は趣向を変えて反対側の北の丸公園からお花見をしました。その時、北白川宮像を発見し、旧近衛師団司令部を間近で見ました。煉瓦造りの建築の素晴らしさに触れ国立近代美術館工芸館時代に入っておかなかったこと後悔しました。本書を読んでここが「日本のいちばん長い日」の舞台だったことを知りました。この本はいつも何気なく歩いている東京が戦前の軍事施設によってデザインされていることを掘り起こします。江戸時代の広大な大名屋敷からの陸軍、海軍の軍事施設、からのアメリカ軍の接収、からの返還後の都市開発、という時間の地層を見せてくれる本です。江戸城のまわりを親藩の有力大名で固めた幕府の構造そのままに明治天皇の住まいの周りを軍隊で警護するスタイルが今の東京のグランドデザインなのだと知りました。書名の「大軍都東京」は東京を見つめる視点として新鮮でした。この本を片手に東京街歩きを改めてしたくなります。そしてその視点での明治神宮外苑の開発についての根本的疑問も現在に続く問題なのだと初めて知りました。戦後80年、ますます歴史の古層になっていく「大軍都東京」、でもそれは現在の暮らしに直接繋がっています。

  • かなり細かく書かれて座右に置きたいと思った。

  • 今でも都内各地に実は残る戦争遺跡。
    帝都東京は皇居を中心とした一大軍都。その痕跡は至るところにある。
    江戸時代までは大名屋敷、その後は軍の施設に変貌する。現在多くの土地は団地であったり公園であったり病院であったり。おそらく近所に住んでいる人も軍が駐留していたことなど想像もしないだろう。
    各章、どのような順で戦争遺跡巡りをするかモデルコースも掲載。街歩きのお供にお薦め。

  • 戦前は帝都(軍都)だったんだな。

  • 昭和の様々な歴史が、東京の至るところに残されている。違った意味でもなかなかに興味深い。

  • 1. 皇居と軍の関連性
    - 皇居の歴史的背景: 皇居は歴史的に軍に囲まれていた地点である。
    - 海軍発祥の地: 皇居周辺には海軍の重要な施設が設けられていた。

    2. 日比谷公園の成立
    - 公園の設立年: 日比谷公園は1903年(明治36年)に開園した。
    - 法務省との関係: 法務省やその他の官庁が公園の整備に関与した。

    3. 軍事施設の移転と再編
    - 練兵場の変遷: 日比谷公園に隣接していた日比谷練兵場は1888年に青山に移転された。
    - 官庁街の整備: 明治維新後、東京の官庁街が整備され、軍の施設も再配置された。

    4. 地図製作と軍の役割
    - 地図製作の重要性: 戦前において、地図の作成は軍の業務として行われていた。
    - 日本水準原点の設置: 地図製作に必要な日本各地の標高を測定するための基準点が設置された。

    5. 文化財の指定
    - 重要文化財への指定: 旧陸軍の建物や関連施設が文化財として認識され、保護されている。

    6. 陸軍の教育機関
    - 陸軍大学校の設立: 陸軍の幹部養成を目的とした教育機関が設立され、厳しい選抜を通じて士官が育成された。
    - 教育課程の厳格さ: 陸軍大学校では、入学試験が非常に厳しく、限られた人数しか受け入れられなかった。

    7. 軍事の影響を受けた地域
    - 赤坂・六本木・青山地区: 明治後期にはこれらの地域が軍の中心地となり、軍事施設が集積していた。
    - 近衛師団の駐屯: 陸軍第一師団や近衛師団の駐屯地が存在していた。

    8. 戦争の影響
    - 戦後の再編成: 戦後、GHQによる影響で多くの軍事施設が変わった。
    - 戦争遺構の保存: 残された戦争の遺構が今も地域に影響を与え続けている。

    9. 軍需工業地帯の形成
    - 赤羽・十条・王子地区: 軍需工業地帯として知られ、火薬工場や兵器補給廠が設置された。
    - 地域の変遷: 現在の住宅街に変わったが、軍需工業の痕跡が残っている。

    10. 地域の遺産と記憶
    - 記念碑や遺構の存在: 各地に戦争の記憶を留めるための記念碑や遺構が設置されている。
    - 地域住民の意識: 地域の歴史に対する関心が高まり、戦争の記憶を継承する動きが見られる。

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著者プロフィール

黒田 涼(くろだ りょう)
作家・江戸歩き案内人。各地の歴史の痕跡を、歩いて、探して見出すことにこだわっている。江戸・東京23区内に詳しいが、近年は全国の城下町紹介など地方にも力を入れている。執筆のみならず散策講師も年数十日務める。「おはよう日本」「タモリ倶楽部」「美の壺」などテレビ出演も多数。
主な著書に「新発見! 江戸城を歩く」「江戸の大名屋敷を歩く」「江戸の神社・お寺を歩く」(以上祥伝社新書)、「段差ゼロの東京歴史さんぽ」(オレンジページ)「日本百城下町」(笠間書院)。

「2025年 『大軍都東京』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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