ハル、ハル、ハル

著者 :
  • 河出書房新社
3.15
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本棚登録 : 596
感想 : 103
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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309018287

感想・レビュー・書評

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  • 短編が3本。

    『ハル、ハル、ハル』
    弟を殺した少年。深夜の公園で踊り狂う少女。
    ふたりにカージャックされたタクシードライバー。
    3人の共通点は名前に”ハル”があること。
    彼らは家族のように、千葉県犬吠埼へ向かう。


    『スローモーション』
    預かった甥と姪を目の前で誘拐された女。
    女は犯人の甥と姪を誘拐し返す。
    日記に書かれながら物語は進行する。


    『8ドッグス』
    女に溺れる男。彼は女の話す、里見八犬伝にも溺れる。
    両肩に入れ墨を入れ、女への愛を誓う。
    ある日彼が見つけたのは捨てられた犬の死骸。
    彼は犬の元飼い主を焼き殺す。
    彼の目的は虐待される犬を8匹発見することになる。
    その途中で愛する女が他の男の家から出てくるのを発見する。
    彼は男をバットで殴り殺す。女も殺したのかは覚えていない。
    重要なのは8匹の犬たちと房総半島を出て、王道楽土を関東の地に、だ。

    --------------------------------------------------

    ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤氏の日記に「!!!」との感想があり、自分も「!!!」を体験するべく、読んでみた。

    正直難しかった。古川さんの文体に馴染めなかった。

    まだまだ読解力が足らないな、と反省。

  • 3つの物語の短編集。とても古川日出男らしさが凝縮されて臭い。勢いで読む。入り込まないと気恥ずかしさを感じるので、なにも気にせずどっぷり浸かると気持ちがいい。最後の8ドッグズを長編として読みたい。

  • 不思議に繋がる不思議な感覚。
    それは名前かもしれないし、
    偶然に出会ったことかもしれない。

  • 今ひとつでした。閉塞とか抑圧から殻を破るような感じの話が多いけど、衝動は文学的で移入するようなものでもない。そのままこの世界を受け入れて感じられるかによる。

  • 文学

  • はじめて古川さんの本を読んだ はじめは何いってるのかわからなくて悩んだ え、なんだこれ、はやい、言葉がはやい スピードが、口調が、まるで生きてるみたいな、それでいて回りくどい言い方も兼ね備えた、鳥肌。鳥肌。鳥肌。鳥肌。鳥肌。気づいたら、言葉を拾うのに夢中になっていて いやいや、なんで、どうして、あああ!って 人間くささがすごく伝わってくる、何かしらみんな狂気で、可笑しくて、面白い 「ハル」が自分の名前の一部に入っていたら!とか思ってしまう オミくん、ハル姉、ハルシニアに会いたい 名前にハルが付くのなら「私もハル×だよ!惜しくも天秤座じゃないけど!天秤座の次の蠍座だよ!」って叫びたい、絶叫。

  • 古川日出男の短編集。
    表題作の『ハル、ハル、ハル』がとてもよかった。主人公の一人、晴臣と弟がすさまじく切なかった、切なすぎて涙を誘われた。こんな辛く哀しいエピソードを読んだのは久しぶりだった。
    心の拠り所を失った三人、哀しい過去を持った三人が出会って悪事を行う。それは悪いことだけれども。出会えたことで救われた部分があるんじゃないかと、希望を感じずにはいられなかった。
    疾走感溢れる文章でつづられるお話。どのジャンルに分類されるのかわからないけれど、思わず心に響く物語だった。

  • 生きているうちは動く

     中篇3つ。
     ハルハルハル  
     両親にステラレタ藤村晴臣は、13歳。8歳年下の弟を死なせて、拳銃を拾い、16歳の大坪三葉瑠とタクシーをジャックして、逃走する。運転手、悟と3人でコンビニを襲う。行くイサキは、犬吠崎。で、そのさきは…?
     これは、物語の続編であり、終わりはない物語だ。
     この長さが気持ちいい!
     
     スローモーション
     日記を書き続けるフブキ。姉のナナミから子どもを預かるが、誘拐されてしまう。それで、犯人の子どもを誘拐し、子ども達を取り返しにいく。

     8ドッグズ
     ねねが語る孔雀の話。
     南総里見八犬伝を、敏也に語り、敏也が動く。

     ストーリーじゃなくて、テンポやアクセントに酔う小説なんだね。「ハル ハル ハル」は最高!

  • 2014年9月14日読了。

  • 饒舌なノワール?
    3編収録ですが、どれも全体的にところどころ単語を太字強調、特に八犬伝をモチーフに使った「8ドッグズ」は段落をがつんと縮めたりして視覚効果を使っています。
    前に読んだ『アラビアの夜の種族』は面白かったんだけど…バイオレンスな匂いがするのは苦手だな。
    後書きらしきものによると「2005年11月から僕は完全に新しい階梯に入った」んだそうである。
    帯の推薦文は爆笑問題太田光。なんかわかる。好きそう。

    装画 / 岸野 真生子
    装幀 / 木庭 貴信(オクターヴ)
    初出 / 『文藝』2006年春号・秋号、2007年夏号。

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著者プロフィール

1966年生まれ。著作に『13』『沈黙』『アビシニアン』『アラビアの夜の種族』『中国行きのスロウ・ボートRMX』『サウンドトラック』『ボディ・アンド・ソウル』『gift』『ベルカ、吠えないのか?』『LOVE』『ロックンロール七部作』『ルート350』『僕たちは歩かない』『サマーバケーションEP』『ハル、ハル、ハル』『ゴッドスター』『聖家族』『MUSIC』『4444』『ノン+フィクション』『TYOゴシック』。対談集に『フルカワヒデオスピークス!』。CD作品にフルカワヒデオプラス『MUSIC:無謀の季節』the coffee group『ワンコインからワンドリップ』がある。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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