スタッキング可能

著者 :
  • 河出書房新社
3.19
  • (51)
  • (104)
  • (120)
  • (64)
  • (36)
本棚登録 : 1239
レビュー : 176
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021508

作品紹介・あらすじ

日本社会を皮肉に照射する表題作「スタッキング可能」をはじめ、雑誌掲載時より話題の「もうすぐ結婚する女」など、たくらみに満ちた松田青子初の単行本が、多くの推薦者により贈り出される!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 今年の初めに「なんかすごいらしい」と耳にしていながらも、読むのがのびのびになっていた本。

    表題作の『スタッキング可能』、最初から飛ばしている。匿名希望のお仕事女子・男子の姿は、ざっくりと類型化されて小説のネタ化され、リズミカルに展開されている。安易な類型化だという向きもあるだろうけれど、正直な話、仕事場というのは(一応ではあっても)そこで必要な一定の能力を備えた人間が採用されるわけだし、能力だけでなくて採用側の「好みのタイプ」も反映されたりするので、外見や思考が似たような人物になる。そこをうまく突いた構成だと思う。しかもこの類型化は職場全体でなくて、個人Aが個人Bを見るときにも「キャラ」「担当」という形で起こる。そういう立ち位置を押し付けられるストレスが内にたまっていくさまを描く細やかさや乾いた毒は、津村記久子さんの作品に通じるものがあると思った。しかも、お仕事女子の読むコージーミステリって、そういう位置づけだったのか!

    『ウォータープルーフ嘘ばっかり!』も、噂にたがわずリズミカルでアグレッシブでイタくて可笑しい作品なのだけれど、個人的には、『マーガレットは植える』の、淡々と植えていく動作の不思議さがまがまがしさにじわじわぞわぞわ変わっていく様子と、その下に隠れた繊細さ(これはもちろん『スタッキング可能』にもある)が胸にきた。こういう、機械的、あるいは記号的に人物や動作を処理していきながら、要所要所でその下の生身がこぼれて見えたり、「ひょっとしてそういうことか…」と脳内で行間をとらえられた(と思った)ときのやるせなさというのは、『もうすぐ結婚する女』でも強烈に感じた。これらの作品はどれもミランダ・ジュライの小説になぞらえて評されることが多いらしいけど、私はどちらかというとリディア・デイヴィスに似ていると感じる。

    何もかもきちんと説明して収束してくれるミステリのように、親切な小説ではないけれど、芯のところはストロングな現代の女子小説だと思う。ちふれの今後ますますのご発展を、心からお祈り申し上げます~。

  • Twitter文学賞国内1位。作家は35歳の女性、美人である。一言でいうと「アラサー女性の生態をリアルに捉えた」となろう。OLが昼休みに男の品定めや合コン話をし、女同士の嫉妬があり、女をお飾りにしか思っていない同僚やわけのわからない上司がいる。ファッションブランドやSNSに関する固有名詞をふんだんに散りばめて「リアル感」を強調する。しかし今のアラサー女性でマイミクはないんじゃない?そういうのが詰めが甘い。
    皮肉が効いていて面白くはあるが、「レベルが低いOLの生態を、ジェンダーの観点から切り取ってみました」という「知的な作家」の上から目線が透けて見えて、やけに作為的に感じた。そして、そのトーンで1冊やり続けられると、鼻につく。2013年出版なのにもう新しさを感じないし、作品の寿命が短かそうだ。

  • まず『スタッキング可能』というタイトルが素晴らしい。会社員達をABCD…と名付け入れ替えたり合わせたりして読めるし、会社にカテゴライズされスタッキングされているようにも、様々に個性があり悩みながらも自制してスタッキングされている姿にも読める気がした。
    『ウォータープルーフ嘘ばっかり』シリーズはとにかく面白かった。文体も内容も大好き!
    『マーガレットは植える』実はマーガレットハウエルだったんですね…。本当にシャレが効いている。内容も仕事や日々の出来事に当てはめて読めてとても共感できた。
    『もうすぐ結婚する女』このお話も人物の名前を独特なやり方で表現していて効果的だった。仕事、結婚、気になる細々した出来事をセンスよくユーモアたっぷり仕上げてくれて一冊まるごと面白かった。

