見立ての手法―日本的空間の読解

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  • 鹿島出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784306093157

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  • 2023.04.19 読了
    2022年の年末、サッカーの王様ペレの訃報に世界が驚く中、続いて磯崎新の訃報が入り、建築界は騒然とした。各界の重要人物が連続して亡くなったことに、また一つ時代が終わり新たな時代に進んでいることを否応なく実感した。
    建築業界で働く末端として、磯崎新と真剣に向き合ったことのなかったことを悔いて、早速会社の図書館で氏の著書を手に取った次第である。
    氏はどこか孤高で芸術肌の人間というイメージを勝手に抱いていたのだが、氏の紡ぐ文章は、とても軽やかで論理的で説明的で読みやすく、多くの発見があった。特に、堀口捨己などの建築家や、日本的な空間、桂離宮など、建築の世界を広げてくれる本であった。

    以下、印象に残ったこと。
    ・日本は、時間と空間に区別なく、未分化状態で入り混じる。対して西欧では時間と空間は分化される、絶対的なもの。(日出と日没の時間を6等分する日本の時計。指揮者のいない日本の音楽。平面的な絵。)
    ・ひもろぎ、はし、やみ、すき、うつろい、うつしみ、さび、すさび、みちゆき
    ・4本の柱と領域、結界
    ・さび ひたすら消滅を諦観しながら、瞬間瞬間を生き続けるという姿勢が要請されている。
    ・かつら ブルーのタウト、丹下健三、堀口捨己などの建築家は桂離宮を読解し、現代デザインに繋いだ。
    ・日本の庭の原風景は、須弥山。枯山水も白砂も大海を表す。見立て。
    ・高野山、大峰山は胎蔵界曼荼羅に擬せられている。小宇宙に見立てる。
    ・ゆか 床は元々台。それが大きくなって床となった。日本人の身体動作に染みつく。こもる、あがる、すわる、する、みはらす、かがむ、にじる、またぐ、わたる、ふす、
    ・エフェメラ 立ち現れて消えていくもの。
    ・廃墟は過去の栄光を思わせる。欠けているものに完全性を想像させる。ニュールンベルクのナチ党大会会場の設計提案で、廃墟化した光景を提出した。ピラネージ。

  • 未読。

  • 磯崎さんの文章はムツカシイです。

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著者プロフィール

磯崎新(いそざき・あらた) 1931年生まれ(85歳)。建築家。代表作「つくばセンタービル」でポストモダン建築の旗手と目された。1996年ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展金獅子賞受賞。

「2017年 『空間へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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