なんじ自身のために泣け

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 28
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309014586

作品紹介・あらすじ

マネーゲームに明け暮れるディーリングルームを抜け出しアジアを歩いて見えてきたものは。第七回蓮如賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 文革直後の中国、インド、カンボジア、イラン、サウジアラビアなどの紀行文。

    著者が自分の気の弱さのせいで生じたいろいろな事態に悩むところが生々しい。

    カンボジアのジェノサイド博物館には行ってみたい。

  • イスラム教シーア派の嘆きと悲しみは、むしろイスラームによって古代ゾロアスター文化から切り離された喪失感に由来する。私たち日本人もまた近代合理主義によって父祖の歴史から切り離されたが、私たちは彼らのように精神的に仮託できる物語を消失してしまった。
    一方で歴史も伝統も文化の蓄積もない、人工的に捏造された大国アメリカによるグローバリズムの席巻。それはアメリカ人の永遠に満たされることのない寂寥感に対する孤独な復讐なのかも知れない。

  • 『拒否できない日本-アメリカの日本改造が進んでいる』で有名となった関岡氏によるアジア・中東旅行記。
    以前から、同氏にはある種の期待と親近感を抱いていたが、本書を読んで、自分と多くの共通点を有していることがわかり、嬉しくなったものです。

    今回、改めて読み直して、氏の慧眼に驚きました。もっと注目されるべき人物だと思います。

  • 現代版「東方見聞録」っていうところ。
    著者自身が中国、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、サウジアラビア、イランなどを旅行(視察?)した際の紀行文集。

    文革開放直後の中国や、ポル・ポト政権崩壊後間もないベトナム、カンボジア・・・とにかくどの国に関しても、その時々の町の様子や、人とのふれ合い、想像出来る限りのそれぞれの葛藤が、鮮やかに表現されてる。

    しかも文体が読みやすい。説得力がある。

    こんな風に世界を旅することができたなら、自分の問いを明確にして、その答えを求めて行動出来たら、どれだけ自分の世界観を変えることができるんだろう。

    通読してみて感じたのは、常にどこかに疑いの余地を残しておくことの重要さ、他者や他国を見ずして己を語ることなんてできないということ、現代世界の平和、モラルや倫理が崩壊するということの意味する所。

    ニュースでは、ほぼ一面的な捉え方しか流れてこないけれど、真に多面的な考え方を身につけたかったら読んだ方がいい。

    狂気の中にも正義はあるし、常識を統一していくことは果たして正しいのだろうか、なんて考えさせられる。

    東南アジアを旅する前に読んでおきたかった。

    人間の残酷性みたいなものも感じてしまって辛くなる所もあったけど、概ね貪り読みました。

    高校生に読ませたい一冊。

    でも絶版。

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著者プロフィール

評論家・ノンフィクション作家。1961年東京都生まれ。2001年、早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了、著述活動に入る。刊行後10年で23刷のロングセラーとなった『拒否できない日本』(文春新書)、第2回国際理解促進優良図書優秀賞を受賞した『帝国陸軍 見果てぬ「防共回廊」』(祥伝社)をはじめ、著書多数。

「2014年 『日本は「戦後」を脱却できるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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