想像ラジオ

  • 河出書房新社
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レビュー : 522
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021720

感想・レビュー・書評

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  • 読み始める直前に『東日本大震災』お話しだと。
    アタシは泣きました。沁みましたぁ。

    3.11の切り取り方。
    こぉいうのアリ!な、感じよかったぁ。
    赤いヤッケのDJアーク‼︎
    かけてくれる曲、も少しアタシが理解できていたらなぁ。
    と、ここが残念。♪三月の水♪リデンプション・ソング聴いてみたい。
    〜魂魄この世にとどまりて〜
    アタシも想像する。
    耳を塞がないで傾ける。
    耳を澄ます。
    声を聴くために。

    〜死者と生者が抱きしめあっていくんだ。〜

    そして明るくしみじみ『想〜像〜ラジオ』

  • いろいろと思うことあってもまとめにくく、雑感だけをパラパラと書き留めていた。再読したけどやっぱりまとまらないので、諦めてそのまま記することにする。


    読み終わって思ったのは、ああ、やっぱり坂口安吾ってすごい、と。
    何がかって、1946年に書かかれたた「戦争と一人の女」。
    空襲の記憶がまだ新しく、東京の公園には、空襲で亡くなった人の遺体が一時的に埋葬されたままになっていた1946年に、「夜の空襲は美しい」と書いてしまうということ。

    311の後、津波にさらわれた風景に、どうしようもない気持ちを感じながら、どこかで「美しさ」を感じ、
    それに対して後ろめたさを感じていた。
    外国人が描いた「支援」のためのイラスト集の中には、その美しさというより「カッコよさ」を臆面もなくだしているものもあり、なんか居心地の悪さを感じたものだった。

    さて、この小説の主人公である高い木の上にひっかかった遺体、というのは、震災直後に、ネットの噂として流れてきたことがあった。
    高い木の上にひっかかったままの遺体というのに、どこか滑稽さを感じてしまい、後ろめたさを感じた。
    それを元にしたのがいとうせいこうかも。

    となると、どうも第2章が説明的すぎて違和感がある。
    坂口安吾がのように、もっと、思い切って残酷さとユーモア、をかけばよかったのに。



    阪神大震災のとき、燃える神戸の町上空からの中継、あきらなかに「世紀の瞬間に立ち会った」興奮を隠せなく、いアナウンサーの言葉が、すごくイヤだった。
    311のとき、滑り落ちて斜めになったテレビ(東京ながら、建物の構造上、うちは大揺れ、部屋がぐちゃぐちゃになった)にうつる田んぼをゆっくりと飲み込む津波の映像には、ただ息を飲むだけだった。

    そんなとき、ツイッターで、いとうせいこうは積極的に発言をしていた。
    言葉を失うような事態になったときに、言葉を発することのできることに、ただただ感服し、1989年の名盤「MESS/AGE」でのするどいラップを思い出した。

    この人は、「言葉の力」を本当に信じている人なんだなぁ。



    「想像ラジオ」と同じ時期に読んでいた「終りの街の終わり」の冒頭に、アフリカのある社会では人間を3種類に分けるとあった。生きている人間、生きている人間の記憶の中に生きている死者=サーシャ、そして記憶する人間が死んだあとの完全な死者=ザマニ、の3種類。
    「終りの街の終わり」は、生者の記憶にある死者が住む街の話であるが、死者のために生者がいる、死者と生者が共に依存しあっている、というのは「想像ラジオ」と通じるところがある。

     …死者と生者が抱きしめあっていくんだ。

    自らの意思で去ろうとするDJアークのラストって、「ノーライフキング」っぽい?
    あゝ読み直さきゃいけない本が増える。
    「生き残ったことの後ろめたさ」って坂口安吾、山田風太郎らの戦後文学に共通する感覚。この「想像ラジオ」を読んだ後で、もう一度、戦後文学を読み直してみようかと思う。
    あゝ読み直さきゃいけない本が増える。

