異性

  • 河出書房新社
3.54
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021041

作品紹介・あらすじ

好きだから許せる? 好きだけど許せない? 男と女は互いにひかれあいながら、どうしてわかりあえないのか。カクちゃん(角田光代)&ほむほむ(穂村弘)が、男と女についてとことん考えた、恋愛考察エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 角田さんと穂村さんが男女についてかいたエッセイ。
    共感したり、自分はどうだろうと真剣に考えたり
    読んでいるあいだ、頭のなかが忙しかった。

    「人は中身か、外見か」という
    きっと誰もが議論したことのある議題(?)から
    「主電源オフ系男女」という発見的なものもある。

     恰好いいとかもてるとかには、
     主電源というかおおもとのスイッチみたいなものがあって
     それが入っていない人間は細かい努力をどんなにしても
     どうにもならないんじゃないか

    と穂村さんはかいている。
    ・・・主電源。なんとウマイ表現か。

    そして穂村さんの部下だった新人の女の子は
    こんなことを言ったそうだ。
    「がんばってお洒落してお化粧して可愛くしてるんだから
    デートの費用は当然男性が全部払うべきだと思います」

    デートの費用の支払い云々はさておき、
    前半の部分で十分衝撃だった。

    がんばっておしゃれしてお化粧した=可愛いって
    鏡のまえで自分を確認したときには成り立つかもしれないけれど
    あとは自分の手から離れるのではないだろうか。
    とはいえ、そう言い切れる(思える)のがすごい、というか
    もはや羨ましいかも。

    なんて話を友だちにして、返ってきた言葉を聞いていたら
    「いや、わたしが細かすぎたな」と苦笑しました。

    いつもよりがんばってきれいにしたときぐらい
    そうして「可愛くしてる」と少しぐらい自信をもちたいものだな
    と書きながら思ったりも。
    (再び)苦笑。

  • 面白かった。
    クスクス笑いながら読んだ。
    角田光代さんが女性の恋愛観を、穂村弘さんが男性の恋愛観を語っているのだけど、どちらも個人の経験から出来上がっているから単純に女性側に共感出来るわけではなかった。
    それがまた面白いなぁと思う。
    角田さん、穂村さんどちらの話にも「えっ、そうなの!?」という驚きがあり、同じくらい「分かる気がする」という共感があった。

    でも「分かる気がする」と、「私もそう」はやっぱり違う。
    読み終わってから全体の印象をぼんやり思い返すと、やっぱり私は女性側だった。
    性別がそこまで個人の感覚(?)に影響しているというのは、当たり前だと思ってきたけど、よくよく考えると気持ち悪いかも。
    人間→日本人→女性→個人くらいの階層になっていて、それぞれの階層で共通項があって…、個人レベルで決まるのは本当に些細な部分なのかもしれない。

    私にとっては、異性だけではなく、同性についても勉強になる本だった。
    女性って実はかなりこわいんだな、とか。
    男性って意外といい加減なんだな、とか。
    恋人の言動に悩む友人にも薦めてみようかな。

  • 「うわうわうわうわ!!!」と、読みながら心の中で何度叫んだことか。
    「異性」についてとことん語られた、角田×穂村の往復書簡エッセイ。若かりし頃に感じていた様々な男女間の「モヤモヤ」が、今更ながら霧が晴れるように「そういうことか」とはっきりと理解できました。それは男性のみならず、わかりやすく「モテ」を意識した女性に対しても。おしゃれや化粧に時間やお金をかけてキレイにしてくるのだから、おごってもらって当然という考え方は、逆立ちしてもできそうにないわ。(実際、ワリカン率の高い人生です。)
    異性の意識のすれ違いや考え方の差異は、角田×穂村の組み合わせだからこそユーモラスに、時々は繊細に語られ、それを読む側も「ふむふむそうか」と面白がりながら享受できたと思う。特に穂村氏の言い回しのユニークさ、滲み出るトホホさ、とことんツボでした。いかにもな文学青年の、ちょっと滑稽な恋愛エピソードが何とも「愛すべきカッコ悪さ」とでも言いたくなるようなもので(笑)これが例えば、男性側が北方謙三氏とかだったら、内容は全然違うものになっていたかしら。
    角田さんはさすが、恋愛の事象に対する指摘がいちいち鋭くって、これまた「うっ」と何度も心の中で呻きました。「さかのぼり嫉妬」とか、自分の「好きなモノ」を表す「連動ラベル」とか、長年のモヤモヤが名前を伴って分かり易く解説されたときの爽快感といったら!
    20代の読者はどんな思いで本書を読み、どんな思いを抱くのかな~と感じました。当方40代ですが、角田さん・穂村氏の過去の恋愛話を読んだら自分の恥ずかしい過去も色々甦って、のたうち回りたくなりましたよ。
    女性・男性の恋愛をそれぞれ「長編劇画」と「四コマ漫画」と表現したのには脱帽、目からウロコです。そんな解釈ができたのかとなるほどの嵐です。
    中身は勿論素晴らしいけど、宇野亜喜良氏によるコケティッシュな女性のイラスト、長崎訓子さんによる草食系なメガネ男子のイラストもとても素敵で、これまたナイス人選。

