異貌の人びと ---日常に隠された被差別を巡る

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 111
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021089

感想・レビュー・書評

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  • ジャーナリズムといわれるとちょっと悩むけれど、ノンフィクションのエッセイとしては面白かった。
    路地、と呼ばれる出身の著者による世界で差別を受ける、受けた人々の話。
    私自身路地と呼ばれる人自体が良くわからなかったが被差別部落?の呼ばれ方の一つで合ってるのかな?
    北海道以北の少数民族に関する話題が個人的には知れて良かった。

  • 筆者の上原善広は基本的に「くそ野郎」と言われても仕方がない、アウトローな男です。
    ただ、それを分かるように書くその姿勢は嘘が感じられなくて僕は好き。
    時としてはた迷惑としか思えないような言動をするし、本作での取材も自分でジャーナリストだと名乗っているだけの有象無象に過ぎないので、行動に責任感もない。でもそこに何か現地の真実のようなものを救い上げる無造作なパワーを感じます。
    書いたとき既に10数年前の事を書いていて、しかも9年くらい前の本なので時期的には上原氏が20代なのでぐつぐつ煮詰まっている時期だったんだろうと思います。

    色々な国の被差別者の姿を見たい。それは日本の被差別部落に生まれた彼だからこそ、さらにグイっと一歩踏み込める強みになっていると思います。
    表紙に美しいロマ族の女性が映っていてとても心惹かれます。本書の中でもロマ族の娼婦との生命力あふれるシーンがなんとも官能的(行為はありません)。行為をしなかった彼の後悔がなんとなく僕の心にも流れ込んできてとても印象的なシーンになっています。読んだ人みんなそのシーンが頭にこびりつくんじゃないかな。
    そして、サハリンの少数民族の事を書いているのですが、今回の直木賞を受賞した「熱源」ととても被る内容だったので、とても素晴らしいタイミングで読んだんだなとうれしく思いました。ギリヤーク族の人々の姿が書かれていて胸が熱くなります。あの熱源がどれだけ史実に則っているかは知りませんが、あの本は日本人必読の書でしょう。

    脱線しましたが、本書はガザ地区にまで乗り込んで危険な状態の中を準備無しでうろうろしている姿はジャーナリストからは眉を顰められるでしょう。彼が死んだらまた世論がジャーナリズム全般への批判に舵を切った可能性もありますから。
    でも、こんなに現地の状況を生々しく見てきた本もないんじゃないかと思います。そういう意味では副読本的に読むのにとても良い本かもしれません(王道ではないという意味で)。

  • ノンフィクション

  • ライラに会いたい。

    薄れていはいくけれど、けして消せない闇がある。

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著者プロフィール

1978年、大阪府生まれ。大阪体育大学卒業後、ノンフィクションの取材・執筆を始める。2010年、『日本の路地を歩く』(文藝春秋)で第41回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2012年、「『最も危険な政治家』橋本徹研究」(「新潮45」)の記事で第18回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞大賞受賞。著書に『被差別のグルメ』、『被差別の食卓』(以上新潮新書)、『異邦人一世界の辺境を旅する』(文春文庫)、『私家版 差別語辞典』(新潮選書)など多数。

「2017年 『シリーズ紙礫6 路地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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