屍者の帝国

  • 河出書房新社
3.53
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本棚登録 : 3059
レビュー : 426
  • Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021263

感想・レビュー・書評

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  • ニコライ・フョードルが出ていると聞いたので、読みたかった。

  • ラストのフライデーによるエピローグがかなりぐっときた。

  • 伊藤計劃らしくもなく、円城塔らしくもない。
    しかし、それぞれのエッセンスは確実に薫ってくる。
    どちらかと言えば、円城塔のエッセンスの方が、やや薫りが高い、かな。

    と言っても、円城作品をそこまで読み込んでいるわけでも無い。
    伊藤作品については、染み入るほど数が無い。
    なので、この印象が正しいのかも、そもそもよく分からない。

    「伊藤計劃の遺作を円城塔が完成させた」という先入観を捨てた場合はどうか。

    「堅実で示唆的。良く出来たSF。しかし、やや冗長」という感じかな。

    円城塔が伊藤計劃から引き継いだものは、どこまでだったのだろう。
    「プロローグとプロット」と書いてあるけれど、そこに結末は書かれていたのだろうか。
    なんとなく、これは感覚でしか無いのだけど、この結末は、伊藤計劃ではない気がする。

    追記:円城塔氏のインタビューを読んで、なんか、いろいろ納得した。

    <a href="http://mainichi.jp/feature/news/20120906mog00m040001000c.html " target="_blank">円城塔インタビュー詳報:故・伊藤計劃との共著「屍者の帝国」を完成させて</a>

    以下、ネタバレなので隠しておく。
    まあ、ネタバレしたところで、それほど意味はない気もするけど。

    [more]

    人の意識は「菌株」が操っている、とザ・ワンは言う。
    ヴァン・ヘルシングは、同じものを「言葉」と呼ぶ。

    この部分が、なんというか、無理やり伊藤計劃っぽく仕上げた感じがした。
    それが、逆に伊藤計劃っぽくない雰囲気に繋がった、と感じた。
    伊藤計劃なら、そこで「言葉」は出さなかったのではないか、と思う。
    このストーリィで、この展開で、そこでは「言葉」は出さなかったのでは無いか、と思う。
    これはもう、理屈では無い、漠然とした感覚でしか無いのだけど。

    むしろ、逆だったのでは無いか、と思う。
    ザ・ワンが「言葉」と言い、ヘルシングが「菌株」と言う。
    そちらの方が、なんとなくしっくり来る気がする。

    本書も、もちろん面白かった。
    しかしやっぱり、「伊藤計劃の書いた『屍者の帝国』」を読みたかったな。
    無い物ねだりだからこそ、余計にそう思うのだろうけれど。

    本当に、惜しむべき人を亡くしたんだな、と改めて実感した。

  • 【由来】
    ・アテネの最終日に購入

    【ノート】
    ・伊藤計劃はデビュー作の「虐殺器官」という小説で鮮烈なデビューを果たしたが、癌のため34歳で夭折した。僕も大好きな「メタルギア」というゲーム、正確には監督の小島秀夫の大ファンで、親交もあった。また、メタルギア4のノベライズも伊藤が担当した。

    ・本作は、伊藤の遺稿をもとに、円城塔が完成させたという作品。ベースプロットは、あの古典的小説、フランケンシュタイン。

    ・メアリー・シェリーの「フランケンシュタイン」は人造人間だが、これが死体をもとにウィルスで制御されるとバイオハザードのゾンビ。そんな「死兵」ならぬ「屍兵」をネクロウェアなるソフトウェアで制御する蒸気時代の世界、1800年代後半が舞台。イギリスの諜報員である主人公ワトソンに、アメリカのグラント将軍やヴァン・ヘルシングなどが登場して繰り広げる、スチームパンクSFスパイものといったところ。

