- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309015897
作品紹介・あらすじ
この憎悪はどこから生まれたのか?兄と弟の壮絶な家庭内ストーキング。史上最年少・17歳。第40回文芸賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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簡潔に要約すると、兄弟喧嘩の話。
たかが兄弟喧嘩とはいえ、ここまで来ると笑えないレベル。
なにより、どこの家庭でもある兄弟喧嘩を小説のネタにしてしまえる発想がすごい。部屋の物の配置とか細かい部分まで書ききっていてリアリティ抜群。
なのにラストで希望を見せたので、あれ?これは成長物語だったのか…と、面白かったけど腑に落ちないラストだけど、これはこれでまぁ…とか思っていたら、まだページが。
一瞬、あとがきかと思ったけど、ここが肝でした。ラスト一文が効いていて、だからタイトルが「黒冷水」なのかと妙に納得できたのが良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
闇。ひと言でいえば、壮絶に仲の悪い兄弟の話。「同性同士の兄弟っていいなぁ」と憧れていた私に、冷や水ぶっかけるような話。ひたすら本全体から黒い感情が漂う。女同士のドロドロ話はよくあるが、男同士のドロドロは読まなかったので新鮮ではあったが、ある意味女のそれよりタチが悪い。生まれ変わったら男性になって、西宮神社の福男になりたいという願望が急速に萎えた。それにしても羽田さんは17歳でこの本を書いたとか。天才か。と思うと同時に、この感覚や文章は、17歳特有だなぁと妙に納得する部分も。BGMは『ガラスの十代』にした。
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終わりに向けての書き方が凄く面白い作品でした。
予想を何度も覆されました。兄弟ならではのドロドロとした気持ちを、サクサク読み進めていける感じでした。
読みやすい本です。内容は重たいけど、読み進めていく爽快感あります。 -
ずっと読もうと思っていて
やっと読みました
天才じゃなかろうか
途中から奇妙な違和感が来るんです
やけに「正気」に偏るなぁとか
文脈から「正気」をショウキと読み間違ってあたふたするなぁとか
文面が荒々しすぎるし
いつの間にか「正気」色の言葉ばかりになってきたなぁとか
作者の若さに引き摺られ
ぐいぐい物語の先へ勢いよく走ってしまう感じ
丁寧に置かれた川面の石を順番に飛びうつり渡りきったあとに振り返る足跡
ただただ、面白かった!
17歳でこの筆力
震えます
読み始め当初は谷崎の「鍵」のように読んでいました
違うのは目的が快楽ではないこと
狂気は常に日常と融合している。
色鮮やかに見事な表現でした。
ほんとに凄い。 -
兄弟の狂気、鳥肌が立ちました。
どちらも自分が100パーセント正しいと思う青さがすごく印象的でした。
作者が兄なのか、兄視点が強かったので、弟の視点をもっと見たかったなと感じました。
カウンセラーに心を揺さぶられ、一瞬心を許そうとする危うさや儚さなどが実に人間らしくて好きでした。
そこまで弟を嫌う理由がちょっと弱い気もしましたが、兄弟なんてこんなもんなんかなとも思いながら読みました。
よかったです。 -
最後までラストが予想できず飽きなかった。
羽田圭介さんの作品を読むのはスクラップアンドビルド 走るに続く三作目で、1番面白いと思った。 -
兄弟がいる人はああ、と思うかもしれない内容。
途中とんでも展開になったのは突拍子もないものかと思いきや、ちゃんと計算されてたのに驚かされた。
序盤引っかかってたのは兄寄りの考えが強いためかと思っていたがなるほど、ラスト…という感じ。
逆にこの年齢だからこそ、ここまでの確執が書けるんじゃないかなと。大人になってしまえば笑って流せる部分というか。 -
面白かった。スピード感がすごく、部屋を漁る弟とそれに復讐する兄という単純な話なのに読む手が止まりませんでした。
最後のどんでん返し?もノンフィクションのような現実味を帯びて余計に不気味に。
とにかく面白かった。作家をよくテレビで見ていたがキャラクターからは想像つかない、良い意味で裏切られました -
最終的な人物像が良く分かりませんでした。