ニキの屈辱

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 767
レビュー : 188
  • Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309020631

作品紹介・あらすじ

恋がもたらした痛恨の一撃!?人気写真家ニキのアシスタントになったオレ。一歳下の傲慢な彼女に、心ひかれたオレは公私ともに振り回されて…『人のセックスを笑うな』以来の待望の恋愛小説。第145回芥川賞候補作。

感想・レビュー・書評

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  • 読書がスランプ気味になったり中だるみしてくると、なぜか喝を入れるような感じで読みたくなるナオコーラさん。読み終えた途端「うわぁ…」と自然に声が出てしまうくらい、するどい切れ味でした。

    結局…

    ●「オレは、ニキちゃんのために、頑張って、なんでもしてしてあげたんだからな」=143ページ=
    ☆(うぉー加賀美…重いよ…)

    と、

    ●「恋愛している自分を人に見せるというのは恥ずかしいもんなんだよ」=99ページ=
    ☆自分のすべてを恋人ととはいえ他人にさらけ出せない。

    この二人のギャップが不毛で、でも心をバーーーンとぶち抜かれた!
    そして…

    ●「ちゃんと好かれていたんだ。私、人間だったんだ」=149ページ=

    で、泣きそうになってしまった。だけど…ファインダーを覗き、シャッターを切るラストが超、カッコいい。(加賀美なのが解せない…。クッ…。)切ないけどしびれた。


    ナオコーラさんすごい。くどくって説教臭いんだけど嫌いになれない。なんだか挑発的ような気がしてハラハラした。コミュニケーションの不自然さや、人と人の距離感がつかめない不器用なニキが痛々しく自分とかぶる。けどニキはしなやかでたくましく強い。

  • 図書館より。
    山崎ナオコーラさんは前々から気になってたけど読むのは初。
    若手写真家のニキと、そのアシスタント加賀美くんのお話。

    シーンからシーンへの移り方が、映画みたいだなと思った。1行だけの余白のあとにさらっと違うシーンに変わる感じ。
    山崎さんの「人のセックスを笑うな」は映画は観たけど小説は読んでなくて、想像だけど、たぶん小説の通りにあの映画はできてるんじゃないかとこの小説を読んで思った。

    主人公・ニキの、オンナだからって甘く見られたくないという思いが強すぎて逆にオンナであることを過剰に意識してしまう感じがとても痛々しい。
    でも今現在の社会は良くも悪くも「女であること」が特別視される場面がまだまだあるわけで、プライドだけではどうにもならない。
    そんな普段は強がりなニキでも、加賀美くんの前でだけは少し違う。

    誰かを好きになって、それが初めての恋愛なら尚更だけど、自分の感情にばかり焦点を当ててしまって相手がどれだけ自分を想ってくれているか、とかそんなことまで考える余裕がなかったりする。
    その関係が崩れたあとに思い返してみるとわかったりもするんだけど、そうなってから元に戻ろうにも、最初にあった空気は絶対に取り戻せない。
    そういうよくある事象を捉えているのだけど、途中は可愛らしくてふふっと笑ってしまうような会話やシーンがけっこうあって、切なくもキュートな物語でした。

  • ニキの、屈辱というタイトルが沁みる。

  • 二人の人間の一つの恋の始まりから終わりまで。
    ふつうの人たちじゃなかったけど、わかるわかる、みたいなところがいくつかあった。
    少しせつない話だ。

  • 山崎ナオコーラの傑作と言っていい。
    久しぶりに一気読みした!
    恋の始まりと終わりをこんなにうまくかけるのはナオコーラさんだけです。

    ニキはツンデレ。初めての恋にとまどって加賀美を振り回してしまう。
    加賀美のために「してあげてる」感覚に陥ってしまった。でも、ニキちゃん。恋はそんなんじゃ、続かないのよ。

    加賀美は加賀美で、ニキの情熱と情熱に反するつめたさを受け止められなくなってしまった。たぶん価値観の違いってやつだと思う。そしてニキをかわいいと思えなくなる。

    恋の終わり。悲しい。
    最後に屈辱を味わうニキ。
    でもニキはかわいい。ニキの写真家に対するプライドとか、恋の恥ずかしさとかわかるなあ。恋する自分って、なんだかはずかしいよねぇ。かわいい女の子が見たい人におすすめ。

  • 珍しくすごくストレートな恋愛小説だった。

    女性写真家とかかわいい写真家じゃなくただの写真家でいたいとか、常に加賀美にむかって「何かをしてあげてる」感を演出じゃなくて素でしちゃってるあたりとかが男性経験が少なくてプライドの高い女のありがちな雰囲気をかもし出していてよかった。

    ラストはちょっと痛々しかったな。

  • 芸術家の恋愛、特に格差恋愛の話。

    自己愛と偏愛とプライドがお互いの心の中で渦巻いてこんがらがって破滅する。

    写真家という評価が不確かな職業についているからこそ増大する不安が、恋愛相手へのプライドとしてかたちになっていく様が心理表現として秀逸。

  • プロの写真家としては、「仕事ができるオンナノコ」扱いして欲しくない。
    だけど、大好きな人にはデロッデロに甘やかして愛の言葉を囁いて欲しいし、「かわいいオンナノコ」扱いして欲しい。

    自分の人生には写真しかない、と思っていたコミュ障なきらいのあるニキが、いつしか社交性に富んだアシスタント・加賀美に惹かれ、やがて依存していく姿に、終盤になるに連れ痛々しさを感じました。

    語り手の加賀美より、彼の目を通して語られるニキの心情の変化が生々しく感じられたのが面白かったなー。
    それにしても、男の目を通して語られると、女ってつくづくイタくなるな←

    化粧っ気なし・Tシャツにジーンズスタイルという、フォーマルな場所でも自分のスタイルを飄々と貫き、確固たる信念を持ってファインダー越しの被写体に対峙してきたニキ。

    そんな彼女が恋に落ちていき、いつしか自分を見失っていく姿を、哀れにも魅力的に描いた作品です。



    たまには自分でまとめ(OvO)φ

    人気写真家・村岡ニキのアシスタントになった美大卒の青年・加賀美。一歳下の彼女の写真に惹かれていただけの筈が、いつしか彼女を「オンナノコ」として見るようになってしまう。
    「オンナノコ」として扱われることを極端に嫌う「写真家・村岡ニキ」と、「オンナノコ」として扱ってほしいと彼に要求する「ニキちゃん」の狭間で揺れる加賀美の選んだ道とは。

  • 「ちゃんと好かれてたんだ。私、人間だったんだ」からのやりとりで、ニキの不器用さが痛いくらいに伝わる。

  • 登場人物は加賀美とニキの、ほぼふたりだけ。
    始めから中盤までは加賀美に同情してしまって
    ニキにはイライラしか感じなかったのだけれど、
    仕事で加賀美が成功し始めた辺りから、なんだ、
    加賀美もけっこうやな奴じゃんって思った。
    そういう感じが面白いです。どちらかだけが良い人、
    悪い人(かなり簡単に言ってしまえば)という
    描き方じゃないところが。

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著者プロフィール

■山崎ナオコーラ(ヤマザキナオコーラ)
作家。1978年生まれ。性別非公表。
大学の卒業論文は「『源氏物語』浮舟論」。
2004年に『人のセックスを笑うな』でデビューしたあと、しばらくの間、「山崎ナオコーラ」でネット検索すると、第二検索ワードに「ブス」と出ていた。でも、堂々と顔出しして生きることにする。
目標は、「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」。

「2019年 『ブスの自信の持ち方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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