- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784306094116
作品紹介・あらすじ
東大教授でもある建築家・内藤廣が、学生たちとの対話を通じて、その人生観を等身大の言葉で語りつくす。才能、自己、将来、死、幸せ…だれもが一度は抱える悩みに真摯に応答しながら、若者の未来の生を応援する。
感想・レビュー・書評
-
☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB05356404詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中古
-
内藤廣氏が語る、建築を通した生き方や社会性について。かなりストレートに発言されており、内藤さんの生き様が力強い言葉で語られている。忖度なしのありのままの建築家内藤廣を知ることができる。
-
たとえば、前川國男、へたくそですよ。ぼくに言わせれば。でもすこしちがう目でながめれば、すばらしいと言わしめるもの、前川さんにしかできないものを厳然として持っている。そういういろいろな価値、いろいろな生き方があるということを大学は教えないで、目先の要領のよさだけ競わせる。
ようするに大学っていうところには、そういう価値を評価するシステムがないわけですね。きわめてかぎられた、偏った価値観で人をあきらめさせたり、可能性の芽を摘んだりしている
制度とか、仕組みとか、価値観とか、そういうものはほとんど無意味。世の中がねつ造したストラクチャーにはまって生きている
ものづくりにたずさわる人の資質-孤立感。
孤独に耐えられないと、ものはつくれない
ぼくらをガチガチに縛っている日常から離脱しないと甘受できないようなものが、身の回りにはたくさんあると思う。そういうものに心をひらくことができるかどうか
想像力というのは、なにごとかを失ったときにはじめて大きな振幅を持つことができるのではないかと思う。つまり、大切な何かを失う、なにかがなくなるという事の中に、想像力のカギがあるような気がする
家庭におけるぼくというのは、妻にとっての夫であり、父母にとっての長男、娘にとっての父、、、、さまざまな役割を演じているわけでだけれど、もしそれを毎日毎日繰り返していたら、ものを作るうえでのなにかが失われる
東京に部屋を借りて、週末だけステレオタイプな人間としてできるだけ努力している
器用に美しく描く能力とは違った次元の能力があった。文化や人間に対してのビジョン。そのほうがはるかに重要
彼のあきらめなかった人ではないかな。思考の深さというものがきわめて卓越していた。でもその深い思考が、目の前にある建築という対象となかなか結び付かなかったんだろうね。結びつかないから、言葉が難渋になってわかりにくくなり。それがあるとき、ぱっとむすびついた。
よくわからないまま必死でやって、とにかくこれしかできないということ。その三年後とか、五年後とかにああ、あれはこういう事だったんだなと実感できる、本物だと思う
なにかに必死で向き合って結論を出したときというのは、そのときの自分を越えているはず。ベストを尽くしたときというのは、どこかでジャンプしている。自分を越えた度合いが大きければ大きいほど、わかるのにも年数がかかる。
やっている最中はともかくいやでいやでしかたがない、どうしてかというと、そのときの自分を越えているから。だけど、何年か経つとわかる。そこで出てきたものが個性なんだよね。
円の枠をすこしでも超えると、わからないことが出てくる。そのわからないことをどうするかというときに、クリエイティビティが発揮される
常に自分の縁からはみでることを自分に課し続けられるか、それが分かれ目
評価されることを目標にすすめると、結果として生まれるものがゆがむ
けっして絶対評価ではない。あくまでも判断基準が不明瞭な相対的な評価でしかない。
→結局、好き嫌いの範疇を、越えない。
その都度、勘でやっていくしかない。そうしないと既存の価値観のなかでしか評価できないことになる。 -
読みやすく、でもなんとなく深みがあるような気のする、彼の講演のような文章(話したことの書き起しだから、当然といえば当然だけど)。
示唆に富むフレーズが多く、ページの肩をたくさん折った。ただし建築の話は少ない。生き方が魅せるのだ。
※とくに印象に残った箇所をメモ(そのままの引用ではない):
・決断を、あとから一生懸命正解にする。(p.34)
・東京に部屋を借りて、週末だけ鎌倉の自宅に帰るという生活。妻の理解。(p.71)
・評価されたことをよしとするか。理解されたということは、時代に追いつかれてしまったということ。(p.118)
・自作について語るのは、興味を持ってもらうため。建築(界)全般について語るのは、今の建築(界)はおかしくて、価値を外に開きたいと思っているから。(p.135)
・相手を説得するな。納得してもらうこと。(p.163)
・他人を普通にみる。目線がいつも水平。職人と、一人の人間として付き合う。(p.167)
・「負けず嫌いは身を滅ぼす」。局地戦では負けてもよい。(p.174)
・国が消滅するなら、言葉が奪われたとき。(p.200)
・20代はセンサーに優れ、30代からは経験値でカバーする。(p.248) -
才能というのは、もともとあるとかないとか語れる主値のものではなくて、ある意味では、あらゆる人に才能だとか能力がある。たまたま、その時代に要領よく同調している人のことを才能と呼んでいるかもしれないけど。
論理がない創造はない。
人の評価は気にしない。
評価なんて、しょせん他人がやることでもあるし、自分から望んではいけないことだと思うようにしている。
常に自分の円からはみ出ることぉ、自分自身に課し続けられるかが、クリエィティブに生きれるかどうかの分かれ目。
自分の頭できちんと考えたことだけを文字にする。 -
書店でふらっと建築の書棚を眺めていて、手にした「3.11」と題された本。
様々なプロフェッショナルの震災後の建築、都市についてのビジョンが描かれていた。
その中に“25673 dot 2011.5.1”というスケッチがあった。
作者は内藤廣という建築家。
2011年5月1日時点での、震災での死者、行方不明者の人数を自らの手でひとつひとつプロットしたのだという。
この内藤廣という人の本をすぐに探し、「内藤廣の頭と手」とこの本を買った。
本書より。
「ぼくは若い時期に、ほんとうにすばらしい人たちにたくさん出会うことができた。…その点でぼくはすごく恵まれている。」
大学で進路に悩むこの時期に、この本、この人に出会えたことは、「すごく恵まれてる」と言えるのではないかと感じています。 -
オススメの理由
この本は、ココロのご馳走本です。
建築家、内藤廣と大学生の対話集なのですが、早熟なら小学生高学年から人によっては死の間際にあっても、この本を読むと元気がでると思います。就活をしているときにもピッタリ。
内藤廣の人生体験、深い思考からくる言葉は、臓腑に落ちます。学生たちの質問やツッコミをがとっても的確でいい、勉強になります!章立てや各章の長さなどテンポが良くて、読みやすい。本の手触りや写真を駆使したデザインもいい。
推薦者のページ
⇒http://booklog.jp/users/kokoro-uta -
「一匙のスプーン本」
ー心の見えない襞まで掬って(救って)くれる本
神様、この本に出会わせてくれてありがとうございます、と心の中でつぶやいてしまった。
建築家、内藤廣と大学生たちの対話集なのですが、
早熟なら小学生高学年から人によっては死の間際にあっても、この本を読むと元気がでると思います。
オススメポイント
1)内藤廣の言葉は臓腑に落ちた生きた言葉=本物
2)学生たちの質問がものすごく的確、いいつっこみ
3)章立て、各章の長さ、など、テンポがとても良い=編集が良い
4)まず、本の手触り(クラフトペーパー)がいい。写真を駆使したデザインなのだが、写真の意味がジワジワでてくる。 -
30年後こうやって若者と語り合えるおっさんになれているだろうか。。。