砂漠ダンス

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 96
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (132ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309022093

感想・レビュー・書評

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  • 最近思うけど、劇団を主宰していて作・演出・出演している作家さん達は、描く世界も独特で視点も変わっていて器用な人が多いなぁ…と思う。本当は『緑のさる』が読みたかったけど、なくって…『砂漠ダンス』を借りた。149回芥川賞候補作。


    こういうめくるめく視点がころころ変わる作品が流行っているのかな。『道化師の蝶』や『流跡』とか思い出した。共通する部分は文章や表現が滞りなく流れて「美しい」ってところかもしれない。

    雪の降る町と砂漠。わたしとわたし。男とタカハシ、ノグチ。自分と自分の対話のような…。次元が違う自分を、また自分が見ているような。死がそっと隣にあるのでひんやりとする。砂漠も雪も日常と遮断されやすいので死が近い。

    うまく言い表せないけど…文字でいうならアルファベットの小文字のe。eの書き終わった部分に矢印がくっ付いているような感じ。。。(何じゃそりゃ。)

    二度読みして「あっ!」と思ったり。「おおー」と思ったり。ライターの部分やノグチが出てきた時はぞくっとした。色々散りばめられていて回収もきれい。


    『果樹園』の方は…目が回る~。くらくらした。というか…これは一歩間違えると病的のような…。(失礼だね、私…。)統合失調症の友人が体験した宇宙に溶けるような感覚…という話を思い出した。川の流れみたいな感じでした。



    =後日追記= きれいな部分

    ●動くものはかすかな雲と湖の水だけで他に動くものの気配すらなかった。
    ●どこにも直線がなかった。直線に見えたものもその先を追えばゆるやかな曲線だった。空がピンクになり赤になり紫になり、わたしもその色になった。30ページ

    ●夜空に星、というよりは、星に夜空、だった。薄い白い帯は天の川で、それは小さな星の集まりで、それは銀河で、それらのはるか下を、わたしのはるか上を真っ直ぐ過っていくのは人工衛星だ。31ページ

    ●空はさっきと変わらない。うるさいぐらいの星だ。誰かが歌っている。音の出どころはとても近い。わたしだった。わたしが歌っていた。33ページ

    ●わたしがうすく目をあけた。一面の星が見えた。流れ星がひとつ流れた。わたしは再び目を閉じた。70ページ

  • 精霊を感じた。あるいは生命という大きな本流。
    いちおう「わたし」という人称で書かれてはいるけれど、どんどんといろんな他者の中へ入り込み、ひいては動物にさえなる。
    肉体の重みを超越して、自在にあらゆるものへと生成できる人間以上神以下のような存在、つまり天使みたいなものがいるとすれば本作みたいなものだろうか。

  • 小説といえばこれだよ! 
    映画化できない、コトバの編み物なんだよ!

    とはいえ、何が面白いのかわからないという気持ちもわからないでもない。

  • わたしは口説く 走る
    コヨーテになる
    雪の降る街で、
    静寂の砂漠で(帯より)

    装幀 鈴木成一デザイン室
    装画 新山祐介

    表題作ほか、果樹園фруктовЫй сад 収録
    淡々とした、いちいち細かい行動描写がリアリティーを与える一方で、幽体離脱したわけでもないのに自分が他者の中に潜む自分と対面するという特異なストーリーに引き込まれた。
    主人公は待っていたのかもしれない、静けさを湛えた砂漠を、人生の転換スイッチを。
    ちょっと、安部公房の赤い繭っぽい。

    果樹園は、ある一瞬からはじまる、宇宙的時間軸で展開していく不揃いな人物たちによる群像劇というか、お芝居の一幕みたいな感じ。
    関係ないが、2013年ロシアに隕石が落下したことを思い出した。

  • タイトル通り、まるでダンスをしているように視点・時間軸がめまぐるしく切り替わる物語。
    読んでいるうちに軽い目眩をおぼえるような文体。詩的な印象もあり世界観にぐいぐいと引き込まれる。
    散りばめられた言葉たちは自由に踊りながらも、ひとつの作品・一曲のダンスのように不思議とまとまりをもってページの中に存在する。
    現実世界から少しだけトリップしたいときに、ひらいてみたくなる一冊。

  • 存在が裂ける音を聞いたか。

    時間から弾き飛ばされてしまったわたしは、静寂の底に落とされる。

    何者もいない。

    見渡す限り白銀だ。夜の砂漠は凍えるほど暑い雪原だ。冴え冴えと照らす月の下、意識は気ままに遊びだす。さざめく星を伴奏に、鼓動でリズムをとりながら、円を描いておどるおどる。消えかかる足跡をわたしは幾度も踏みつける。わたしを砂の上に刻むのだ。後ろに付いてくるのは、紛れもなくわたしの過去とこれからだ。振り返れば刹那は蒸発。わたしはわたしに収束する。
    儚い生を循環するダンス。
    手のひらに熱を握りしめ、力強く跳べ。

  • 終盤加速度的に面白くなってきた。途中読むのやめようかと思ったけど、徐々に引き込まれ…。ま、引き込まれない人もいるだろな。

  • 山下澄人著『砂漠ダンス』読了。

  • 初の山下澄人さん。

    評価は高いけど評価は高いけど、読み進められなかったー。

    理系の人なら面白く読めそうと勝手に妄想。

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著者プロフィール

1966年生まれ。神戸市出身。富良野塾二期生。劇団FICTIONを主宰。作・演出・出演を兼ねる。著作に『緑のさる』、『ギッちょん』がある。

「2017年 『砂漠ダンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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