昨夜のカレー、明日のパン

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 6108
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021768

感想・レビュー・書評

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  • 「人は変わってゆくんだよ。それは、とても過酷なことだと思う。でもね、でも同時に、そのことだけが人を救ってくれるのよ」

    悲しみや苦しみをどうやっつけるか。

    ほんのちょっぴり個性的な人たちの、心の奥底にある寂しさや切なさがやさしく書かれています。
    些細なことが幸せで、平坦な日々が心地よい。でも、生きていればいろいろある。

    悲しみや苦しみ、無理やりやっつけなくても良いのかな。

  • ムムム
     義父(ギフ)とテツコのほどよい関係性。
    パワースポット
     亡くなったカズちゃんのキーホルダーは空を飛んでるよ!
    山ガール
     ギフが山ガールと山登りする。
    虎尾
     一樹の乗っていた車をもらい受けた虎尾。
    魔法のカード
     テツコの今彼、岩井さんが詐欺にあったような…。
    夕子
     親しい人が亡くなるときに涙の出る夕子。
    男子会
     ギフとテツコと岩井。
    一樹
     わんこの名前は「パン」。

    夫婦脚本家である、木皿泉。
    (野ブタとかセクシーボイスアンドロボとかだって!!)
    その初めての小説がこの作品。
    読みやすいの一言かなー。
    あと、ほっこりした!!
    感想があっさりなのは、ずいぶん前に読んだからー笑

  • 失った者の記憶を抱え生きる人々の、日常生活を描いた連作短編です。

    若くして夫を亡くしたテツコと、夫の父で妻に先立たれたギフ。
    ひとつ屋根の下に暮らす2人の日常は、微妙なバランスの上に成り立っているようです。
    どこかで「このままではいけない」と思いつつも、今の暮らしを壊すこともできない。
    それでも日常はまわり、ゆるゆると変わっていくものがある…
    私たちの日常は小さな変化の連続であることを意識させられる物語でした。

    木皿泉というのが、脚本家夫婦のペンネームであることは初めて知りました。
    夫婦で、嫁と義父の物語を作る…というのは、どんな感じだったのでしょう。
    創作現場を覗いてみたい気持ちになりました。

  • ブクログの評価が高かったので、読んでみた1冊。
    若くして、夫の一樹を亡くしたテツコがギフと共同生活を送る物語。テツコやギフはもちろん、とりまく人々もそれぞれ癖はあるものの、愛すべき人物達で、1編1編、ほっこりする物語。
    ベースは亡くなった一樹を大事に思う想いだと思う。大切な人を失った後、それぞれが生きる意味を探しながら、進むべき道を見つける。大切な人を失うのは、辛い。でも、生きてるうちは前に進まなくてはならない。そんなことを教えてくれる作品。
    テレビドラマ化もしているらしいし、元は有名な脚本家さんが書いた小説らしいけど、これはこれで小説として、楽しめる作品だと思う。

  • それぞれの家族の視点で描かれた本。その視点は、どこか寂しくて、隠しておきたいようなそんな所を描いている。人間には、良くも悪くも色々な過去があるなと改めて感じた。
    だけどそれを変えることはできない。
    どこかでふっと、家族のことを思えればいいかな。

  • 図書館で予約してから一年あまり、ようやく読めました。
    夫を亡くした妻・徹子と、息子を亡くした義父との共同生活が短編形式で綴られています。
    もっと悲壮感漂うストーリーかと思っていたのですが、そこにあったのは予想外にも二人の淡々とした静かな日常でした。同居している義父の呼び方がが、"ギフ"という記号になっているのも、その暮らしぶりをよく窺わせています。
    テツコの「もうここにいないってことで、もう、そういうことで、いいよね?」という絞り出すような一言には胸が締め付けられました。
    けれど、二人と関わり合っていく人物が皆なんと人間味に溢れていること。そんな人たちに支えられながら、きっとまた少しずつ前に進んでいけるのではないでしょうか。

    収録されている中では特に「夕子」が良かったです。
    情景描写が秀逸で感動しました。
    金色に輝く庭にどっしりと根をはる銀杏の木には、これまで自分が生きてきた軌跡を肯定してくれるような心強ささえ感じます。

    死を眼前に突き付けられたとき、私は何を思うのかな。
    そんなことを改めて考えさせてくれる、少しシュールでほっこりとやさしいお話でした。

  • 亡夫の父と暮らす主人公。こんな形の家族もあるのか。

  • 久々の木皿泉さん(達と言った方がいいのか)の本

    テツコさんとギフ、奇妙な同居関係と、それぞれの人間関係がどうつながるのか面白い。
    テツコさんの筋の通ったスタンスがとても心強くて、なんかよかった。

    様々な登場人物を、それぞれの視点で短編で描き、なんとなく繋がっていく感じが心地よい。

    最初にこの本から入るのはお勧めしない。
    まずは「さざなみのよる」で木皿作品を好きになってからが良い。でないと、なんだこりゃになりそう。

    好きになってから読む分には、作者への信頼からか、ほんわかと温かい感じで読み進められる。うん、人の温かみが感じられる物語で、読んでよかった。

    どのセリフだったか「くたくたに生きてから死のう」だったかな。このセリフが妙に好きだった。

  • 良かった。
    けど、出会う本ってタイミングが結構重要で、
    この本に出会うにはまだ早かった。

    何年後に読み直したら全然違う読後感だと思う。

  • 物語性があって出てくる人良い人で雰囲気よい1冊。

著者プロフィール

夫婦脚本家。ドラマ「すいか」で向田邦子賞、「Q10」「しあわせのカタチ~脚本家・木皿泉 創作の“世界”」で2年連続ギャラクシー賞優秀賞。他に「野ブタ。をプロデュース」等。著書『二度寝で番茶』など。

「2020年 『さざなみのよる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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