- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309014586
作品紹介・あらすじ
マネーゲームに明け暮れるディーリングルームを抜け出しアジアを歩いて見えてきたものは。第七回蓮如賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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ふむ
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文革直後の中国、インド、カンボジア、イラン、サウジアラビアなどの紀行文。
著者が自分の気の弱さのせいで生じたいろいろな事態に悩むところが生々しい。
カンボジアのジェノサイド博物館には行ってみたい。 -
イスラム教シーア派の嘆きと悲しみは、むしろイスラームによって古代ゾロアスター文化から切り離された喪失感に由来する。私たち日本人もまた近代合理主義によって父祖の歴史から切り離されたが、私たちは彼らのように精神的に仮託できる物語を消失してしまった。
一方で歴史も伝統も文化の蓄積もない、人工的に捏造された大国アメリカによるグローバリズムの席巻。それはアメリカ人の永遠に満たされることのない寂寥感に対する孤独な復讐なのかも知れない。 -
現代版「東方見聞録」っていうところ。
著者自身が中国、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、サウジアラビア、イランなどを旅行(視察?)した際の紀行文集。
文革開放直後の中国や、ポル・ポト政権崩壊後間もないベトナム、カンボジア・・・とにかくどの国に関しても、その時々の町の様子や、人とのふれ合い、想像出来る限りのそれぞれの葛藤が、鮮やかに表現されてる。
しかも文体が読みやすい。説得力がある。
こんな風に世界を旅することができたなら、自分の問いを明確にして、その答えを求めて行動出来たら、どれだけ自分の世界観を変えることができるんだろう。
通読してみて感じたのは、常にどこかに疑いの余地を残しておくことの重要さ、他者や他国を見ずして己を語ることなんてできないということ、現代世界の平和、モラルや倫理が崩壊するということの意味する所。
ニュースでは、ほぼ一面的な捉え方しか流れてこないけれど、真に多面的な考え方を身につけたかったら読んだ方がいい。
狂気の中にも正義はあるし、常識を統一していくことは果たして正しいのだろうか、なんて考えさせられる。
東南アジアを旅する前に読んでおきたかった。
人間の残酷性みたいなものも感じてしまって辛くなる所もあったけど、概ね貪り読みました。
高校生に読ませたい一冊。
でも絶版。