夢を与える

著者 :
  • 河出書房新社
3.13
  • (97)
  • (267)
  • (678)
  • (183)
  • (53)
本棚登録 : 2601
感想 : 516
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309018041

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 表現力の素晴らしさから、最初からとても引き込まれた。特に、最初の方の、赤ん坊の可愛さを表す表現!話の展開も、最初の方は、どんな風に転がって行くのか、予想出来ずにワクワクしながら読んだ。18年間?の物語、色々なことがあって飽きなかった。最後にしっかり伏線回収しているのも凄い。作りがしっかりした作品だと思った。

  • 別れ話を切り出された恋人を無理に引き止め結婚、産まれた子をチャイルドモデルにした母。順風満帆で人気を集めた娘「ゆーちゃん」。
    こういったアイドルの話は、だいたいのラストは予想がつくものの(そして実際に予想通りの終わり方ではあったものの)芸能界で生きる少女がどう変化していくのか気になり、最後のページまで一気読みでした。さらに「ゆーちゃん」のその後も読みたくなるくらい、全く飽きない展開でした。

    冒頭は、無理に男をつかまえる計算高い女(ゆーちゃんの母親)の語りであるため、ちょっといらつく女、と思ったけど、すぐにゆーちゃんの物語となり、目が離せなくなった。

    芸能界のことや、芸能人の心情が事細かに描かれていて、すごいなと思った。
    中学時代のゆーちゃんの男友達、多摩のほのぼの感が唯一の癒しでした。
    あと文章がきれい。「インストール」や「蹴りたい背中」よりも、さらに洗練されている感じを受けました。芥川賞受賞後の第一作、まだ22歳か23歳くらいでこれだけの内容を書けるとは…。綿矢さんとは同じ歳なので、いつもながら精神年齢に雲泥の差を感じました。

  • 今まで孤独だった学校生活も、進級してから良好になったため、通学時間に中々本を読む時間が取れなくなりました。
    最近は綿矢りさブームで、綿矢りさばかりを読んでいました。
    柴村仁は生理ネタが多いですが、綿矢りさはレズのネタが多いと感じました。

    ざっくりした流れとして、チーズのCMに小さき頃抜擢されて、世間の目を気にして生きていかなくてはいけなくて、同時進行で親の浮気問題があり、主人公が恋愛をしただけで芸能界追放。という感じでした。

    所々、今の自分の恋愛に重なって、グサッと来ました。
    "これだけお互いの気持ちの重さが違うのに付き合い続ける意味はあるのだろうか。"
    私は今の彼と結婚したいのですが、彼は全く逆で、一生結婚しない派。
    しかも東京行っちゃうんですよね(´・ω・`)
    とか思いながら読み進め、最後に

    "「無理やり手に入れたものは、いつか離れていく。そのことは、お母さんが誰よりも知っているでしょう」"
    とこられ、もう終始(´・ω・`)でした(笑)
    恋愛ってどうしてこうも人生を左右するものなんでしょう。

    支え合って生きていくことが、こうも難しいなんて

  • 凄い熱量

  • 綿矢りさの芥川賞受賞後第一作です。夕子の誕生から、十八年間を描いた長編小説は、前二作と異なり主人公を外側から描いていますが、母親を含めて女性が男性に向ける感情を描いた心理描写に感激したのは前二作と変わりません。
    特に本作の後半で失恋に気付く夕子の感慨が圧巻です。例えば、その感慨に気付いても巧妙に拘束を続けて一生を全うする事も出来るし、そこで諦めても、一般人ならばただの失恋です。芸能人であることと、母親の父親に対する激情を感じ続けてきた夕子の特殊性が、彼女の失恋を大事にしているように感じました。
    人の幸せ、不幸せはそれぞれであり、必ずしも夕子が不幸せだとは思わないけれども、波瀾万丈の大波の中で十八年を生きた夕子の今後も、たくましく生きてほしい。と、思ったのが、僕の読後の感想です。

  • 初めて付き合った男の人からあんなことされたら男性不振になる。

    一気に読めました。

  • 人物の内面の描き分けがすごくて、登場人物それぞれに深く引き込まれてしまいます。
    隠しているわけではないのだけれど、その場にあった自分を選んでいたら、そのうちそれに慣れてしまうことや、求めても得られない存在を追いかけてしまう心、自分にも思い当たり、読んでいてどこかが痛くなりました。

  • 図書館にて借りました。
    これは名作!綿矢作品の中で一番好きです。
    「インストール」や「蹴りたい背中」はいまいちパンチが私的にはなく、あっさり読んでおしまいと云うパターンだったのですがこれは面白い。

    単純に云うと、ひとりの女の子の成功からの転落ストーリー。
    知らないうちに入ってた芸能界。
    それを望んでいたのかいなかったのか、本当のところ夕子にも解らなかったと思う。
    だって、気づいたらいたんだもん。

    特に世界は少し違うな~と思ったのは、「高校合格」がニュースになること。
    夕子本人も作中で云ってたけど、本当にそう思う。
    浅田真央選手とかもニュースになるもんな~。

    そして今はどうか解らないけど、学生生活って芸能人の方が大切だと思う。
    それを夕子は忙しすぎて、出来なかったから、後の「プライベート映像ネット流出」に発展したんだと思う。

    「恋して、恋されて。愛して、愛される」

    「夢を与える人になりたい」
    夕子は云った。
    そして気づく、「夢を与える側は夢を見ちゃいけない」

    でも、私は違うと思う。
    ただ、当たり前が出来なくなるほど忙しすぎたから免疫がなくて、その折り合いをつけるにはまだ、幼すぎただけ。

    「大人になるまえに、大人に仕立てられた女の子」

    自分の子供の芸能界入りは本当に「親」が鍵だとしみじみ思う。

  • 子役から芸能界へと18年生きたタレントの物語。芸能界とは凄まじいところだ。子役から芸能界やってると、ふつうの世界へは戻れなくなるだろうなと思う。小説はとてもおもしろく一気に読めた。綿矢りさの筆冴えわたる一冊。

  • 最初からおもしろかった。途中チープな話もあったけど。
    人生がめちゃくちゃになるようなくらいの恋に落ちてみたいです。わたしにはきっと無理だ。

著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

綿矢りさの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×