  • 男と女って切り口は結構乱暴なところはあるのだけど、なんとなくわかる、の積み重ねで、うーんそれは違うなぁ、とか、いやーそれはわかる!確かに!がちょいちょい混じってきて、結果それなりに共感ができる、って言うのが実は作家の力なんだろうな、と思う。自分の考えのようで自分を小出しにしかしない、というところが上手い

    2023.10.17
    173

  • 女をン十年やってきているけれど、
    角田さんの意見に相いれないところがある。
    逆に、穂村さんの方にあるあると頷いてみたり。
    これは男と女というのは画一的ではなく、
    あらゆることが想定内にあって、
    なおかつ、天文学的数字の上に連なる相性、組み合わせが・・・
    云々じゃなく、
    ただのえこひいき?なのかもしれないなぁ。

    • ほうじ茶さん
      jyunko6822さん、コメントとフォローどうもありがとうございました。
      昨日、『異性』を買いました。
      文庫になるのが待ちきれず…珍しく奮...
      jyunko6822さん、コメントとフォローどうもありがとうございました。
      昨日、『異性』を買いました。
      文庫になるのが待ちきれず…珍しく奮発しました(笑)

      『蚊がいる』というエッセイ、名前から面白くて私も気になります!!
      2013/09/23
  • (*^_^*) (*^_^*)
    ちょっとトンガった&経験豊かな女性・角田光代さんと、
    少々、優柔不断に見えたりもする(そこがまた「男」なんだよね!)の男性・穂村弘さんが語る、
    女とは、男とは、恋愛とは、結婚とは。

    このお二人の組み合わせを考えた編集者は偉い!
    私は当然のことながら女性目線でお二人の話を読みすすめていったのだけど、男の人ってホントにわからない!と思う苛立ち(汗)を穂村さんが遺憾なく発揮してくれ、でも、そのわからなさを鋭く指摘する角田さんへの受け答えが、なるほどね・・・という誠実さに溢れていて、というくり返し。
    そして、角田さんも突っ込むばかりではなく、穂村さんからのコメントに、うんうん、そうだよね、女性側からは至極当然、たぶん男性側からは非常に驚き!の心の動きを吐露しているあたりが、なんていうか、嫌味なく読めたんですよ。(*^_^*)

    ただ・・・
    これが30年前に読めてたらなぁ、という気持ちは読みながら何度もこみ上げてきて、もう遅いよ、とさえ。
    私、生まれて初めて付き合った異性が主人で、当時は二人とも同じ大学の学生。
    私ったら自分でも言うのも大恥ずかし!「チッチとサリー」のチッチになったみたいな気持ちで、毎日が嬉しくてたまらず、でも、段々、この人は何を考えているんだろう???と、わからないことだらけで不安な日々だったんだよね。
    ホント、あのころ、人生の不可解さは全て彼から学んだ、みたいな気持ちになってたくらい。で、すっごぉ~~くあれこれ考えて、話もして、結論としては、男って女とは別の生き物なんだ、と悟ったというか、そう思うことにしたというか。