  • この本は、一気読みは出来なかった。
    ゆっくり想像しながら、ちょっとずつ納得しながら、そんな読み方がいい。

  • 東日本大震災の日に、津波にさらわれて高い木の上に引っかかってしまった芥川。
    生と死の狭間でDJアークとしてメッセージを発し続け、その音を受信できる人たちとの交流から、去っていくもの、遺されたもの、探し続けるものの気持ちが交錯する。

    放射能汚染地域の大木の上に引っかかり、いつ発見されるかわからないDJアークは、父が迎えに来ても心残りがあって旅立つ事ができない。
    やがて彼の耳に聞こえたのは、、、。

    ごく普通の日常生活を送っていた多くの人たちが、突然人生を断ち切られ、愛する人を失った。そのやりきれなさ、切なさにあふれた小説。

  • 友達が気になるって言ってた本、読んでみた。
    想像ラジオ。
    想像、ラジオなんです。

    今この世で生きてる人にとって、こうであって欲しい、もしかしたらこうなんじゃないかという想像。

    震災で突然命を失った方にとって、こうであって欲しい、もしかしたらこうなんじゃないかという想像。

    今の命と失った命のあり方、希望や想いがラジオを通じて語られる。

    ラジオって不思議な文明だよね。
    声だけ、言葉と、気持ちがなにかを通じて全国と繋がるんだから。


    私にはなんか入り込めないものがあって、語るのも忍びない。

  • 「そーぞーらーじおー!」って賭け声が聞こえる気がしましたwwあの世(って言うのかな?)とこの世界の間でパーソナリティーを務めるDJアーク・・・というふうに解釈しました。淡々と、ラジオ番組そのもののような語り口ですすめられる物語の中に、心がぎゅうっとなる場面に何度も会い、泣きました!

  • 言葉の流れが気持ち良く、するする身体に染み込む感じがした。まさかあの震災をテーマにしていると思わず、読みながら心の柔らかい部分を嫌がらせのようにつつかれた。でもそれは、決して痛いだけでなく。

  • 今だからこそ読まなくてはならない1冊だと思った。
    思いをどうやって沈め、認め、送るか。
    深く、重く、じっと考えて考えて読み終わった。

    それぞれリクエストされている曲が、また想いを強くさせてくれる。
    じっくり、耳を澄ませて、想いをこめて聴いてみたくなった。

    できれば、日本人皆が読めたら、もしくは聴けたら(DJアークの番組として)と思う。

    とても大切にしたい小説。

  • 確かに、あの震災があってからしばらく、想像することを忘れていたかもしれない。テレビに映る光景がありのままだと思ったから、想像の余地はないし、想像は不謹慎ですらあったような気がする。でも、想像こそ必要だったのかと本を読んでやっと考えた。想像から何かを誰かを救えたのかもしれない。かもしれない。大事なので二回言いました。

  • 震災の作品としては異色作か。生きている人に視点を置く作品が多い中、亡くなった人に視点を置く作品は読んだことがなかった。表現は軽いかもしれないが、だからこそスッと心に入ってきた気がする。この小説は「泣ける本」ではなく「考える本」だと思う。想像することは無限だ。耳をすまそう、声が聞こえるかもしれない。

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著者プロフィール

いとう せいこう
1961年、東京都生まれ。編集者を経て、作家、クリエーターとして、活字・映像・音楽・舞台など、多方面で活躍。『ノーライフキング』でデビュー。『ボタニカル・ライフ ―植物生活―』で第15回講談社エッセイ賞受賞。『想像ラジオ』が三島賞、芥川賞候補となり、第35回野間文芸新人賞を受賞。他の著書に『ノーライフキング』『鼻に挟み撃ち』『我々の恋愛』『どんぶらこ』『「国境なき医師団」を見に行く』『小説禁止令に賛同する』など。

想像ラジオのその他の作品

想像ラジオ (河出文庫) Kindle版 想像ラジオ (河出文庫) いとうせいこう
想像ラジオ (河出文庫) 文庫 想像ラジオ (河出文庫) いとうせいこう

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