あられもない祈り

著者 :
  • 河出書房新社
2.81
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本棚登録 : 1718
感想 : 341
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309019819

作品紹介・あらすじ

"あなた"と"私"…名前すら必要としない二人の、密室のような恋。島本理生の新境地。至上の恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 大人の恋愛…ってわけでもなく、よくわからない恋愛だった。
    多分、これが分かるような恋愛は、してはいけないんだと思う!!
    だって、これ不倫なんでしょ?
    既婚者男と鬱っぽい女の恋愛話だった。
    ストーリーとしては、☆2なんだけど
    文章がキレイなので、☆3にしましたー。

    結婚してる男性が独身女性(彼氏持ち)にアピールしてくる。
    その、アピールの仕方が女性慣れしてる感じ。
    あんなに、主人公のことを想っていそうなのに、
    結局、離れてく感じで…。
    むー、お子ちゃまには、難しすぎでしたー笑
    (注:精神年齢がお子ちゃまってことですー)

  • ということで半ば義務だった、島本理生『あられもない祈り』を読んだ。1時間半で178ページを読み終えた。感想は『時間の無駄』だった。
    久しぶりに読んで腹が立ったので、ファンには申し訳ないけど、不快なほど書く。

    以下、毒吐き。

    彼女はプロの小説家か?

    エピソードをやたらとちりばめて、最後の方でそのうちのひとつを切り札のようにして話をまとめるという安直な手段はよくあるのだけど、これもそうだった。
    しかし、数多あるその他の作家の場合はまだ『そう来たか』とそれなりに考えさせられるのだけど、これは何のことやらという感じだった。だから、ちりばめたエピソードはただの断片の散らかりでしかなかった。

    場面に深い意味を持たせて欲しかった。ホイホイ終わるので意味を見出しにくい。もっと場面を少なくし、それぞれにつっこんで書き込んで欲しいかった。

    婦人科のシーンはまったく意味が分からない。これは僕が男だからだろうか? わざわざ石垣島を選んだ理由が分からない(作者が)。やたら旅館とか民宿に行くが、それもよく分からない。いろいろ行き過ぎである(実家への仕送りでお金がないくせに)。

    しかも登場人物の印象が弱い。書き込みが足りないせいだ。
    そもそもこれは病人同士の寄せ集まりの小説という感じがする。インビとか退廃といったムードではなく、ただの不健康さだけが目だつ。

    自傷癖女、DV男、奔放な父、似たような母、存在感の不明な中年男にイメージの湧かないその恋人。変な人間を集めてうじゃうじゃやっただけである。
    全員、体操服に着替えて山の小学校でキャンプでもするといいわ。

    ああ、腹が立った。

  • なんだかずっとピンボケした写真を眺めているような話だった。

  • 読んでいくのが何度もつらくなった。切なくて、苦しくて、痛かった。絶望しかないのに、その場所でしか幸せや安心を得られないなんて。背負った宿命が、傷つけられた過去が、苦しみながらも惹かれ合うことを肯定してくれる。与えられる痛みを確認しながらでしか、愛されていることに気づけない。全部を欲しがるのは、全部に興味がないのと変わらない。自分を責めるふりをして、世界を呪う。だけどそんなこと、本当にどうにもならないから。そう言い聞かせて、誰かの中に自分の出口を探してしまう。自分の出口なんて、本当は自分の中にしかないはずなのに。

  • 説明を限りなく排除して、どんどん言葉少なに、濃密になっていく。
    彼女らしさがつまった作品なんだと思う。
    息苦しくて切実で。

    でも私はこの作品がすごく苦手でした。
    「わたし」のことも「あなた」のことも、全然好きになれなかった。

    出口がないんじゃなくて、本気で出ようとしてないだけ。
    苦しみの中にいたほうが安心できるから。

    そういうことって誰にでもあるけど、その痛さを弱さとして振りかざすみたいなこの作品は、いやだな。

    ただ、このどうしようもなさの描写はとてつもなく的確で、だからこんなに苛々するんだろうな、とも、思う。

  • もっと愛せばいい。
    甘えることは、愛する者への義務です。

    島本さんはその言葉のとおり「結婚している男性との恋愛を真っすぐに」、「擁護するのではなく、赤裸々に」書くことを試されたのだと思う。
    それは読後感とは別のものとして考えたときに納得する。

