- Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309022567
感想・レビュー・書評
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痛い小説だ。いやいや作品が痛いんじゃなくて痛いのは私。
うーん、刺さるなぁ。痛すぎますよ・・・。
自分のことを言われているようで逃げたくなった。
多分ね、日本中に英子のドッペルゲンガーがうようよしている。
私もその中の一人。
英語ができない人から見たら英語ができる人と英語の出来ない人の二種類しかいないのだろう。でもね、英語ができる人(と認めたうえで)の中でも歴然としたヒエラルキーが存在するのよね。
ああやっぱりね、作者は英文科卒か。だから分かるのよね。そうよねー。
英子はやっと翻訳の仕事についたところ。
これからも先が長いのよ、なーんておせっかいか。
「翻訳の仕事やってます!」って胸を張って言える日が来ると良いよね。
私は・・・、無理だな(笑)
肝心なレビュー!!
表題作は割と長いけれど、6つの短編をまとめた本作。
実験的と言うか空想的と言うか不思議な作品が多かった。
これは小説じゃなくて散文でしょと思われる作品もあったり。
でも作者の独特の感性が光ってる。ちょっと他では読めない感覚が心地いい。
全作品を通して楽しめました。
小説家として今後どうなるかは未知数だとは思うけど、これは大化けするんじゃないかな。非常に楽しみです。 -
取っ付きやすいカテゴリの作品ではないはずなのに、全篇ともするりと楽しく読めてしまった。
もちろんこれは、褒め言葉です。そして個人の感想です。自信と責任を持って発信したい個人の意見です。
「森」が意識のメタファーだなんてことは疾うの昔から知れてることですが、
こんなにシュールでガーリーで、ちょっとばかり毒のあるいい森を作ることは、
言葉について、言語について考え続けてきた人にしかできない高等な言葉遊びでしょう。
もし今度、ちょっと気になる誰かが現れたとしたら、
「今度、うちの森に遊びに来ませんか」と誘ってみたい。
その誘いに応じてくれる人とは仲良くなれそうだ。 -
今回も松田節は健在!(笑)
紅茶と美味しいパイを食べながら読めたら幸せだろうな。 -
抽象的な表現の中に、母からの自立、恋人をあてにしないで一人でまずは生きること、などが描かれている。
学校図書館にあったのだが、中学生にはちょっと難しい気がする…。2016-
貴方と好み、読みたい本、読んだことのある本が、同じです。是非私のページも見てください。
...貴方と好み、読みたい本、読んだことのある本が、同じです。是非私のページも見てください。
凛々蝶2018/06/23
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節々におもしろさが滲み出てる。笑う。けど、笑えない。
読むのがしんどいです、松田青子さん。
おだやかな気持ちではいさせてくれなくて、読み終わるといつもくたくたです。 -
好き!!寓話的でありながら、リアルな現代を皮肉る視点が冴え渡っていてとっても面白かった。グローバル化を謳う社会、丁寧すぎる注意書、建前だらけのコミュニケーションなどなどに溢れた世界にどっぷり浸って生きている私の鈍感さと空虚を見透かした著者によって、時に面白おかしく、時に温かくそれらを胸に突き付けられた気分。本当に面白かった。
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はて。どうしたものかと戸惑う不思議な感覚。
エンヤをはじめて聞いたときのような、少し現実味に欠ける浮遊感。
もう一作品は読んでみないと。 -
爽快。
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夜中に風呂入ってるときな思い付きみたいなワードの集まりを見事な織物に編み上げる松田青子さんの二つ目小説。
ところでこのかたなんとお呼びすれば良いんでしょうか。やっぱりせいこさんですか。
英語を使ったお仕事を求めて派遣先をいったり来たりしている娘と、森に住む母のことを書いた表題作および他三作です。『※写真はイメージです。』なんかは、批評的な表現を飛び越えてもはや幽玄です。すべてはイメージって気分になること請け合い。
『英子の森』において登場する森。
登場人物でいうと母とか独り暮らしの人が必ず持っていて、蝶が舞い、小花が咲き乱れ、バラが咲き、女神の銅像が踊る森。その部分が、今までの松田青子さんの小説と比べてがっつり異様な印象を受けました。
森については、それを持つもののコクーンであり、プライドであり、シェルターであるといった、メタファーを読み解くような解説も出来そうな程唐突なファンタジー部分ではありますが、村上春樹と雑誌オリーブ、ananとかを読む我々にとっては、もうそういうのは現実と混じっちゃっていいや、って扱いで受け止められる部分でもあり、あー森、あるね、そういうの、森。メルヘン母とか特に顕著。って具合に妙に納得しました。
でもそれが出てくることによって、何だかこの人の小説が一段階深くなったような気がして、深いぜ、生きるって。なんて感想をもちました。
母の森が崩れるときさー、あんなにメルヘンなのに、その後場面がいきなり晴海の派遣先とかになるんすよ。その気の代わりよう。 -
読んだ2014年当時、正に主人公の娘と同じように英語の仕事に固執して、キャリアに悩んでいた。だから「それじゃお守りじゃなくて呪いよ」というフレーズが刺さった。
2022年に再読。今は拘りなく英語に関係ない仕事をしている。
改めて読んでみると、英語が出来ることがアドバンテージのはずなのに、そのせいで派遣の仕事を転々としていることの皮肉が伝わってくる。
また、今更ながら英語への皮肉とは別で親の子供に対する執着についても皮肉られていることに気付いた。
主人公の母は夫や義母のような道を歩んでほしくない一心で娘に英語教育を受けさせているけど、それは「あの人たちのようになってほしくない」が動機であって、娘にどうなってほしいかではない。
もっと言えば娘がどうありたいかという尊重の姿勢に欠ける。
別に英語に限らず、「せっかく就いた仕事だから」「ああはなりたくないから」みたいな理由の動機はお守りじゃなくて呪いに変わり、自分の「森」が腐っていくから気をつけてね、というメッセージを感じる。
難点は主語が「英子」「娘」「わたし」と混ざってり、誰の目線で語られた文章か分かりづらい。(使い分けられているのかもしれないけど、意図は分からなかった)
これ以外に収録されている短編はいまいち印象に残らなかったので星3つ。
英語ができる人の中の歴然としたヒエラルキー、少しわかるような気がします。
実は私も英文科卒。まぁでも...
英語ができる人の中の歴然としたヒエラルキー、少しわかるような気がします。
実は私も英文科卒。まぁでも、途中色々挫折して(苦笑)、英文科卒って言っていいのか~な状況ではあるけども。
松田さんの作品、ずっと気になっていました。
ついていけるか心配でなかなか手に取る勇気がなかったけれど、
機会があったら是非読んでみたいと思います。
おお、お仲間さんがここにも!!
「どうやって英語勉強したんですか?」
とたびたび聞かれます。
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おお、お仲間さんがここにも!!
「どうやって英語勉強したんですか?」
とたびたび聞かれます。
その場合、
「(小さな声で)、一応英文科卒なので・・・。」
と答える私です(笑)
控え目に言うつもりなんですけど、ああなるほどね~などと受け止められると英文科卒のブランド力におののいたりします(^_^;)
さらっと流していただけるとありがたいんですけどね。
松田さんの作品は独特ですね。
とはいえ難解なわけでもないので、大丈夫ですよ~。
是非お読みになってください(*^_^*)
メイプルマフィンさんのレビュー、楽しみにしていますね☆