住宅論 (SD選書 49)

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  • 鹿島出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784306050495

感想・レビュー・書評

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  • '美しい響きをもった住宅をつくらなねばならない。それは現代社会のなかにおける住宅と住宅設計が見失ってはならない存在理由なのである。'

    '私はできるだけの努力をして演出しようといつも考えている。空間には無駄がなければいけないが、日常生活の無駄な物体の存在には我慢がならない。なぜなら、無駄な空間は美しいが、無駄な物体は美しくないからだ。だから、そこに演出された空間は、もし仮にその家がいつも乱雑なら、完全に虚構の空間といえるだろう。だが、この虚構を社会の広がりへ持ち出すべきなのである。虚構の空間がもし美しいという評価を受けたなら、その家は社会的な存在となるからである。'

    '照し合せが必要なのは建築家自身の問題なのである。虚構性が幾重にも重なったものとしてしか存在しない作品がもしよい作品ならば、必ず実物もよい建築であるという対応関係を信じてよい。優れた建築ほどさまざまな優れた虚構の価値体系を生みだすものだ。桂離宮という具体的な例をあげてみればよい。桂離宮という虚構の空間は数多く今日存在し、それぞれがりっぱな価値をもっているのである。'

    '私は住宅を芸術であると主張している。その度に誤解のないようにつけ加えているのだがそれは造形という問題においてではなく、住宅設計と社会のかかわり合いのあり方において芸術であり、また芸術にならなければ存在理由がないという主張なのである。社会との回路をより広く用意しておくことは、だから、私にとって従属的な仕事ではない。マス・コミュニケーションによる伝達までが住宅設計の当然の仕事になるわけである。だから、私にとって虚構の空間は決して虚構ではないのだ。'

  • barrack配架

  • (110402)大学1年時以来の再読。印象に残る言葉がいくつもある。

  • 冒頭の「日本伝統論」は読了。

  • すごくハッとさせられる部分が多くて、付箋だらけに成りました。

  • 住宅って何なんだ・・・と深く考えた

  • 篠原一男の深い考察と、好奇心の強さに惹かれた。伝統に対する考え方、設計とは武器を持ち、その時代の人々の心を表現することである。手段と目的を間違えてはいけない。

  • 篠原一男、オトコ前。

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著者プロフィール

しのはら・かずお(1925-2006)
建築家。東京物理学校(後の東京理科大学)数学科卒業後、東京医科歯科大学予科で数学の教鞭を執るも、建築に転向。25歳で東京工業大学に入学し、最終学年で清家研究室に所属する。卒業後はそのまま東京工業大学で教職に就き、設計・研究活動を展開。寡作ながらも批評的で作品性の高い住宅群と、「住宅は芸術である」(1962年)に代表されるセンセーショナルで革新的な言説は、坂本一成や長谷川逸子など研究室の出身者だけでなく、伊東豊雄ら建築界の後進にも広く影響を与えた。1980年代以降、その影響は海外にも及び、近年もなおヨーロッパや中国で関連書籍の出版や展覧会の開催が続く。主な作品に《から傘の家》《白の家》《未完の家》《谷川さんの住宅》《上原通りの住宅》《ハウス イン ヨコハマ》《東京工業大学百年記念館》、著書に『住宅建築』『住宅論』『続住宅論』など。ほかに著作の抜粋集として『アフォリズム・篠原一男の空間言説』(奥山信一編)がある。

「2022年 『精選建築文集1 谷口吉郎・清家清・篠原一男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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