メタル建築史 (SD選書268)

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  • 鹿島出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784306052680

作品紹介・あらすじ

技術史から見たモダニズム建築。材料と構法からエネルギー設備、建築類型から形態と空間に至る、総合的な建築デザイン思想を解析。

メタル建築とは、金属を積極的にデザインにとり入れた建築のことをいう。近代建築を生み出した材料はコンクリート、鉄、ガラスだといわれているが、本論ではそのうちの鉄に焦点を当てることになる。メタル建築の主流が鉄骨建築であることはいうまでもない。しかし鉄には鋳鉄、錬鉄、鋼鉄、高張力鋼などさまざまな種類があるし、鉄以外にもアルミニウム、亜鉛、鉛、錫、チタンといった金属が建築材料として使われている。さらに近代建築では金属は主構造だけでなく内外装仕上げ、建具、設備機械類にも使われてきた。本論ではメタル建築をそうした多様な金属を使った建築の総称としてとらえることにする。……
モダニズムの建築デザインがテクノロジーや機能に表現の根拠を求めたのは、それまでの建築が様式によってがんじがらめになっていたからだった。しかしモダニズムの建築デザインは形態システムそのものを捨てたわけではない。それは意識の上のテクノロジーと機能に隠れて、機械のイメージとなって無意識のなかに忍び込んだ。形態システムをはっきりと意識化したコルビュジエはその意味でモダニズムを超えている。
イズムはいつも意識の上にあるものだけにとらわれる。そしてその反動が意識の否定となって現れる。それがインダストリアル・ヴァナキュラー礼賛である。しかし意識を否定してもテクノロジー自体が透明になるわけではない。抑圧された形態システムは無意識のイメージとなって表現の隙間に滑り込んでくる。それによって生み出されるのはテクノロジーと機能の露出ではなく、むしろその神秘化と曖昧化である。

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著者プロフィール

1947年大阪生まれ。1974東京大学大学院博士課程修了。1977年界工作舎設立。1996年より難波和彦+界工作舎代表。住宅として最低限の性能を最小限の物質によって達成するというコンセプトのもと、単純な箱型の外形と一室空間に近い内部構成による「箱の家」を提案。さまざまに展開する「箱の家」シリーズは140を数える。

「2011年 『木造仮設住宅群』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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