ボーダー&レス

著者 :
  • 河出書房新社
3.89
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本棚登録 : 202
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309019475

作品紹介・あらすじ

この世界はどこにだって、見えない溝がある。たとえば僕ら二人の間にも。-新入社員の僕とソンウの友情を描く話題の青春小説。第46回文藝賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • なんだ、このすがすがしい読了感は?
    若い人の、斜に構えず、正面から向き合おうする姿勢を、きっちり書ききろうとする態度が潔い。

  • ソンウがクールでセンスが良くてかっこいい!!
    割り切ったふりしてるけど割り切れてなくて、苦悩してるソンウのギャップ萌え。

    在日コリアンの問題は日本人が真剣に考えなきゃいけない問題の1つだけど、目を逸らしてしまっている。
    この本を読んで、ちゃんと向き合おうという気持ちになった。
    読みやすくて良かった。とりあえずソンウかっこいい。

    最後に山に登るのがベタすぎるけど、それはそれでいい。
    人妻の心を弄んだ所は胸糞悪かった。

  • 在日との付き合いがこんなにも自然に行われるとは驚きだ。本来、日本に在住している人は平等に扱われ得るべきなのに、国家は区別をつけようとしている。では、国家とはなんなのだろう。選ばれた人しか国家に認めてもらえないものなんだろうか。
    主人公が在日という一括りで見て欲しくない。個人として見て欲しいというのが当たり前の言葉なのだ。

  • 新入社員の主人公と同期の在日韓国人との友情をテーマとした小説。なかなか考えさせられる内容だった。この世界には、普段意識していなくとも、いろいろな溝があるという現実、また、その溝にどこまで踏み込んでいくべきか、と難問に思いをめぐらせた。

  • 読みやすかった

  • 在日の同期との友情。
    意外と心に響いたのは親の有り難み。

  • 入社式で出会った日本人江口理倫(りーりん)と、日本生まれ日本育ちの在日3世趙成佑(ソンウ)との話。

    どこにでもありそうなりーりんの視点で話が進んでいくが、在日問題についてはそれほど深く踏み込んだ話でもなかった。

    本当にありがちな話ゆえに、良くも悪くもなく重くなくて読みやすい。

    確かに青春小説だった。

  • なかなかおもしろかった

  • 新卒で入社した会社で出会った同期の趙成佑(チョソンウ)は
    日本生まれ日本育ちの、在日韓国人だった。

    共に時間を過ごし、女の子関係にときに悩むたびに
    僕はソンウと酒を飲みながら交流を深めていった。

    国とか民族だとか、そんなことは関係なしにただソンウという人が
    友人として大切だと思いながらも
    どこかそういったものに触れるのを避けていた。

    目には見えない溝で、二人の間がふさがれそうになったとき。

    社内メールのやり取り、どぎついスーツを着る社長に痔の上司
    フットサルのメンバーやら元カノ、趣味のいい男前の飯尾
    喫煙所でだべっている僕と、独特で繊細なソンウとの青春。

    おもしろ~い!

    ソンウのキャラがいいね。
    寺内が子持ちの母親を罵る言葉にたいしての僕の心情とかもいい。

    在日だとか国籍だとか、本当にそんなものは気にしないと思うけど
    けれどまったく無視することとか、無視してはいけないような感じだ。

    あ~この人の他の本も読みたかったよ~)^o^(

  • 日本人側から見た在日のひとの葛藤を描いた小説。学生のときに一度読んでいたが、働き出してから読むとじわりとくるものがあった。
    普段、日本で日本人として暮らしていればあまり感じることはない在日問題。でもそれは見て見ぬフリをしてるだけで、薄くなってもしっかりと溝があるということを在日にのひとは知っているし、そういうひとを執拗に攻撃するひともいる。そういったことを小説の中で在日であるソンウは、語らないのか向き合わないのか、と怒る。

    気づかないだけで世の中に溝はあるし、いたるところで区切られてる。
    在日とか日本人の話じゃなくて、都道府県が変われば電話番号も変わるし、女のひとだって子どもが出来れば母親の区切りに入る。同じ会社でも部署が変われば仕事はぜんぜん違う。電車のなかでマスターベーションをすればもちろん捕まるけど、自宅ですれば問題ない。
    あらゆる溝というか区切りというか、そういうものたちとぶつかり、対比させている素晴らしい作品だった。口語体の文章も読みやすい。

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著者プロフィール

1982年、栃木県生まれ。広告代理店勤務を経て、現在、主婦。2009年、「ボーダー&レス」で第46回文藝賞を受賞する。

「2010年 『ボーダー&レス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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