- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309021416
作品紹介・あらすじ
バツイチ子供なしの49歳・ミナミ。先行き不安な彼女が見つけた希望とは!?現代日本の"お金"信仰を問う痛快小説。第49回文藝賞受賞作。
感想・レビュー・書評
-
まず…、
語りの人称が変わってくのは、最初は、結構戸惑った。
それ以上に、時々、唐突に改行のない文章が続くのが、
非常に読み難かったな~。内容以外で難があったかも。
内容的には、
「お金の神様」と言ぅ題材は、非常に面白くてよいと思ぅ。
ただ、登場人物の年齢設定が、ちょいズレてるよぅな感じ。
お話の収束(終盤)も、ちょいっと物足りなかったかな~。
題材がよかっただけに、結構おしい感じの作品だったかも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
お金と宗教の本。現在のご時世を反映してますな。
-
何かにすがりたい気持ちには誰にもあるはず。それがお金で何が悪い…って感じで進みながら、最後はそうきたかと…。
-
面白かった。
夫に裏切られ、離婚し鬱になった長女が、親の金銭教育がまったくなかったことを嘆くシーンに共感。うちの親もそうだったな。
なんだかんだ言って、お金があればある程度の満足が手に入るのは事実。お金より大事なものがあるとはいえ、お金がなければ生きていけないわけだし。愛とか信頼とかは不確かだけど、お金はそれよりはずっと確か。
だから「おしかくさま」の信仰はへんな宗教よりよほど理解できる。
震災への寄付っていくらならいいの、っていう疑問はみんな心の中にはある。だから「気持ちが大事」って言われても芯から納得はしないよね。
誰か信頼できる人から、例えば「(あなたの収入と経済状況を考えると)5万円です」ってはっきり言ってもらいたい気持ちはある。
作者がリアルにお金に苦労した様子がなんとなく伝わる。
「赤貧洗うがごとし」なんてこと今どきはほとんどなくて、これくらいの貧しさがリアルだ。
こういう内容を描いた作家はいなかった。
これからに期待したい。 -
テンポラリー・ランクアップお社 (笑)
話者が5人もいて順不同にぐるぐる変わるので、読解力を要します。話し手が変わったことに一切説明がなく、いきなりその人の視点で物語が進むからです。そういった点で読みやすい話ではなく、面倒だと思う人も多いでしょうが、一方でこういう書き方をすることによって話しが重層的になり、面白い試みだともいえます。
おしかくさまの信仰にはパソコンとクレジットカードが不可欠です。紙幣は信仰の対象だから取引には使わないのでしょうか。その点全くの平等とは言えず、信者を選びますね。
60歳で下駄みたいな顔で「アリス」…キラキラネームはその頃はそんなに一般的ではなかったと思います。ここ30年くらいだから近い未来にはあるでしょうね。
自分だったら、信仰するだろうか?ナナミのあいまいさはまさに日本的で私も同じような態度を取るような気がしています。 -
今年の文藝賞受賞作です。
内容は『おしかくさま』というお金を神様を信仰することによって
お金持ちになれるとうたっている新興宗教と
それに関わる家族のお話です。
仕事をリタイアした父親がこの宗教の信者の家に通うようになり、
それを不審に思った40代の姉妹と母親が話し合い、
尾行をするところから話は始まります。
視点がころころ変わるのが特徴です。
けれど、読みにくいって印象はありませんでした。
むしろ、父から姉、妹、妹の娘、母といろんな視点があることで、
その新興宗教をどういう風に捉えているかとか、
お金について思うことなど
一つの事柄に関して多角的に書かれるので比較していくのが面白かったです。
作品の中で、震災の義援金についても書かれています。
新興宗教と義援金が対比対象になっているのはすごく不思議な感じでした。
あとは、お金の神様を信仰するだけでお金持ちになれるんだったら
苦労しないよなぁと思いました。
信仰によって救われる部分もあるでしょうけどね。 -
色々と宙ぶらりんになったままの読後感。
とどのつまりお金の価値は使う側、持っている側でその順位を決めていいということなのか。
-
『お金はない。ウツは治る。職はない。年は取るお先真っ暗で〜』
この言葉の並びに「鬱は治る」が入るセンスに驚いた。シリアスなのか、リアルなのか、ブラックなのか。
なんとも不思議な読み心地の本だった。
そもそも短い本ではあるが、とはいえ気づけば読み終わっていた。ただただ面白かった。 -
小学生の時にやったこっくりさんを思い出した。現代の小学生でもこういったスピリチュアルな遊びってやっているのだろうか。
-
父が通っていたのはお金の神様「おしかくさま」を信仰する人たちの元だった。
第49回文藝賞受賞作。
お金と信仰を絡めて書かれた小説。
