僕とみづきとせつない宇宙

著者 :
  • 河出書房新社
3.31
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本棚登録 : 62
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309013848

感想・レビュー・書評

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  • 僕の独り言が好き

    切ないなあ~~

    この終わり方・・・

    う~~~

  • 恋人の妹と同棲するお話。

    主人公には目も当てられない感じだったので自分が擦り切れたボロ雑巾のように感じました。

  • え、なんでみづき死んじゃうの?

    日記をそのまま本にしたみたいな本。主人公はイケ好かないけど、飾らない、これが嘘偽りない自分なんだ、って感じ。カッコつけの自分も、不安な自分も、強がりな自分も、全部自分。

    自分に自信というか根拠のない確信を持って突き進んじゃうけど、やっぱり傷ついたり不安になったり、また強がったり。

    みづきについては、フツウと少し違って、それでフツウから少しズレてしまったから、拒絶されるのをすごく恐れてる。

    見た目が全然違えば、―たとえば、私と犬とか―違いは分かりやすいけど、人間はみんな似てて、ほんとは違うってことを、すぐに忘れちゃう。


    印象に残ったのは最後の何ページかだけなんだけど、全体的にすごく率直というか、10代目線の、言葉にならないけど普段何気なく世界に感じてることが文章になってるって感じ。

    “僕はどこまでも、僕としてしか生きられないのだ。”たとえそれが、珠美の望むような僕じゃなかったとしても。たとえそれが、僕のまわりの人たちに、まったく望まれないような僕だったとしても…”

    “自分の愛することのできない世界を、子どもに愛せといってもむだなのだ。ほんとうに心から、生きることは素晴らしいと、自分の人生を子どものまえで愉しんでみせること。”

    “僕がカケイを嫌いなのは、僕がカケイと話すといつもいつも傷つくのは、けっきょくこいつが人を、世界を、優越感と嫉妬、そのどちらかでしか捉えることができないやつだからだった。そして、こいつが、ものすごく上手な嘘つきだっただからだった。他人に対してだけでなく、自分自身に対しても。それで、そのことを、自分じゃ気づいていないのだ…。”

    “生きるということは、ひとに触れるということだ。それは時にひとを汚すことであり、ひとに汚されることでもあるだろう。ひとと係わるということは、そういうことだ。だとすれば、あの夏、僕はたしかに生きていた。我知らず、なんの躊躇もなく。”




    最後、あっけなくみづきが死んじゃったのは、ひと夏の思い出を綺麗なものにするためだったのかな。心の中のキラキラした宝石を、より儚く見せるため?

    わかんないけど、何て言うか、死んじゃうなんてずるい。

  • タイトルと装丁、カバーにあった筆者の言葉、冒頭の星の王子様の抜粋に惹かれて読んだ。

    私の日記レベル!!!笑

    芸術としての文学に触れたくて手にとったという、私のタイミングが悪かった。
    アホな大衆文学で気分転換したかったのなら、楽しめたと思う。残念。

    それにしては、あの私が惹かれちゃった上記の部分ね。素敵すぎやしないか。笑

    作者がみづきをとっても可愛がっていることはわかるのだが、イマイチ彼女の言動にぐっとこない。きっと筆者の中では、魅力的な女のコとして、泣いて笑って喧嘩して、生き生きと輝いているんだろうな。
    主人公を含め、登場人物の魅力を著すことの難しさを痛感した。

    ストーリーには特にどんでん返しもなくスムーズな流れだが、予想外だったのはラスト。なんで。インフルエンザて。そうしなきゃ伝わらなかった何かがあった?私にはつかめなかった。
    無理に星の王子様になぞらえたのか、とか意地悪に思ってしまう。


    ただ、胸に残るフレーズは、いくつかあった。

  • (自称)天才ミュージシャンのトオル。それなりの才能、それなりの容姿。
    デビューを約束され、学校を辞め、アパートメントでひとり暮らし。
    目覚めると隣には昨晩ひっかけた女の子。未来にも一点の翳り無し。

    そんなトオルの前に現れる少女、みづき。
    少年の格好。男勝りな性格。恋人の妹。家出少女。奇妙な共同生活。

    居ると鬱陶しい。居なくなると寂しい。
    そんな弱さの物語。


    迷うこと無きタイトル買い。
    自信漫々、プライドの塊であるトオルの独り語りで綴られる体験談。
    みづきは乱暴者で泣き虫。トオルの音楽が好き。スカートは嫌い。
    プリンとチョコが大好き。物を捨てられない。すぐ居なくなる。
    そして可愛い。
    みづきと暮らした夏は理不尽で切なくて、悲しい。

