シュリンキング・ニッポン: 縮小する都市の未来戦略

制作 : 大野 秀敏 
  • 鹿島出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784306045088

作品紹介・あらすじ

縮小する都市をクリエイティブに再編する14の提言。

感想・レビュー・書評

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  • 序章:縮小する都市の未来

    第一部:対談
    1.21世紀の都市デザインの課題



    2.縮小社会でも希望は語れるか?
    マンハッタニズムは永遠ではない。むしろ早々と劣化していく。

    地域開発ではゲーテッドコミュニティが増加。
    地域のセグリゲーションの課題を解決する。格差社会の進行

    郊外ロードサイドでは旅人視点のつまらなさ

    事例研究
    函館ーゼロダテ 0date
    原宿団地
    団地の都市環境保全機能 緑豊かな外部空間
    阿佐ヶ谷住宅

    「郊外」のスーパースターとしての吉祥寺

    第二部 14の実践


    構成要素としての庭
    緑地

    管理の問題…受益者負担、集中管理地の移動
    公の土地を個人に譲渡。
    半径800メートルのコレクティブタウン群、その管轄としての道州制
    担い手として健康シニア層が不可欠


    三浦展 ファスト風土化する日本
    郊外的ではない吉祥寺
    豊かな自然を持ったベッドタウン⇔商業・文化面の都市性
    都市計画の成功…400mに百貨店、専門店、劇場、戸建て住宅

    歩ける、透ける、流れる、とどまる、混ぜる
    70s以降の郊外ニュータウン…自動車前提
    大正末期、昭和初期…農道基礎、曲がりくねって防災問題

    都心から一定距離、住宅地中心の開発、若い核家族中心
    →核家族中心の定義は時代遅れではないか??
    オールドタウン化。

    巨大なショッピングモールの問題点
    生産・労働・仕事の空間がない

    歩ける…子供が一人で歩ける。防犯。地域の目。

    大学の郊外移転…中心市街地の衰退

    5.ヴォイドメタボリズム
    都市を文脈として強く意識づける作品の不足

    戸建て住宅の都市・東京
    集合住宅・オープンスペースのゾーニング
    田園都市
    いずれとも違う。
    個々の戸建て住宅が独立していながら、密度によって都市的と言われるように。

    住宅都市、敷地細かい、道路が網羅的、
    構築の単一主体が存在しない
    更新が代謝的

    60sメタボリズム…都市は変化するもの
    インフラは短期的には不変。構造体とインフラを重ねてコア、それに付随した更新可能ユニット。
    実際はコアは生まれず、敷地間スキマのヴォイドができた

    現在のブラウンフィールド更新はヴォイドメタボリズム
    ヴォイド・・・形態や機能が固定されていない。建物との関係で意味が決まってしまう。
    →意識的に再定義しよう


    団地の個室…封建的社会システムの民主化
    米国…扉の開けっ放し

    マーケットのメカニズム…需要の掘り起こし



    ピクニック・・・政治談義の場
    いろいろあって今の意味に。
    都市・自然・公共空間・レジャーなど横断的に。
    日比谷公園…芝生立ち入り禁止、新宿御苑…夜間閉門
    多くの人も都心を居住の場と捉えていない
    自分の庭の代替物として見ている。社会的空間としては見ていない

    ゲストとホストの区別がないのがピクニッック」

    仕事を求め都会に出て働くが、都会的暮らしになじめない
    チョンゲチョン。高速道の撤廃で水辺空間の再編
    水辺空間の利用。日本はビルが背を向けている。係留できない、二重行政



    ストック社会は建築ではなく文化の賜物。
    建築芸術的発想は経済からの乖離に繋がった
    思い通り設計、安心コミュニティ + 経済性 =コーポラティブハウス

    不動産の経済価値はストックとしての「利用価値」



    東京R不動産
    2003年問題…オフィスビルの大量供給⇔中古ビルのあまり
    不良資産化したビル…デザインの力で再建

    建築が実態経済に繋がる。意識した3ポイント
    デザイン領域の再定義、実際の都市を使う、建築すべきサイトを探す
    →紹介ウェブサイトが不動産仲介へと発展

    アンリ・ルフェーブル…資本主義=抽象空間
    管理側の理論がまかり通る。身体的リアリティ欠如


    都市縮小と郊外のファスト風土化が地縁的なコミュニティの喪失につながる、という論

    ミーティングプレイスから参加・知見→新しい価値創造



    「歩いて暮らせる」ということが価値になる。
    駐車場整備、ショッピングモールのような大型資本を中心市街地に導入したところで意味がない。違うベクトルで勝負しよう
    リノベーションはソフトの交渉がしんどい、責任を引き受けられる層のネットワークが重要



    建築・都市デザインとメディア技術の融合
    建築はソフトウェアを含むことによって不可視の部分が増大。


    デトロイト・マンチェスター・リバプール
    80s サッチャー・新自由主義
    マンチェスターは協力・リバプールは対抗
    マンチェスターが早めに復活。
    中心部再生は外部の荒廃の加速にも…