勝手に表紙の感じからティーン向けなのかと思っていたけど、登場人物が中高年でどの年齢層が対象なんだろう?内容はあんまり後に残らなかったかな。
東日本大震災の寄付の話も出てきて、寄付について色々考える。寄付せずに「歌うしかできない」とか言ってた歌手がいたけど、売名でも偽善でも寄付した方が助けにはなるよね… -
読了せず
-
金は鏡である。金は金と向き合うすべての人の心を映し出す。金は粗末にしてはならない
-
著者は高橋源一郎の元妻。「高橋直子」時代からエッセイスト/作家としても活躍していて、その文才は高く評価されていた。
離婚後、うつ病で苦しんだ時期もあったそうだが、昨年、本作で50歳を超えて「文藝賞」を受賞。小説家として再スタートを切った。
タイトルとカバーイラストの印象だとおどろおどろしい民俗ホラー小説みたいだが(でも、よく見れば祠に祀られているのは銀行のATM)、そうではない。
これは、軽妙さとシリアスさ、娯楽性と社会性が絶妙のバランスで共存する、知的な企みに満ちた純文学なのだ。
「おしかくさま」とは、お金そのものを神格化した新興宗教。教祖も組織も姿は見えず、各信者はネット上にあるサイトを通じて結ばれている。
信者たちは本尊のかわりに銀行のATMにお参りし(!)、「おしかくさま」に何か尋ねたいときには「無紋の札」を購入する。「無紋の札」は一万円札と同サイズの、何も書かれていない真っ白な紙。一万円を振り込むと、その札ととともに尋ねごとに対する「お告げ」が送られてくるのだ。
40代後半の姉妹がいちおうの主人公で、2人の老いた父親が、ふとしたきっかけで「おしかくさま」の信者たちと知り合うところから話が始まる。
一人称で書かれているのに、その視点が目まぐるしく変わる。姉・妹・父・母・妹の娘が、それぞれ語り手として登場するのだ。そのことに最初は戸惑うが、文章の中身だけで5人の区別がつくように書かれているので、すぐ慣れる。
現代人がアヤシゲな新興宗教を立ち上げる小説というのはこれまでにもいろいろあったが、本作は「その手の話のありがちなパターン」に陥っていない。「おしかくさま」はやはり大がかりな詐欺だった……という一応の決着をつけながらも、その先にさらなるツイストを加え、読者の思索を誘うのだ。
「現代人にとってお金とは何か?」「宗教とは何か?」という2つの大きなテーマを同時に扱いながら、中心となる一つの家族が地に足のついたタッチで描かれている。枠組みの壮大さと、その中に描かれるつつましい日常のギャップが、不思議な味わいを醸し出している。
なお、バツイチでうつ病を病んでいる姉には作者自身が深く投影されているようで、姉の視点で書かれた部分にだけ、ときおり異質な重みが感じられる。軽快なタッチで書かれた読みやすい小説であるだけに、そこがザラリとした印象で強く心に残る。
たとえば、次のような一節――。
《(離婚時に)高い慰謝料をもらっても傷つくということはやはりお金と愛は対極にあるというイメージもあながちお手軽な割り切り方でもないのだと思ったりしたわけで、けっきょく金を受け取ることであたしは愛に見切りをつけたのだから愛と金を等価と見なさねば前には進めなかった。そのことがいまもあたしを深く損ない続けている。》 -
お金か愛か。
お金で買えないもの。
むむう。考えちゃう。 -
ちょっと最後良かったな。尻上がりに上がっていく本だった。
-
なんかライトノベルみたい、というのが第一印象。登場人物の年齢層が高めであるけれど、家族の中ということで皆歳相応の振る舞いではなく幼く見える。小さくまとまっているけど嫌いじゃない。
-
謎の新興宗教ってのがそそられるし細かな描写もセンスいい言葉で面白いなと思う瞬間がいくつもあるし言いたいこともうまくまとまってるんだけど、期待してたよりいまいち軽い印象であまり残るものがなかった。
-
文藝賞受賞作。「おしかくさま」という、お金の神様を信じる新興宗教の話。主人公は、離婚して以来心のバランスを崩している中年女性。その父、母、家庭を持つ妹と、おしかくさまの信者たち、それぞれの目線で、お金のことや、信じるということについて語られる。
お金と、もう一本の軸は、東日本大震災で、物語は震災直後の日本だ。募金をいくらすればいいのか、という問いが出てくる。助けたいという気持ちが大事なのですと言うけれど、でもいくらが適切なんたろう、と。その疑問はちょっと分かるなと思った。 -
初めての谷川直子作品。 いくら寄付すべきなの? 東日本大震災や光速を超えたニュートリノなど、タイムリーな話題をところどころ挟む。 詐欺の境界はどこだろう。 金運アップの御札を1万円で売るのは?10万円の厄祓いは?100万円の戒名は? 福島産の桃を1万円で売るのは?同じ桃を10万円で売って9万円を義援金にするのは?何も売らず100万円の義援金を求めるのは? 女子高生と話すための1万円は?弁護士と話すための10万円は?オレオレと話すための100万円は?