    もちろん、当時とは時代が違うからこの「異性」では、新しい価値観なんかも出てきて、それはそれで面白かったのだけど、今、これをとことん考える元気はないぞぉ~~、とか、男女、ということだけじゃなく、女ってさ、という自分自身のこととしても、今ひとつ、のめりこめない。
    これは、ここのところ、私の外界が急転回していて気持ちがついていってない、ということもあるんだろうな。
    なんていうか、バタバタに追われて、自分に対する関心を持ってられないという…。
    私ってこういう時にはこう思うよね、とか、こう対処してきた、とか、今、考えてはいられない程、ジェットコースターに乗っている、っていうことなんだろうな、と、この「異性」を読んで気がついたのがもしかしたら、一番面白いことだったかも。(*^_^*)

  • 人って、わからない事をわからないままにしておく事が出来ない性分なのかな?

    宇宙のこと、人体のこと、ミクロの世界や、数字の不思議、ウィルス、宗教、はたまた地球外生命体に至るまで。

    あらゆる分野にあらゆる研究チームが設立され、
    その生涯を全て研究の為だけに捧げた偉人だって決して少なく無い。

    …が、そのなかでも誰もが(一人研究チーム)を抱えてる最も身近な『謎』と言えば
    『異性』のこと。
    では、ないだろうか?

    わかりあえてるようで、わかりあえてない。
    真意が全くつかめない。
    近づきたいのに、触れ合いたいのに、溝が全く埋まらない。

    (さぐりあう)
    (表情を読む)
    (言葉の真意を推理する)

    これも一種の研究とは言えないかな?

    人は、本能から異性の存在は絶対必要だと確信しているからこそ、
    わかりあえる仲になりたい。
    もっと親密に付き合いたい!と、願う。

    だが、その方法がわからなくて、憶測でしか考えられない、異性の存在はやがて、(神格化)してしまう…なんて事もあるのではないだろうか?

    ああ、やばい、やばい。

    異性の存在が遠くなりすぎたら、ヤバい。

    案外、その神々しさなど簡単に剥がれるもの、と言うのが、この本を読めばよぉ~~くわかる。

    要は、研究チームなどを心に設立しなくとも、
    本音曝け出して語り合えばいいのだ。

    プライドや羞恥心を全て捨て、
    心の底から
    (あたしはこうだけど、あなたはどうなの?どうなの?どうなのっ?)と、詰め寄る。

    すると、案外何でもない様な心が返って来るのだな。

    角田さんと穂村さんは
    心の隅から隅まで、余すとこなく異性について思う気持ちをぶつけあった。
    そこには
    男女の考え方の相違、
    見栄や虚勢を張りたくなる心理、
    思わず、なんども
    (わかる、わかる)(うんうん、そうそう!)
    鋭い所を突くお二人なので、
    感嘆させられる箇所がたくさんあった。

    夢見る乙女も
    アイドルに憧れる男子達も

    この本を読めば、その憧れの対象は
    自分と大差ない、事に気付いてホッとするかな?


    それとも、がっかりしてしまうかな?

    充分承知のうえで、(雲の上の存在)として思い続ける事もまた、悪くはない事ですけれど♪
    異性の存在ってやはり、キラキラしたものですからね。

  • 大変興味深く、面白く読めた。
    いちばん「目からうろこ」だったのは、穂村弘さんのいう「男性の所有感覚」についてだった。
    何かについて、考えたり名前を口にしたりするだけで、すでに脳内で所有している感覚になる、とか。
    角田さんも書かれていたが、私もずっと長い間、男性が野球のチームを勝手に空想したり、「サッカーチームを作ろう」というゲームを楽しめるのが不思議だった。あれは脳内で所有していたのか。
    そして、それに伴う女性側の錯覚についても目からうろこであった。
    そうか、男性が女性の何かについて言及してもそこに必ずしも恋愛感情などは付随しないのか。
    これは大変な驚きであった。

    往復書簡ではなく、往復エッセイという形式が、ひとつのテーマからの話の広がりにつながっていて、面白かった。
    何度も読み返したくなる本。

  • なんとなく打ちひしがれながら読んだ。

  • ネットの連載でほぼ全部読んでてずっと待ってた!
    書きおろしとか入るといいなあ。期待。

    さっそく読んでるけど
    男女間の意識のズレに悲しくなったり笑ったり。
    角田さんの切れ味のよさに笑いながらも納得。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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