    ハレ/ライプティヒ

    郊外インフラの荒廃
    低収入層が郊外に

    ファイバーシティ…経済合理性
    構造物保全
    場所の歴史性重視
    線的介入


    人口減=過密緩和?
    敷地が細分化されているという問題点がある。

    緑の指…駅から歩けない地域を緑地に
    緑の間仕切り・・・密集住宅を緑地帯で区切り、快適性+防災性
    街の皺…街の一角を線状に改造しながら場所の可能性を引き出す
    緑の網…首都高を救援道路と緑道に。

  • 人口減少にあける都市のあり方ということで、ファイバーシティーというのを言っている。コンパクトシティーとどこが違うのか良くわからなかった。
    ロンドンの一人当たり公園面積は26平方メートル、ニューヨークは29.
    公園で道具の貸し出し、氷、ポットサービスなど、人の輪の中心になるような物を用意。食べ物もパイやピザにする。ピグニオキオスクという提案。
    「団地再生計画」、INAX出版。

  • メモなし。

  •  なんでこの本を購入したか、きっかけは失念。タイトルで買ったのかもしれない。

     東大の大野先生が中心となって、建築関係の人との対談や論考など。

     大野先生の線というキーワードで、大都市の縮退の都市デザインを考えるという発想はおもしろい。

     p244の緑の指(郊外の駅から歩けない範囲の土地は少しずつ緑に戻す)という発想は、よくあるけど、緑の指というところが建築家らしい。

     p246の緑の間仕切り(密集市街地の中を緑地の線で間仕切りする)というのも、細街路と建て替えに終始している密集事業への提案になっている。

     ただ、建築関係の人の自己満足的なところがあるのか、ちょっと、建築の専門以外の人には伝わりにくい部分もあるのではないか。

     その他、おもしろいフレーズが多々ある。

    ①これまでの都市計画が大きなやじるしだとすれば、これからのアーバンデザインは、小さなやじるしの集合体だが、全体として緩やかにある方向へ向かう。(p225)

    ②空間を読み解く感性を持っていれば、東京ほど創造力の隙間がたくさん用意されている街はない。(p197)

    ③縮小の時代の発想は、200年もつ建築を新たにつくるのではなく、今ある建築ストックをせめて50年使えるようにする技術を開発することである。(p16)

     大野さんのグループの熱気は十分伝わってきたが、東日本大震災で被災した中小地方都市の縮退する都市の復興プランについても、是非アドバイスをいただきたい。

     少子高齢化、人口減少の被災地での復興計画に悩んでいるので、参考文献があれば、ご教示をお願いします。
     

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00158605

  • 縮小の議論は最近活発になってきているが、著者と様々なプレゼンテーターとの対談を通してその実践例を多く見ることができる点で有意義な本。

  • わ、見つけちゃった。 ので読んだ。
    考えを整理するのに、こういうところからボキャブラリを増やすのはいいですね。

  • 「ファイバーシティ」名の通り、線状の都市である。拡大の時代しか経験してこなかった都市は基本的に全て面状の構成になっている。50年後に必要なのは線なのである。


    縮小に向かう日本の発展を持続させるには都市の「編集」が不可欠。そう、生成でなくて、編集としての美学。というか楽しさというか不思議に東京にフィットする提案。江戸がじいさんだとするならば、戦後が父親で現在が息子、そして、50年後は孫としての第4世代東京という感じ。

    首都高を緑化して線場の公園にしたり、数珠上につながった駅前の800mの徒歩兼に町が広がったり、防災のための緑のパーテーションをおいたり、ぞくぞくするような提案がファイバーというひとつの言葉で語られている。

    縮小に向かう日本の都市計画の提案としては最も期待したい。

  • 「東京R不動産」を検索したらひっかかった。
    日本政府の予想では、2055年までに4000万人の人口減少があるという。
    また、そのころには高齢者が人口の4割を占めるという。
     この超高齢社会では、有権者の大半は老人なので、高齢者を優遇する政策が取られる。
    そして、2000年では全世帯の1/4が単身世帯、1/3が核家族だが、2025年には単身世帯が1/3、1/4が核家族と比率が逆転するため、なんらかの共同居住形態が必要とされるだろう。
     当然、外国人労働者の受入れ、移民なども必要である。
    コレクティブハウス形態など、面白いかもしれないと思う。
    経済活動なども、明らかに縮小の方向に進むのであれば、建築もそれに対応するべきで、今までのような新築ありきでは立ち行かず、新たなビジネスモデルが求められているのではないか。

    これからたてる建物を100年、200年住宅として、住宅の履歴を管理していくというより、今現在あるストックをどう活用できるか、新築にかたよる技術やシステムを転換させる必要がある。

    都市デザインシステムの梶原文生は「人が集まり、さまざまな時間や体験を共有できるコミュニティが形成される仕掛けをつくること。そして、建築というモノをデザインすると同時に、事業として実現していくための仕組みをもデザインすること」を考えているという点に、深く共感できる。

  • おもしろい。

    都市計画のひとだけでなく、さまざまな分野の有識者が共著。

    ひとつのことをあらわしているはずだと思い込んでいた数字が、

    違う視点での見方を教えてくれる。

    教科書とはちがう面白さ

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