    人が一人でも生きられると勘違いする一瞬の青春時代を柔らかく、痛々しく切り取った物語。
    好みは分れるだろうけど、好きな人には堪らない“あの時どうして”系。
    大切だということに失う前に気がつける能力は、人間がいくら進化しても備わらない機能かも。
    命の尊さとか、地球環境とか、トイレットペーパーとか。


    平中悠一、その他の著書

    ・ミラノの犬、バルセローナの猫
    ・She’s rain
    ・アイム・イン・ブルー

    などなど。

  • みづきがすごく可愛いんだ。そして主人公もまた可愛いんだ。
    タイプの違う2人だからこそ成立し得た話だったんだと思う。

    高校の時に初めて読んで、大学の時に読んだら印象が変わってガッカリした覚えがある。
    今読んだら、どんな風に感じるのかな。
    本棚に眠っているそれを、引っ張り出したくなった。

  • 名前が一緒なので読んでみた。
    せつないが心温まる話だった。

  • タイトルに惹かれて、手に取りました。

    最初は、やたらに長いだけのお話なのかな〜・・・
    なんて思ってたけど、読むうちに、最後のほうはドンドンのめり込んでいきました。

    え?うそ。
    って感じでちょっとあっけないところもあったんだけど、
    なぜだか納得できるような。
    そんなもんだよね人生。(って最近そればっか思ってる気がする)

    最近見たお芝居と同じく、「相手への思いやりを忘れず、いつ何が起こるか分からないから気持ちを伝えよう」というメッセージを受け取ったような気がしました。

    全体的にせつないお話です。

    ☆抜き出し

    あとになって、僕は気づいた。
    人はとても、とてもかんたんに傷つくものなのだ、と。
    傷つくということは、ごくふつうのこと、すごくよくあることなのだ、と。
    そして、自分が傷つけられたということに、自分ではその時はどうしても気づけないということも・・・。

    傷つくことは、あたりまえのことなのだ。
    あたりまえのことなのだから、それでいちいち他人を、責める相手をさがすこともないかわり、自分自身を責めることもない。

    珠美は、このスーパー可愛い僕のGFは、僕の溢れる才能にいっさい関心ない、ってことをあらわしていた。
    そんな女のコ、他にはいなかったし、そしてそれは、だから僕が不愉快になるということではぜんぜんなくって、ヘンな話のようだがむしろ、スーパー可愛いということとおなじくらい、ううん、なぜかそれ以上に、僕が珠美に惹かれた理由のような気もした。

    悩んだり迷ったりしたときは、自分のいちばん好きなこと、得意なことを、自分にとっていちばん大事なことをきちんとやる。そうじゃないと人はますます煮詰まって、出口を見失ってしまう。悪循環だ。しまいには自分がいったいだれなのか、何ものなのかさえあやうくなったりして…。

    僕がカケイを嫌いなのは、僕がカケイと話すといつもいつも傷つくのは、けっきょくこいつが人を、世界を、優越感と嫉妬、そのどちらかでしか捉えることができないやつだからだった。そして、こいつがものすごく上手な嘘つきだったからだった。他人に対してだけでなく、自分自身に対しても。
    ようするに、カケイはほんとうは、ほんとうに自分に自信のないやつだった。自分を他人、目のまえのだれかといつも比べていないと不安になってしまうということは、そもそも自分が素寒貧だということを自分で判っているからだ。自分で自分が素寒貧だと思っているからだ。自分では、自分の値打ちが見出せないのだ。
    カケイにはほんとうはなにもないのだ。これが自分だ、っていえるようなものが、なにひとつ。
    そしてそれでもヘーキなフリをしている。他人にも、そして自分にも。ほんとはヘーキなんかじゃないくせに。

  • 7,8年前に読んだ.
    今読むとどう思うのかな?
    モロゾフのプリン.

  • 僕と男の子っぽい女の子・みづきとの突飛もない出逢いから別れ<br>
    までを描いた物語。ラストがありきたりすぎるのが玉に傷か。<br>
    文章のタッチは嫌いではないし、比較的読み易い。

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著者プロフィール

平中悠一(ひらなか・ゆういち)
1965年生。17歳で書いた『She's Rain』で1984年度文藝賞受賞、長編小説3冊ほか単著13冊刊行。2005年渡仏、パリ大学修士課程修了後、パトリック・モディアノ(2014年ノーベル文学賞)作品等の翻訳や学術論文の発表も開始。専門は物語理論。東京大学大学院博士課程修了。

「2024年 『「細雪」の詩学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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