灯をともす言葉

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 186
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021959

作品紹介・あらすじ

美、世の中、戦争、おしゃれ、政治…「暮しの手帖」初代名物編集長の、人生を照らす言葉集。

感想・レビュー・書評

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  • 花森安治は1978年に亡くなっている。つまり、ここに記された言葉たちはそれ以前の言葉である。でも、読めばわかる。日本は、私たちは、あのころからどう変わったのか?変わっていないのか?「美」「暮らし」「世の中」「戦争」…今だからこそ、読みたい。読み継がれてほしい言葉たちが、ここにある。
    (moco)

  • 世の中について、花森氏の憤りが感じる文章

  • 『暮しの手帖』初代編集長、花森安治の名言を集めた本。花森が戦後すぐの時から、いかに「暮し」を大事にしてきたかがわかる。そして、戦争に対する激しいまでの反省と批判。「戦争をしないために暮しを大事にする」と言った花森の姿勢が、文中からひしひしと伝わってくる。

    レイアウトも写真も個人的に申し分なし。
    ただ、花森は喋ることの全てが名言なような存在だから、もっとボリュームがあってもよかったかも。
    でも、ポータブルサイズという意味ではGOOD。

  •  朝ドラ「とと姉ちゃん」のモデルとなった大橋鎮子さんとともに、暮らしの手帖の編集に関わった、花森安治さんが、書き残した言葉を集めたもの。
     日々の暮らしに関する言葉、美に関する言葉、装いに関する言葉、そして戦争についての言葉。
     短い言葉ですが、どれもが、花森安治さんの信念を感じます。
     特に戦争については、体験した人だからこそ、その言葉一つ一つが重いです。

  • 「やがてこころの底ふかく沈んで
    いつかあなたの暮らし方を変えてしまう」

    という名文をうたった「暮らしの手帖」初代編集長の
    ことばたち。

    今、NHKも朝ドラでやってますね。
    わたし、松浦弥太郎さんファンだと思われがちなのですが
    (いえ、好きですが)、これもそういった流れで
    当店イベント「本のチカラをなめんなよ」でお貸しいただいた一冊。

    すごくよかった。
    旧帝大を出たインテリの、国民大多数の声なき声を
    澄んだ表現で記されてます。

    松浦弥太郎さんのそれとは、またちょっとちがう。
    わたしのこころの底ふかく、ブレないような
    戒めとして「碇(いかり)」になってくれることでしょう。

    ーーーーーーーーーーー

    ・せめてこどもの持っている、美しいものを素直に
    美しいと思える、あの感覚をこわさないだけの、
    それを逆にぶっつぶしてしまわないだけの
    神経は持っていたいと思う。

    ・美しいものは、いつの世でも
    お金やヒマとは関係がない。
    みがかれた感覚と、
    まいにちの暮しへの、
    しっかりとした眼と、
    そして絶えず努力する手だけが、
    一番うつくしいものを、
    いつも作りあげる。

    ・ぼくらしがない虫けらだ
    欲しがるものだって知れている
    (中略)
    そんなしれたことでさえぼくら
    三度に二度はがまんして
    そしてペコペコおじぎまでして
    税金を払っているのだ
    その税金でぼくら
    戦車やミサイルやジェット機を買ってもらいたくない
    その税金でぼくら
    兵隊やおまわりをふやしてもらいたくない
    ぜったいことわる


    ・信じない人間が、どうして勝つことができるか。

    ・この服は高いのよ、と子どもに教えるかわりに、
    この色は美しいでしょう。この生地は丈夫なのよと教える。
    それがやがてコドモの心に、真実の美しさを見分ける力を育てるのである。

    ・気にするのなら、シワでなくて、目。


    ・これからの不景気を切りぬけたかったら、ほんとに親切な品を作ることだけを考えよう。

  • ぼくたちの努力はほんの大海の一滴みたいなものかもしれぬが、くたびれず、あきずにやっていくうちには、お互いに成長して一人ずつが自分でものを考えていくようになる。

    戦争は恐ろしい。なんでもない人たちを巻き込んで、末は死まで追い込んでしまう。戦争を反対しなくてはいけない。気にはそのことがわかるか。

  • ごく当たり前のことだがポイントの確信をついている部分が多い。
    普段から文章に接しており何気ない中にキラリと光るものがある。

  • 花森さんは、1948年に創刊された雑誌『暮らしの手帖』の初代編集長です。
    この本は雑誌『暮らしの手帖』の編集長時代に残した言葉を集めたものです。
    花森安治さんは「生活の中の美しさ」にこだわった衣食住の記事を幅広く書いています。
    私たちが敗戦から立ち上がっていくときに、時には気持ちが笑顔になったり、華やかになったり、そして憧れるそんな言葉がつまっています。
    最後に気に入っている文章を紹介します。
    「この服は高いのよ、と子どもに教えるかわりに、
    この色は美しいでしょう。この生地は丈夫なのよと教える。
    それがやがてコドモの心に、真実の美しさを見分ける力を育てるのである。」

    衣食住は私たちの生活そのものです。厳しいことばの中に花森さんの深い愛情を感じることのできるいい本です。

  • 古さを感じさせない「粋」な感じが好きです。

    河出書房新社のPR
    「「美」について、「世の中」について、「暮し」について、「戦争」について――昭和の異才が、物事の本質をつらぬく。時代を超えて、今こそ読み継がれるべき言葉たち。」

  • むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、と言ったのは井上やすしさんだったと思うのだが、この言葉たちはまさにそれだなあっと。
    暮らしの手帖は子どもの頃家にあって、藤城清治さんの絵付きのお話の部分がすっごく好きだったなあ。
    本当に美しいとは?
    この国のこと、戦争のこと、メディアのあり方について。
    数行の詩のような言葉が心に届く。
    灯を、自分の周りだけでもぽっと明るくする灯をともす言葉
    こーゆー言葉が今私たちには必要だ。
    装うことについてのことばにはちょっと耳が痛かったり。
    だって高いもんだとそこにはある程度の価値があるって信じたいじゃん!泣泣

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著者プロフィール

1911年兵庫県生れ。昭和を代表する編集者、グラフィックデザイナー、ジャーナリストであり、最盛期は100万部を誇った生活雑誌「暮しの手帖」の創刊者。生涯にわたり編集長を務めた。1978年没。

「2022年 『灯をともす言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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