    その状況での「真っすぐ」と、後味がよいとは言えない「赤裸々」さは、作者の意図するところによれば成功に近いのだと思う。
    ただ島本さんの作品を何冊か読んで来た者としては、喪失の淵でそれでもなにかを奪い取ろうとするところ、繊細さに同居する強かな生命力をなんらかの形で見せて欲しかった。

    しかし「私」の選択は、成人を向かえ、ある程度社会人として生活し、ほの暗さの浮かぶ帰る家を持つことしかできない女の、歩かねばならない道として現実味のあるものだったと思う。

    それでも、読者という不思議な次元の友人として声をつたえるならば。
    絶望なんてやさしい言葉で慣れた痛みにたえるような真似はやめて、幸せであること共に生きる穏やかさに「私」と「あなた」には挑んで欲しいと思う。

  • とても文学的な恋愛小説。
    不倫、ダメな彼氏、毒親と内容は重いはずなのだが、ストーリーは淡白というくらいあっさりしている。
    この辺りは吉本ばななの作品と似たような感じがした。
    ストーリーより季節描写や風景描写が印象に残る。
    ただ自分が若い頃に読んだ作家だということもあるのかもしれないがどうしても懐かしさというか時代遅れのようなものを感じてしまった。
    それは13年前の作品ということなので当たり前だが、今の若手作家とは違う。
    私も著者と同年代のためなんか残念に思った。

  • 全体的に抽象的な表現が多くて、読者が行間やニュアンスなど読み取る必要あり。主人公は両親からの愛情に恵まれず育ったので、常に心の隙間を埋めようと足掻いてる感じ。本気の恋をするけど結局不倫。なんだかちょこちょことすれ違ってしまって結局結ばれない。どこにもハッピーが無いし最後どうなるのかよく分からないままだし(多分結ばれずに終わる)もんやり。彼は彼女と別れたのに、もう私は結ばれないの?なんでなのかなー。多分真っ当に幸せに生きてきた人にはイマイチ主人公の感情の動きや行動がなんとなくしか理解はできないよなーと思う。母親は毒親。

  • 圧倒的な比喩。明確に伝える、ことだけを最近考え過ぎていたな。仕事だけでなく全てにおいて。こういうイメージの連なり、情景を味わうこと、忘れていた。感受性を使っていなかった。体調が傾いてくると感じすぎると思っていて意図的に考え過ぎない感じ過ぎないことをやっていた。でも絶景を見るとか、音楽とか、踊るとか、自然に圧倒されたり、芸術表現を吸収したり、したい。それを解する大人でいたい。それでいて他人から見てわかる能力を身につける努力もしたい。時間が足りない。。。

  •  我が敬愛する西さんに、「金輪際恋愛小説は書かんとこ、」と思わせたという一冊。
     最初の一段落が圧倒的すぎて、知ってる言葉ばっかりやのになんやこの連なりは…!と衝撃を受ける。熱い蝋を垂らしたように勢いよく滑るファスナー、欲望を再生するための断片、泥まみれの縄となって縛り付ける、セックスは不透明。比喩の錬金術士かよ。ことばの美しさにため息が漏れる。苦しいという言葉を使わずに苦しい気持ちを表現するその技巧にただただ圧倒される。
     島本理生の小説は三冊目。「大きな熊が来る前に、おやすみ。」「リトル・バイ・リトル」を読んだ後もそうだったように、読んだ直後でも物語の淵がぼんやりしてる。この人はきっと小説を書いているのには違いないのだけど、絵画を見ているような感覚に陥る。話の筋はうまく記憶に残せないのだけど、いくつもの風景が脳裏にこびりつく。
     小説の楽しみは感情移入や共感だけじゃない。主人公は俗に言う「メンヘラ」というやつで、不倫にずぶずぶと身を沈める、その気持ちはわたしにはわからへん。それどころか、あかんあかん、そっちちゃう!!とイライラするほど。でも、最後にやっと、父に愛されたかったという気持ちを直視し、母の不幸(その境遇に慣れ親しみ、最良の心友のように愛していた)を拒絶した時、愛した男の幸せを祈ることができた。あられもない祈り、とはそうゆうことなんかな。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島本理生の作品

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