-
「おしかくさま」=お金を信仰して、ご本尊はATMというとても奇妙な集団が登場するのだが、話は面白く、スッキリとした読後感。
-
スラスラっと読んでしまえるけど、最後まで読み終えてから「ああ、いい話だったなあ」と思える一冊。
主人公が誰かはっきりしないが、老夫婦、その40代後半の2人の娘、その次女の娘という5人の視点から一つのストーリーが紡がれる。こういう形式自体は珍しくなくなってきたが、いま誰の視点で話が進んでいるのかを読み落とさないようにするため、適度な集中力が必要なのがよい。
ラスト近くの奇跡がかった展開も、決して不自然ではなく、素直に読めた。自分にとって谷川直子作品は本書が初めてだが、これからも要注目と見た。 -
お隠し様と誤読して期待していたのにおしかくさまだった…。
主人公がぱっとしない印象と、
お金の話と。
あまり傾向として好むものではありませんでした。 -
お金の価値って…
おしかくさまは、本当に神様なのか、いかさまなのか。
五十路間近でウツから立ち直りかけの主人公とその周りの家族が「おしかくさま」というお金に宿る神さまから啓示を受けたことは。
視点がころころ変わるのでちょっと読みづらかったですが、内容的にはまぁまぁでした。 -
なんとなく幼少期から同じ価値観で過ごしていたものの、その価値観が剥ぎ取られた(それもある程度年齢を積んだ段階で)あとにむき出しにされるのは、お金の現実という身につまされる話。現実のむき出しに宗教が入り込むまではわかるんだけれど、その後の展開がなあ。
-
お金の神様、っていうのは今の世の中にあってるような気がして、設定自体は面白いのだけど・・・話し手が変わっていくのも面白いけど・・・元ウツばついち女性が主人公なのもあって、ちょっとクライトーンでした。。。
-
さらっと1時間くらいで読み切ってしまった。。
お金に対する考え方は千差万別やなぁって改めて思ってみたり、お金の稼ぎ方も色々やなぁって思ったりと、改めて考えることが出来た本でした。
でも、読み応えは無かったかもww
私が、こないだ読んだ本に引っぱられたまんまやから、あかんだけかなぁ^^; -
お金の神様おしかくさまの信者達とウツ病で長年苦しんできたミナミがおしかくさまを通じて苦しみを自分で乗り越えていく初めは退屈だったが後半は一気に読めスッキリとした気持ちになった。
-
第49回文藝賞受賞作。
お金の神様おしかくさまにはまった人々をほんわかした文体で描く、秀作です。
おしかくさまのお社がATMだったり、おしかくさまを降臨させる方法がほぼこっくりさんだったりと胡散臭さ満載の新興宗教にはまっちゃう人々を見てると、でも幸せなら良いか、と思えてきます。
ニュートリノが光速を超えた(残念ながら後に実験が誤りだったことが証明されましたが)ニュースだとか、3.11のことだとか、わりかしその時のニュースが散りばめられていますが、そんなことはどうでも良くて、新興宗教にはまる人たちってのはこんな風にはまってくんだな、というのが何となく分かります。 -
お金の神様「おしかくさま」は本当にいたのか、いなかったのかモヤモヤ(--;) でも、信じれば何でも有りなのかな?