  • 「わたし」とはだれかという問題に今更ながら真摯に取り組んでいるの?どうなの?
    でもとにかく面白いのだ。
    全部が全部OL的視点。
    OL的視点ってちょっとしたエロさみたいのがあるからなんか読んでてドキドキする。
    できれば「マーガレットは植える」みたいな作品をもうちょっと読みたいけど。

  • 久しぶりにどストライクな面白さのつまった本に出会ってしまった。
    本屋で目につき、なんとなく手にとったが大当たり。
    皮肉を描くのがうますぎる。そしてこのリズム。ぐんぐん読んでしまう。ん? と疑問が生まれ数頁戻り、理解しまたリズム良く頁をめくる。
    久しぶりに読書というものを楽しんだ。面白い。皮肉り方とか最高。じわじわくる面白さがたまらない。
    Amazonレビューでこの本を面白くない、つまらない、意味分からないというレビューが多々あったけど、まどろっこしさはあるが、面白くないところがないくらい個人的にはどツボにはまった。
    わたしはこの本を面白いと思うひとと仲良くなれるし、そうでないひととはなにも分かち合えないんだろうな、とまで思った。
    このユーモアセンスにすっかり魅了されてしまった。読み切るのが惜しくて時間かけて読んだほど。
    スタッキング可能もウォータープルーフ嘘ばっかりもマーガレットは植えるももうすぐ結婚する女も全部面白かった。この著者の作品、もっと読みたいです。
    本谷有希子さん、西加奈子さんの毒が好きなひとは楽しめるかも。それよりもずっと読みづらい感じではあるが。

  • 松田青子さん、友人が勧めてくれたので。感覚が新しくて面白い書き手ですね。ただ、作品のできばえはばらつきがあるので面白いものとそうでかいものには差がある。装丁名久井直子さんかな。すてき。

  •  表題作がとても印象的。人生はまさにスタッキング可能であり、とある人の人生の積み重ねとまた違う人の人生の積み重ねが積み重なって日々は良くも悪くも続いていくのだなぁと感じた。また、三人称が全てアルファベットであることも印象的で、会社において個人は代替可能であることが風刺されていると捉えた。という意味では寓話的でありながらリアリティー溢れる作品。表題作以外もとっても面白くて、今後著者を追いかけたくなった。

  • うーん、A山だとかD山だとか、人物がアルファベットで出てくるので、どれが誰だかわかんなくなって、全く入り込めませんでした。
    眠い時に読んでたから余計です。

    仕方なく飛ばして(!)「ウォータープルーフ…」の章だけ読みました。
    これはすごくおもしろかった。

  • いやもう、相当に面白いね。表題も、意味深長なのか意味不明なのか判らないけれども(笑)。
    うっすらと思っていた、ああ思っていましたよ、気づいていましたよ、でも憚ってあえて言わずに来ましたよ、的な本音を、大声で暴露しちゃった、みたいな。

  • 何だこりゃ?!面白いぞ!
    これを文学と読んでいいのか謎だけど、、たいそう共感しまくる私がいる。私はD山さん。私は会長。。

全176件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

松田青子

一九七九年、兵庫県生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。著書に『スタッキング可能』『英子の森』『ワイルドフラワーの見えない一年』(以上、河出書房新社)、『おばちゃんたちのいるところ』(中央公論新社)、翻訳書に『狼少女たちの聖ルーシー寮』『レモン畑の吸血鬼』(以上、カレン・ラッセル/河出書房新社)、『AM/PM』(アメリア・グレイ/河出書房新社)『問題だらけの女性たち』(ジャッキー・フレミング/河出書房新社)、エッセイ集に『読めよ、さらば憂いなし』『東京 しるしのある風景』(河出書房新社)、『ロマンティックあげない』『じゃじゃ馬にさせといて』(新潮社)などがある。

「2019年 『おばちゃんたちのいるところ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

スタッキング可能のその他の作品

松田青子の作品

スタッキング可能を本棚に登録しているひと

ツイートする