きつねのつき

著者 :
  • 河出書房新社
3.59
  • (19)
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  • (23)
  • (13)
  • (1)
本棚登録 : 199
レビュー : 52
  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309020570

作品紹介・あらすじ

きつねのつきはきつねつき、いつか落ちるよすととおおおん。人に化けた者たちが徘徊するこの町で、私と、天井に貼りついた妻と、娘の春子と、三人で静かに暮らす。正しいのか間違っているのかはわからない。私がそう決めたのだ-3・11後の世に贈る、切ない感動に満ちた書き下ろし長編。

感想・レビュー・書評

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  • 北野勇作の中では異色と思ってしまったのは、家族関係の強さなのかもしれない。
    今まで読んだ北野勇作作品の中で、ダントツに家族愛が強い作品だと思う。
    物語で印象に残る春子ととおの会話。どろどろとしていい加減な世界の構造。それに振り回されながら、すでに歪んでしまったけれども大事なものを守ろうとするとおはやっぱり父なのだなと思った。
    ラストがこれまでの北野勇作作品の中で一番美しい。

  • 今はもう成人した子どもたちとのかつての暮らしを反芻しながら読む。ちっともファンタジーではない、リアルな物語だと感じる。まいってしまう〜(-"-;)

  • 北野 勇作さんの本は初めてですが
    西島大介さんが表紙だったので買いました。
    河出文庫なのですがノリは角川ホラー。
    生首が飛び交う、日本の下町に似た、仄暗い世界。
    擬音が多くて一文が長くて癖になる文章です。
    SFかというと、想像していたSFではないのですが、
    周りがうるさい場所で読んでも没頭できる世界観が好きです。

  • 2019.8.31市立図書館
    哲学的に深いながらも一見ほんわかとしたかめシリーズで入門して、ひととおりよみおえて進んだこの作品はやさしげなタイトル&装丁とは裏腹に意外とハードというかおそろしげな内容になってきておどろきつつもひきこまれ、深刻ななにかが逸らかされごまかされ隠蔽された夢と現実が入り混じったような世界で、変わり果てた姿になってしまったらしい妻(かあ)と忘れ形見の幼い娘・春子というささやかな家庭を守りつつ、日々成長するかわいらしい娘の姿と言動に慰め励まされながら生き延びる主人公(とお)に気持ちを重ね、最後は切ないようなやるせないような複雑な気持ちで読み終えた。読み終えてまた冒頭に戻って、「後ろめたい幸せを抱えて、私はここに立っている」の意味を考えてしまう。

  • どうしてSFとされるものの一部にはグロが付随するんだろうか?
    半分ちょっと読んだところで、本書の書評の「震災後のナンタラカンタラ・・・」っていうのを見てしまって、もうその目でしか読めなくなってしまった。
    実際は、震災後に作られた作品でなくてそれ以前にできていた作品のようですが(あとがきより)、そういうの無理やり関連付けるのやめようよ。

  • 「3.11」や福島の原発事故を想起させる内容だった。ホラーなのか、SFなのか。すこしふしぎでせつない物語。

  • 市図書館にて

  • ほんわー、な表紙

    冒頭ヨモツヒラサカ的叙述
    なのに、娘との日常が始まったので
    これから妻死ぬのかと思いきや、
    妻、天井にひっついてたり、と、冒頭の後の話なのか、と。
    なんか肉のかたまりっぽい、とか、
    うわーな、世界。
    こりゃすごい、小説ならでは。
    以後、子ども館での夜の生首ケマリやら、
    子どもロボット作成やら、よく考えると結構グロイエピソードと娘とのほのぼの会話があいまって
    なかなか不思議な世界観。
    そのうちこれがどういう状況なのかが分かっていく。
    最後はちょっとふろしきがたたみ切れてない感もあるものの、かといって、きっちりした仕舞いもなにかあわない気もするし、これはこれでいいんだろう、と思える。

    いやあ、おもしろいもの読ませて頂きました。
    北野さん、他のも是非読んでみたいものです。

  •  ジャンルとしては「ホラーSF」。ハートフルな育児もののような体裁だが、何も知らずに読み進めると痛い目に遭う。刊行日が2011年夏なので「3・11」にインスパイアされて一気呵成に書き下ろしたと思われる。世界観や物語展開はよくできているが、細部に滲み出る著者の小市民的保守主義的な思想・趣向がどうも気に入らない。特に女性=母性というジェンダーバイアスを積極的に肯定しているのは問題(幼児の娘にまでバイアスを押し付けている)。

  • 生物学的に汚染されている世界で維持されている日常を生きる父と幼い娘の物語。この世界の成り立ちと背景は明示されず、親子を取り巻く出来事から、少しずつ状況がわかるようになっていますが、最後まで全体像は明らかにはされません。と書くと本書の雰囲気は伝わりません。北野版、バイオ風味のジブリ。女の子の可愛さと親の愛情がしんみりと伝わってきます。子供教室や保育園の描写は作者の実体験が活かされているように感じられ、これに不条理な被災を結びつける構想が素晴らしい。傑作です。

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著者プロフィール

著者:北野勇作(きたの・ゆうさく)
1962年、兵庫県生まれ。
92年、「昔、火星のあった場所」で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してデビュー。
『かめくん』で日本SF大賞受賞。
主な著作に『ヒトデの星』『社員たち』(河出書房新社)、『どろんころんど』(福音館書店)、
『かめくん』『きつねのつき』『カメリ』(河出文庫)など。
新作落語の会〈ハナシをノベル〉では、ノベラーズの一員として新作落語を書く。
田中啓文との朗読ユニット〈暗闇朗読隊〉として、不定期にライブを行っている。
Twitter連載【ほぼ百字小説】はルーティンワークで、現在1,200作を超えている。

「2019年 『この世界はなんだ!?じわじわ気になるほぼ100字の小説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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