みだれ髪: チョコレート語訳

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309012285

作品紹介・あらすじ

妻子ある鉄幹への狂おしい熱情と官能のよろこびをうたいあげた、与謝野晶子の革命的歌集『みだれ髪』。愛ゆえに、畏れを知らぬ若き女のデビュー作は、娼婦の言葉、"乱倫"といわれスキャンダルを巻き起こすが、のちに文学史上の金字塔となった。晶子以来の天才歌人、あの『チョコレート革命』の俵万智が、恋する女なら誰もが心に秘めている、甘くてほろ苦い"チョコレート語"で甦らせる、百年の恋の陶酔。

感想・レビュー・書評

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  • 『人生を狂わす名著50』からの本書。ニュアンスを変えずに、現代のシチュエーション・現代的な表現にして、さらに五七五七七に当てはめる技はすごすぎる。『人生を~』でピックアップされていた歌だったと思うけれど、「二十歳とはロングヘアーを~」が鮮烈。

  • 与謝野晶子といえば、国語の教科書に載っている反戦の人というイメージで20余年生きてきた。社会人になって代表作『みだれ髪』が女性の性愛表現として当時衝撃を与えたという知識を得て、原著にあたったところ正直難しく1年以上読むのを放棄していた。宿泊した温泉宿にて置いてあったこちらの本を偶然発見して読むに至った。

    31語を31語の現代語に訳すという俵万智の試みは普段短歌に馴染みのない自分でも意味やその短歌の空気感を理解することができた。性愛表現で衝撃を与えたという事前知識からどんなエッチな表現があるのかと期待しながら読み進めていたが、現代の感覚からするとそこまでのものはなかった。自由恋愛そのものがまだ浸透していない時代に女性が"性愛"自体に言及することが衝撃であったのである。

    余談だが、俵万智が天才歌人というのもこの本を通じて理解できた。こんな訳、他に誰ができようか。

    与謝野晶子:みだれ髪を京の島田にかへし朝ふしてゐませの君ゆりおこす
    俵万智訳:朝シャンにブローした髪を見せたくて寝ぼけまなこの君をゆりおこす

  • 短歌を味わうには私は未熟すぎてあまり理解できなかったが、「『意味を理解してもらうための訳』というより、『晶子の短歌の匂いを感じてもらう訳』というのを目指した」というのは伝わってきた。「みだれ髪を京の島田にかへし朝ふしてゐませの君ゆりおこす」「朝シャンにブローした髪見せたくて寝ぼけまなこの君ゆりおこす」

  • 俵万智 「みだれ髪 チョコレート語訳」、1998.7発行。「みだれ髪」(明34)は、与謝野晶子の22歳の時の歌集。晶子の三十一文字を万智の三十一文字で翻訳する。素晴らしいです。自分が知ってる歌は晶子に軍配、自分が知らない歌は万智に軍配w。知ってる歌は少ないですがw。チョコレート語訳をいくつか。①朝シャンしてブローした髪を見せたくて寝ぼけまなこの君ゆりおこす ②隣室の君の寝息を聞きながらその夜は君を抱く夢を見る ③燃える肌を抱くこともなく人生を語り続けて寂しくないの

  • 短歌作りを始めたので、約20年振りにこちらの本を読みました。

    若くて美しい自分のことを何にも遠慮することなく堂々と伸びやかに歌う与謝野晶子にこちらの方がたじろぐ気分になりました。

    難解な与謝野晶子の歌を読んでから俵万智の訳を読むと、あぁ、現代語で表現するとこんなふうになるのかと感心し、その反対に俵万智の歌から読んでいい歌だなぁと感じてから元の歌を読むと与謝野晶子の着眼点の素晴らしさに気付きました。

    いろいろな方向から歌を味わうことができました。

  • 口紅もやめてしまおう海棠に降る有雨を鬱々と見る

    与謝野晶子の31文字を、俵万智の31文字で訳したもの。
    サラダ記念日を読み俵万智さんをもっと知りたくなり手にとった一冊でした。
    与謝野晶子さんは地元、大阪府堺市にいた人で小学校の頃に習ったときに先生が「大人になったときにもう一度勉強してみてください。」と言っていた意味がこの本を読んだおかげでようやくわかりました。
    エロチックかつ儚く、せつない。
    与謝野晶子さんという人が、私の中に一気に入ってきた。素敵なチョコレート語訳です。

  • サラダ記念日と一緒に見つけたので買ってみました。どうやら上巻みたいです。

    与謝野晶子のみだれ髪を俵万智風に翻訳するという試み。
    これは企画の勝利だと思います。

    私は全く短歌に明るくなく、さらには与謝野晶子も名前くらいしかちゃんと分かっておらずで、
    どんな人生をたどった人なのか、その背景までわかればもっと面白く読めたのかも知れないけれど、
    一読した今の状態では正直言って原文の短歌はほとんど意味がわからなかった。
    だけど、俵万智の役のおかげで、こんなことが言いたかったのね、と飲み込める感じ。
    こういう風に勉強できたら、きっともっと若い頃から短歌に興味を持てただろうな。

    与謝野晶子どそれを取り巻く人々の背景を勉強してから読むともっと面白く読めそう。また読みたい。

  • 俵万智のあとがきを先に読んでから本編に進むと少し理解しやすいかなと思った

  • 与謝野晶子なのに俵万智。
    俵万智なのに与謝野晶子。
    そんな世界観、語感。

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著者プロフィール

1987年の第1歌集《サラダ記念日》はベストセラー。歌集に《かぜのてのひら》《チョコレート革命》《プーさんの鼻》《オレがマリオ》《未来のサイズ》《アボカドの種》、評伝《牧水の恋》、エッセイ《青の国、うたの国》など。2022年、短歌の裾野を広げた功績から朝日賞を受賞。読売歌壇選者のほか、宮崎で毎年開催される高校生の「牧水・短歌甲子園」審査員もつとめる。

「2023年 『旅の人、島の人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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