    ・円城塔は知らないので伊藤計劃に惹かれて読み始めたが、正直な読後感としては今ひとつな印象。伊藤計劃の「虐殺器官」の続編である「ハーモニー」で色濃く感じた、伊藤計劃の死への視線。迫り来る死(とその恐怖)に戸惑ったり抗ったりしながら対峙する過程で獲得したと思われる自意識への姿勢。そこに感じた伊藤の恐れや絶望を感じることができなかった。執筆している人間が違うのだから当たり前かも知れないが、伊藤計劃なら、屍者側からの視線をもっと説得力を持って描いたのではないかと感じた。

    ・それでも「全員が絶望を感じることができなくなるのは、至福の実現ではないかね(P382)」という記述に、伊藤が観ていたものに通底するものを円城が認識していることは感じられたし、「ハーモニー」の終わらせ方を止揚したとも捉えられる結末に、ちょっとした目まいにも似た感覚を味わわせてもらえたのはよかった。

    ・総じて、自分にとっては、「虐殺器官」や「ハーモニー」を超えるSF作品とはならなかった。

  • 2012-8-26

  • 2013年 第10回本屋大賞 第10位

  • 第1部は比較的入っていけたけど,第2部は今一つ入っていけなかったな.背景となる知識がそれなりにないと難しい.

  • 77:ようやく読めました。伊藤さんとの共著で死者もの、ということで、際どいジョークだと思っていたのですが、円城さんへのインタビュー記事(毎日jp  http://mainichi.jp/feature/news/20120906mog00m040001000c.html)を読んで、これは素直に楽しんで読めばいいのだと、胸のつかえが取れた気分です。
    伊藤さんのプロローグ、そしてそれを発展させ、小説(物語)、言葉、意識、と深みへ迫り、エピローグへと「戻る」大作を書きあげた円城さんへの感謝がつきません。「ありがとう」と何度言っても足りないくらいです。
    作中に登場する小ネタ(?)にニヤニヤするのも楽しいし、純粋にSFとして読むのも楽しい。待った甲斐がありました。面白かった……!

  • ★設定がうますぎて★科学が異なる方向に発展した19世紀末、死者が屍者として甦る世界の冒険譚。もったいぶった語り口、キャラクターの設定、各地を巡る舞台など、アニメにぴったりな感じ。そのなかで人間を人間たらしめているものが何かを探るテーマ設定は興味深いが、ややどちらにも振り切れていないように思えた。どうしても現実につながってこない。円城塔はこんな物語調の文章も書くことに驚いたが、短編の方が切れ味が生きるかも。

  • 途中まで何とも言えぬ憤慨、苛立ち、諦観をもって、それでもページを繰っていた。伊藤計劃という稀代の、早逝した天才の、プロローグを受け継ぐという歴史的な業に期待したハードルは当然とてつもなく高かった。死者としての伊藤計劃の頭脳をそのままインストールされた屍者=円城塔がつづる物語、つまり作者たち自体がメタ構造になっていることに興奮が高まらないほうがどうかしている。大変な企画だと思ったのだ。円城塔の知能の容積ならば必ず成し遂げられると確信してもいたのだ。
    正直に言おう。まず、文章がへたくそだ。自身の観念世界の描写、つまり自作においてはそれは個性だし、作風として許されてもいいし、好みでもある。しかし、無理によせた特にアクションシーン、平場の人物の描写力不足はどうだ。伊藤を継ぐのならまずはここを抑えなくてはだめだろう。
    次に、物語が絶望的につまらない。構成やプロットなどの問題ではなく、伊藤の物語の紡ぎ方は凡百のそれと一線を画す、まさに唯一無二であった。それを衒学的にこね回し、不要で笑えないパスティーシュに塗れさせ、平凡な、隔離されたSF界でのみ内輪受けするものとなってしまった。
    単純に伊藤計劃が偉大なのは、「分かりやすく面白く。かつ前人未到で、テーマが深い」ことではなかったか。
    それでも企画に満点をつけたい。上記のリスクをあえて受け立つことは称えてしかるべきであるのだから。

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

屍者の帝国のその他の作品

屍者の帝国 (河出文庫) 文庫 屍者の帝国 (河出文庫) 伊藤計劃
屍者の帝国 (河出文庫) Kindle版 屍者の帝国 (河出文庫) 伊藤計劃

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