琉璃玉の耳輪

著者 :
制作 : 尾崎 翠 
  • 河出書房新社
3.62
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本棚登録 : 283
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309019949

作品紹介・あらすじ

時は昭和三年-名探偵・唐草七郎の一番弟子にして閨秀の女探偵・岡田明子のもとへ舞いこんだ、摩訶不思議な依頼。「三姉妹を探して下さい。手掛かりは、三人とも左の耳に、一粒の琉璃玉が嵌った白金の耳輪をしています」阿片窟の女傑・女掏摸・生人形の少女・男装の麗人・旅芸人一座・変態性慾の男・老刑事・放蕩の貴公子…奇想天外、魑魅魍魎、百花繚乱、女探偵・岡田明子の事件簿。

感想・レビュー・書評

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  • 面白い!未読の尾崎翠の名に惹かれたものの、大層な話かと思うと逆になかなか一気には読めず。じっくり読んで古き良き探偵活劇の小気味良さと津原さんの描くお洒落かつ奇想天外な幻想に酔いしれた。この本の誕生経緯記すあとがきは必読。

  • 色々なエッセンスが盛り込まれてて、乱歩めいた妖しさもありそこそこ楽しく読んだ。

  • 尾崎緑の原作を、津原泰水がアレンジ?した作品。瑠璃玉の耳輪を着けた三姉妹に隠された秘密と、それを追う人々の様々な思惑が絡み合う。
    昭和初期の和洋折衷な雰囲気とそれぞれに自分を傷つけながら生きる三姉妹の暗くはないが退廃的な空気がよく、耳輪を追う理由などおまけでしかない。しかし、なんと言っても一番は岡田明子、更に言えば明夫の存在である。愛する人のために戦う男であった彼は、まさにヒーローであった。

  • めっっっっちゃ面白かった・・。
    好奇座の片目の美女、生き人形の美少女、彼女を囲う異形の男、多重人格の女探偵、優男の探偵社社長・・・。
    どこか乱歩じみた世界観・・・ミステリ・・・異常性愛に同性愛・・・。
    内容が内容だけに、誰しもにオススメできる一冊ではないけれど、めっちゃ好みだった・・・。

  • 百花繚乱との帯の誘い文句はまさしくその通りでした。江戸川乱歩の時代と解説されれば、なるほど。奇想天外さは、その時代背景作風にもよるんですね。尾崎翠の遺作とのことで、よくぞ!日の目を見せていただけました。自己催眠で性別まで?と引いてしまうこともありましたが、それぞれの登場人物の魅力によって浄化されてしまいました。プロログでは伯爵御曹司が中心人物になってゆくのかと思ったら・・・。思いがけず。
    美しく魅力たっぷりな女性が数多く登場しているのに、男性側には若きヒーロー的な人物は唐草と明夫(?)
    『物理学は文学に似ている。漠然たる未知の幻影に、文学者は言葉を与え、私たちは数式を与える。』に納得。

  • とても懐かしい匂いのする話だった。といっても悪い意味ではない。読んでいて江戸川乱歩、(アルセーヌ・ルパンの)モーリス・ルブランが頭に浮かんだ。時代設定もだが、一つ一つの要素が(ご都合主義といえばいいのか)次々と現われ、輪を作る様が、子どもの頃に読んだ乱歩とルブランを思い出させたのだと思う。文章の妙もあって、ぐいぐい物語の中に引っ張られた。ただ、個人的に残念なのはラスト。ルブランで言うなら、奇岩城と同じ類の後味の悪さとでも言おうか。大団円で良かったのに、と思ったが、おそらくあえてそうしなかったのであろうから、これはもう好みとしかいいようがない。

  • 15:乱歩のような、夢野久作のような、妖しく幻想的な探偵小説。登場人物、物語の舞台ともに作り物だからこその美しさと危うさに満ちていて、どんどん読み進めてしまいます。探偵小説とはいえ、事件の全貌を知る人物の存在ゆえに謎解きを楽しむつくりではありません。劇中劇を見ているような気分、かなあ。雰囲気や文体がものすごく好みだったので、個人的には大当たりです!

  • 久々に超大作を読んだ気がする。確かに江戸川乱歩らしさはあるが、おもしろかった。八重子が不憫でかっこいい。

  • 多種多様な人物が入り乱れての冒険活劇。
    胸を躍らせる設定と雑な処理が混在していて、読後感は満たされない感じです。
    同性愛的設定はもっと使えたかも、と思うし、全体的に艶やかさが足りないし、異なる境遇の人間たちが不思議な糸で手繰り寄せられ共に戦うに際した痛快さも少なく、不満でした。
    それに八重子と木助を殺さず、勧善懲悪大団円を貫いても良かったんじゃないかな。
    八重子生存説も、読者の判断に委ねるには中途半端。
    戦前の空気が味わいたかったので手に取ったのですが、やはり今っぽい感じは否めなかったです。
    仕方ないことだとは思いますが残念。

  • 図書館の新刊コーナーで「翻案:尾崎翠」が目に止まって。もともと、映画脚本に応募した、女優5人のための当て書きだそうで、半端に個性的な登場人物がワラワラ出てきて、最初落ち着かない。
    #こういうバランスは、京極堂シリーズが絶品だと思う。
     →「半端じゃなく個性的」な人達だけど〜

    「ミステリ」の体裁を取っている以上、整合性や辻褄合わせを期待して読み進むんですが、なまじっか尾崎の頑固な美学で造形されてる人達なだけに、どーにもこーにも〜

    地の文も、クスリでやられてる人物(複数なんだな、これがまた)の視点になってたりすると、所謂「信頼できない語り手」状態で、どこが本筋でどこが幻覚か、わかんなくなってきて^^;
    #津原泰水って、「妖都」もそうだったような。
     ひょっとして”視点”が弱い作家なのか???

    書くほうもその辺は投げてて、もう、後半は”違うとこで楽しんでください”的雰囲気が満溢。いいけどさー、面白かったから。

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著者プロフィール

1964年広島市生まれ。青山学院大学卒業。“津原やすみ”名義での活動を経て、97年“津原泰水”名義で『妖都』を発表。著書に『蘆屋家の崩壊』『ブラバン』『バレエ・メカニック』『11』(Twitter文学賞)他多数。

「2023年 『五色の舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

津原泰水の作品

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