- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309019949
作品紹介・あらすじ
時は昭和三年-名探偵・唐草七郎の一番弟子にして閨秀の女探偵・岡田明子のもとへ舞いこんだ、摩訶不思議な依頼。「三姉妹を探して下さい。手掛かりは、三人とも左の耳に、一粒の琉璃玉が嵌った白金の耳輪をしています」阿片窟の女傑・女掏摸・生人形の少女・男装の麗人・旅芸人一座・変態性慾の男・老刑事・放蕩の貴公子…奇想天外、魑魅魍魎、百花繚乱、女探偵・岡田明子の事件簿。
感想・レビュー・書評
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面白い!未読の尾崎翠の名に惹かれたものの、大層な話かと思うと逆になかなか一気には読めず。じっくり読んで古き良き探偵活劇の小気味良さと津原さんの描くお洒落かつ奇想天外な幻想に酔いしれた。この本の誕生経緯記すあとがきは必読。
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色々なエッセンスが盛り込まれてて、乱歩めいた妖しさもありそこそこ楽しく読んだ。
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尾崎緑の原作を、津原泰水がアレンジ?した作品。瑠璃玉の耳輪を着けた三姉妹に隠された秘密と、それを追う人々の様々な思惑が絡み合う。
昭和初期の和洋折衷な雰囲気とそれぞれに自分を傷つけながら生きる三姉妹の暗くはないが退廃的な空気がよく、耳輪を追う理由などおまけでしかない。しかし、なんと言っても一番は岡田明子、更に言えば明夫の存在である。愛する人のために戦う男であった彼は、まさにヒーローであった。 -
めっっっっちゃ面白かった・・。
好奇座の片目の美女、生き人形の美少女、彼女を囲う異形の男、多重人格の女探偵、優男の探偵社社長・・・。
どこか乱歩じみた世界観・・・ミステリ・・・異常性愛に同性愛・・・。
内容が内容だけに、誰しもにオススメできる一冊ではないけれど、めっちゃ好みだった・・・。 -
百花繚乱との帯の誘い文句はまさしくその通りでした。江戸川乱歩の時代と解説されれば、なるほど。奇想天外さは、その時代背景作風にもよるんですね。尾崎翠の遺作とのことで、よくぞ!日の目を見せていただけました。自己催眠で性別まで?と引いてしまうこともありましたが、それぞれの登場人物の魅力によって浄化されてしまいました。プロログでは伯爵御曹司が中心人物になってゆくのかと思ったら・・・。思いがけず。
美しく魅力たっぷりな女性が数多く登場しているのに、男性側には若きヒーロー的な人物は唐草と明夫(?)
『物理学は文学に似ている。漠然たる未知の幻影に、文学者は言葉を与え、私たちは数式を与える。』に納得。 -
とても懐かしい匂いのする話だった。といっても悪い意味ではない。読んでいて江戸川乱歩、(アルセーヌ・ルパンの)モーリス・ルブランが頭に浮かんだ。時代設定もだが、一つ一つの要素が(ご都合主義といえばいいのか)次々と現われ、輪を作る様が、子どもの頃に読んだ乱歩とルブランを思い出させたのだと思う。文章の妙もあって、ぐいぐい物語の中に引っ張られた。ただ、個人的に残念なのはラスト。ルブランで言うなら、奇岩城と同じ類の後味の悪さとでも言おうか。大団円で良かったのに、と思ったが、おそらくあえてそうしなかったのであろうから、これはもう好みとしかいいようがない。
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15:乱歩のような、夢野久作のような、妖しく幻想的な探偵小説。登場人物、物語の舞台ともに作り物だからこその美しさと危うさに満ちていて、どんどん読み進めてしまいます。探偵小説とはいえ、事件の全貌を知る人物の存在ゆえに謎解きを楽しむつくりではありません。劇中劇を見ているような気分、かなあ。雰囲気や文体がものすごく好みだったので、個人的には大当たりです!
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久々に超大作を読んだ気がする。確かに江戸川乱歩らしさはあるが、おもしろかった。八重子が不憫でかっこいい。