ひとり日和

著者 :
  • 河出書房新社
3.14
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本棚登録 : 1900
レビュー : 429
  • Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309018089

作品紹介・あらすじ

"人っていやね…人は去って行くからね"。20歳の知寿と71歳の吟子さんが暮らした春夏秋冬。第136回芥川賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 本文の装丁が好き。綿矢りさの「蹴りたい背中」と似てて、左右に余白を多めにとって、少し大きな字で本文。雰囲気が伝わってくる感じ。
    と余談は措いておいて、本編。この、屈折した純粋さ。ぼやっとドライに生きているようで、つきあってすぐ寝ちゃう主人公。嫌悪を抱かないのは正直だからかな。お年寄りに余分な気遣いはせず、計算しながら、でも表面には出さないしたたかさ、自分と重ならなくても「あるわ~」と思ってしまうね。

    そして上で意図せず書いたけど、「蹴りたい背中」に続いて今作も芥川賞受賞作なのね。びっくり。でも、なんとなく読み返したくなる感じに納得……かも。

  • 高校卒業後ぷらぷらしていた20歳の女性が、
    東京で70を超える吟子さんと暮らし始める話。

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    みんな誰かと繋がりたいんだなというぼんやり感じた。

    繋がりを家族に求めない知寿は、東京で吟子さんと交流し、恋人と繋がったり、離れたりして、自分の繋がるひとや場所を見つけていく。

    吟子さんもホースケさんと繋がっている。年齢とか身体の接触は問題ではない。

    知寿の盗癖にスポットライトが当たるかと思ったら、それは違くて、人との繋がりについての価値観が主題だったように感じた。


    大学を、「何がやりたいかを探す場所」と表現することがよくある。

    この小説の主人公、知寿は大学に行くことを拒否するが、自分が繋がる場所を見つける。

    大学が自分の繋がる場所や人を探す場所なのだとしたら、
    知寿さんにとって吟子さんや駅こそが大学なんだろうなと思った。

  • 将来に対する漠然とした不安は多くの人が持っているものだと思う。
    年老いた時に幸せと思えるような、納得いく人生を送ることができるのだろうかと。
    この本の主人公もそのような不安を抱えて生きている。主人公は強くありたいと願いながらも、物語のはじめのうちは考え方や行動が甘い。しかし、やがて少しずつ自立へと向かっていく。
    幸せな人生を送りたいと願いながらも、その願いの大きさにひるんで二の足を踏むよりも、まず一歩踏み出してみること。そして自分の心に映る風景を少しずつ変えていき、そこから何かを学んでいくこと。
    この物語を読んで、そういうことが大切なんじゃないかと思った。

  • 最後あたり、涙がとまらず。


    藤田くんの心変わり。
    どうしようもなさ。

    どうしようもなくても、苦しい。読んでて、悲しかった。

    「じゃあね」
    と笑顔で手を振ると、
    「じゃあね」
    と彼は返した。
    「連絡しないほうがいいね」
    「できれば、そう」
    「じゃ、そういうことで」
    心では、ちがうちがうと叫んでいる。


    あぁ。好きな雰囲気の本でした。

  • いつか吟子さんもその名前を失って、死んでしまったものの一つときてその個性を失っていくのだろうか。誰も彼女について語らなくなり、何をたべていたとか何を着ていたとか、そんな些細な日常などもともとなかったかのように、あっさり消えてしまうのだろうか。

  • 家にあったのでたまたま手にとって読んだ本。

    文章がすらすら入ってくる。
    主人公は二十歳の女性。自分の年齢と近いせいか主人公に最後まで興味を持てた。

    若い女性とおばあちゃん(血のつながりはない)との同居生活が描かれるが、生き方の対比が面白い。

    若い=元気、老人=不元気といった短絡的なイメージを裏切ってくれたのが良かった。

    自分も小説が書けそう、と勘違いしてしまうほど、自然な文章。

  • 初、青山七恵。
    読後に芥川賞受賞作と知った。芥川賞、ナイスなことするなぁとしみじみ。
    主人公の視線と共に進んでいくからとっても読みやすい。
    想像しやすい。しょっぱなから情景が浮かぶ。

    ハタチの頃、年上もお年寄りも、ちょっと小バカにしつつ後ろを尾いて歩いた。
    若さゆえの勢いと共に、世間というものに対して相当不安だった、とか思い出として残っていなかった酸っぱい気持ちを思い出した。
    (脳みそは覚えているのか汗)
    主人公の悪い癖、ああいう隠しごとの描写、ラストに向ってスムーズに解決して予想以上にスッキリした。
    もしかしてあれがこの物語の要だったのかな。。。

    そういえば、吟子さんが買ったチョコはDEMELのチョコかな。ネコの舌ってやつ。

  • 人は去って行くから。 当たり前が悲しく思える時がある。人と人は絶対なんてありえない。

  • 笹塚のキオスクを舞台にして、ちょっぴりシリアスで爽やか(?)な恋愛ストーリーとなっています。

    芥川賞作品としては画期的に長編です。

    主人公にちょっぴり好感が持てるような、イヤ、持てないかな。

    とにかく、表紙が爽やかで、落ち着いてて上手いのでいいかなと思いまあす。

    好感は難しいけど、共感できちゃう主人公と、
    ギンコさんの一生懸命さがなんとなく良いなぁと思われました。
    真面目なのが救われます。

    若いって、いいですね。

  • 芥川賞受賞作。まあ私は文学作品にあまり馴染みはないんですが、この作品も絶賛するほどのものは感じられませんでした。これは私の読解力、感受性によるものなんでしょう。最後のあるシーンはとても美しく切り取られ描かれていたと思います。

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著者プロフィール

1983年、埼玉県生まれ。2005年「窓の灯」で第42回文藝賞を受賞し、デビュー。07年「ひとり日和」で第136回芥川賞、09年「かけら」で第35回川端賞を受賞

「2021年 『I am the Moon』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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