ブエノスアイレス午前零時

著者 :
  • 河出書房新社
2.96
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本棚登録 : 239
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (146ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309012339

作品紹介・あらすじ

場末の温泉旅館にブエノスアイレスの雪が舞う。老嬢と青年の孤独なタンゴに幻滅とパッション、リリシズムと幻想が交錯する胸うつ名作。芥川賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • パルコ劇場で舞台化されたので読んでみることに。大好きな女優の原田美枝子さんが出ていたからと理由だけなのだが。二編作品が収録されているが、登場人物の心情や情景描写に入り込めなかった。こんな人たち、こんな心情あるのかなぁと対岸の向こうの世界を覗いて終わった感じだった。藤沢周さんの作品はちょっと僕には楽しめないかなぁと率直に感じた。多分、相性ってことかな。ブグログやっていたことすっかり忘れていた。半年ぶりか。あっという間に時間が過ぎていくなあ。

  • 【ブエノスアイレス午前零時】
    自分の人格が変わる瞬間・時間軸は誰にだってあるんじゃないかな。痴呆だろうが青年だろうが。
    そして、強烈に覚えているものは、どんな状態になろうとも、覚えているものだ。
    情景が浮かぶ文章。心情が懐かしさを呼び起こす文章。
    場所と時間、誰にだって胸によぎる出来事はあるだろう。

    【屋上】
    なにかに自分を重ねてしまうのは知能が発達してるからかな。
    それが人間。
    そこになにが映っているか、なにを垂れ流しているか、なにを鼓膜に響かせているか、なにが胸奥に去来してるのか。
    多分こいつは死ぬ。

  • 芥川賞受賞作なので読んでみた。
    この作家のものは初めて。
    表題作も良かったけど、併録されている「屋上」がなんか好きやと思った。
    孤独感の表し方?
    登場人物は少なからず出て来るし、孤独を感じさせる描写が無いのに、最後まで孤独だった。 
    あと人物描写(特に厭な人間に対して)が上手いと思った。

  • 本当に申し訳ないが、実は藤沢周平さんと思い、『こんな洒落たタイトルの本も書いてるんだ…』なんて思いながら手に取った。

    『ブエノスアイレス午前零時』ままならない者どうしの一瞬の邂逅では、音が、動きが、見えたような気がした。
    他作も読んでみたいと思った。

  • なんじや

  • 藤沢周を読もう、第一弾。


    芥川賞作品。そういえばそのことを認識してから
    読み始めたのは初めてだ。

    だからなのかな。そこまで心には響かなかった。


    これをきっかけに過去の受賞作を調べてみると
    限りなく透明に近いブルー(村上龍)、スティル・ライフ(池澤夏樹)、パーク・ライフ(吉田修一)が。
    知らず知らずのうちに芥川賞に触れていたことを知れた一冊。

  • 雰囲気を楽しむものかな、と思った。ひなびた旅館で、老女と踊る。そこだけ赤い色がついてる絵。痴呆と白痴。男性の方は、昔良く見た男性の理想とする男性みたい。屋上も同じく、昔よくあった屋上遊園の話だね。もういまは殆ど見ないけど、ちょっと懐かしかった。

  •  場末の温泉旅館にブエノスアイレスの雪が舞う。
     軽い認知症の老嬢と青年の孤独なタンゴ。
     生きることに疲れ東京から逃げてきた主人公は奥深い雪国の流行らない温泉旅館で糊口をしのいでいる。そこに現われた社交ダンスの団体客、そのひとりの老嬢との出会いとまぐわい・・・・になるのか?

     年末に観劇予定作の原作であるので読んでみたが、これがなぜに芥川賞なのか?

  • 分かるけど、僕にはあまり感じられませんでした、この空気感。言葉のひとつひとつで表現したいということは分かるけど、それがうまく入ってこない。表現しようとしている世界観は独特。でもそれがうまくいっているかというと、なんかびびっと来なかった。非常によくまとまってはいるが…例えや描写が効果的だと思えないが、それが新しい表現の模索なのか、僕には少し陳腐に思えてしまいました。

    屋上の方がよかった。日常をマシに、日常を愛する、少し嘘くさく陳腐な男だが、そのための彼なりの努力ということで認めよう。しかしコイツの感覚はよくわからん。分かるのもある、ハッとすることもある、がしかし基本的にぴんとこないから楽しめない。

  • ブエノスアイレスという名前がタイトルにあるにもかかわらず、ほとんどの舞台は新潟のさびれた旅館。
    主に登場するのはこの旅館に勤める青年カザマと周りから迷惑がられている老婆ミツコ。
    この旅館で行われるダンスパーティでミツコが語るブエノスアイレスの日々に、カザマは引き込まれて行く。
    ミツコのことをみんなが耄碌した老婆と蔑んでみるのですがカザマはそうは感じていない。
    そして読んでいる側もそう感じない。うっとりと語るミツコは何だか妖艶で魅力的、カザマとのダンスシーンはまるで少女のようであった。

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著者プロフィール

1959年新潟生まれ
書評紙編集者を経て93年「ゾーンを左に曲がれ」で作家デビュー。98年「ブエノスアイレス午前零時」で119回芥川賞受賞。著書『サイゴン・ピックアップ』『オレンジ・アンド・タール』『箱崎ジャンクション』『雨月』『さだめ』『幻夢』『心中抄』『キルリアン』『波羅蜜』『武曲』『武蔵無常』『サラバンド・サラバンダ』小説以外に『安吾のことば』など

「2020年 『言葉である。人間である。 読書術極意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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