王国

著者 :
  • 河出書房新社
3.20
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本棚登録 : 885
感想 : 136
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  • Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309020693

感想・レビュー・書評

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  • 掏摸と同じ設定を用いた作品。
    操られる人と操られる人。
    そこに希望はあるのか。

  • 『掏摸』と双璧をなす作品。二卵性双生児のような。『掏摸』の木崎がここでも暗躍する。自分とは遠い世界でどこか現実味がない。

  • 掏摸に引き続き、木崎が怖すぎました。血だらけの500円玉の結果も分かったのですがリンクと言うほどでもなかったかな。性の描写もあってちょっと読みにくい箇所もありましたが、とりあえずユリカが死なないで良かった。

  • 『掏摸』の姉妹編ということで親しみがあり、主人公が著者初めての女性ということで新鮮味もあり、一気に世界に入っていけた。
    全体を覆う緊迫感と怠惰感の混在が心地よかったし、歴史上の宗教や娼婦のくだりも説得力があった。

    ユリカの切実な言葉
    「一番欲しいものは手に入らないと気づいたのは、いつの頃だっただろう。」

    「あなたが、必要なの。わたしはあなたが必要で、だから、わたしはあなたのために何でもやるの。」

    それに対する木崎の圧倒的な言葉
    「お前がどのように生まれ、この世界の中でこれまで何をし、何をしてこなかったのかを話せ。」

    「この世を最も楽しんでいるのは神だ。もし神がいればの話だが。」

    「お前の命を助けよう。お前の人生と引き換えに」



    『サワリーマン金太郎』
    『ミッション・チン・ポッチャブル』



    2015.8.27

  • あとがきによると、掏摸の姉妹編だそう。すっかり内容を忘れてしまったが、そこに出てくる悪者の「木崎」がこちらと共通項だったようだ。
    主人公鹿島ユリカは娼婦として男に近づき、依頼者の要望する情報や写真を手に入れる。しかし身体は預けない。
    単純な脅し材料を手に入れる程度であった彼女の仕事が、命の危機に関わる抗争に巻き込まれていく。
    彼女の中の狂気が月として描かれる。

  • 西加奈子さんが授賞式で、中村文則とか面白い作家はたくさんいます!って言ってたので読んでみました。レビューを見るとどうやら掏摸の兄弟作のようなのでそっちも、読んでみたいと思いました。今までの自分だと絶対選ばないような系統だったけど、こういう裏社会とか自分とかけ離れた話もいいなと思いました。スピード感もあって、ぞわぞわする感じもいい。

  • 芥川賞作家さん、初読み。
    組織に雇われ、社会的要人のスキャンダルを作り出す高級娼婦ユリカの話。
    面白くはあるが、ハードボイルドミステリ・大沢在昌のようなイメージで読んでいたので、組織や謎の男、ユリカの仕掛けた罠の行く末が曖昧なままなのがもどかしく、不完全燃焼。
    結局何を言いたかったのか。
    (図書館)

  • 20150322

  • 2015 2/26

  • 初めて読んだ『掏摸』の衝撃は、今でも忘れられない。それは、ストーリーも去ることながら、裏社会で暗躍する男、木崎の類を見ないキャラクターによるところが大きかったのだと思う。これは、二度と会いたくなかった彼が、再び登場する兄妹編だ。

    本作の主人公は、お金のために女を武器にして、有名人のスキャンダラスな弱味を集める女性。施設で育ち、頼る人も心を寄せる相手もない孤独な姿は、前作の主人公と重なる。
    そして、木崎。人の命は、絶対的な存在として君臨する自分を確認するための、遊び道具としか考えていない。他人の運命を握り、人生を操り、最後に命を奪うとき、相手を徹底的に打ちのめす。しかも、なぜ理不尽な死に方をするのかわからずに、苦しむ人間を見ることが、この上ない喜びだという。殺す相手への恨みや憎しみなど、個人的な感情はまったく存在しない、冷え冷えとした狂気が何よりも恐ろしい。

    前作に比べると、主人公の造形はやや劣る。タフで魅力的な女性だが、過去の人間だけでなく、現在の人との精神的なつながりがあると、弱味も加わってもっと共感できたのでは。

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著者プロフィール

一九七七年愛知県生まれ。福島大学卒。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏ス摸リ』で大江健三郎賞受賞など。作品は各国で翻訳され、一四年に米文学賞デイビッド・グディス賞を受賞。他の著書に『去年の冬、きみと別れ』『教団X』などがある。

「2022年 『逃亡者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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