江戸ふしぎ草子

著者 :
  • 河出書房新社
3.31
  • (1)
  • (5)
  • (8)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 70
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309010045

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 資生堂の「花椿」に連載していた「にっぽん草紙」の単行本。江戸時代の人々の日常や不思議な話を綴ったもの。短編なのですごく読みやすかった。この本のシリーズはみな面白く朝読にぴったり。「結び人」、「甘酒売り」が好き。

  • 紐や帯だけでなく、男と女を繋ぐ糸も結んでは解いてみせる『結び人』。
    文明開化の波の中に消えた『神足歩行術』。
    幕末の動乱のなかを旅し、絵を描き続けた『女絵師』。
    秩父の山中で花火を打ち上げようとする『花火師』。
    将棋に夢中になり、嫁にいかぬと言い切る姫君を負かす役目を負った『将棋指し』。
    望みの夢を見ることができるという枕を売り歩く『枕売り』。
    煙芸師、鋳物師、経師屋、甘酒売り、的人、富突、生人形師、仕組屋、俳諧飛脚……現代ではあまり知られていないけれど、かつて確かに存在した職業、その職人たち。
    彼らを中心に、庶民の日常の機微を静かに描く江戸のおとぎ話。

    調べてみると本当に沢山、細々とした職業があって驚かされる江戸時代。
    この本にも現代には失われてしまった、でもつながりは何かにしっかりと残っているような職業が沢山描かれています。
    それでもほんの一部に過ぎません。
    海野先生の書かれる文章は平易で優しいので、時代劇初心者にオススメ。

  • 20編にわたる江戸時代の庶民の話を

    綿密に調べられた史実に海野弘が温かい命を吹き込んだ作品。

    あの資生堂の冊子、『花椿』の連載された「にっぽん草子」を

    改題して本にまとめあげた作品です。





    結び人、煙芸師、神足歩行師、鋳物師、女画家、深川の悪婆、

    蠅取り武士、穴掘りの意地、経師屋、花火師、松前風流女、

    甘酒売り、的人、生人形師、などなど。。。




    ほろりとくるような人情ばなしや、「ほう、そんなことが、、、」と

    驚くような史実など、短くまとめられた話は飽きる事が無い。

    特にお気に入りが、『花火師』    西洋の花火に見せられ、

    密かに実験して見つかり鍵屋を破門にされた花火師が

    秩父の田舎の山村で、村人に見せたやりたいと強く請われ、

    当時江戸以外では御法度だった花火を地方で打ち上げるはなし。

    当時、村よりでる事も無く、行商人からの話でしか知らない江戸の大花火を

    生まれて始めて見て、村人たちがどんなに驚いて喜んだか、

    又花火師の一世一代の花火に寄せる大きな拍手と賛辞に

    身震いするほどの花火師の幸福感。花火師は花火があがったという

    噂に調べる役人たちから逃れるため、隠密に逃がされて

    結局は村人が狐に化かされたのであろうという話になった。。。。という話。

    江戸時代の人々の息づかいが感じられた本だった。

    楽しいシリーズは他にも何冊か。いかがでしょうか?

  • 江戸シリーズ1作目
    資生堂発行雑誌「花椿」に連載していた「にっぽん草子」を改題、加筆したものだそうです。
    江戸の粋で情がある風景を毎回違った形で表している短編集です。
    4,5冊目から読んでしまった私にはちょっと堅くて大人向けで読みにくかった所がありました。作者も後のあとがきで記載してるとおり元になる資料を割りと忠実に作品にしてるので、説明文が多かったかな。
    個人的に坂本竜馬は神足歩行術を習っていたか、知り合いがいたと思う。

  • 海野 弘というと,80年代には,松山 巌,藤森 照信,荒俣 宏などと並んで近代初期美術や都市論の分野では大いに鳴らした論客だと思っていたが,最近はお江戸ブームに乗ってか,このような女子供向けの創作短篇集 (悪い意味ではない) も書いていたとは驚いた.内容はごく平易,’かつ軽く読めるものが多いので読む場所を選ばない.また,鈴木 春信の浮世絵をサンプリング,コラージュしたイラストのカバーも良いデザインである.ところでこの短篇集,主人公たちは,世に容れられずに不遇の場所に甘んじている学者.という設定が多いような気がするが,これは著者の投影なのか…と思ってしまうのは穿ち過ぎか.

  • <FONT color="#666666">実用的でないからと捨てるべきではない。<br>
    何かの時に役に立つことがある。<br>
    なにごとも、知ることはむずかしく、捨てることはたやすい。<br>
    価値のないように見えるものも軽んじてはならない。</font><br><br><br>
    史実にフィクションを加えてお話しとして本になっています。<br>
    短編が数個載ってるんですが、1つ1つの題材に片面1頁解説が付いていると言う結構丁寧な作りに成っています。<br>博物館とかで物を見る目が少し変わるような本でした。

  • 情がね、あるね。素敵だね、ホント、この時代の人々。甘酒飲みたい。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

美術評論家。1976年から平凡社『太陽』の編集長を務めた後、独立。幅広い分野で執筆を行う。

「2023年 『アジア・中東の装飾と文様』 で使われていた紹介文から引用しています。」

海野弘の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
海野 弘
海野 弘
米澤 穂信
森見 登美彦
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×