呪文

著者 :
  • 河出書房新社
2.66
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本棚登録 : 478
感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309023977

感想・レビュー・書評

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  • 新規参入店舗がなかなか続かない老舗商店街に店を出してしまった霧生を中心に、悪質なクレーマー、正義を装った抑圧者、扇動される人々が暴走していく様を描いた作品。
    現代日本の一面をよく切り取っていると思う。
    ただ、展開が唐突すぎて…。
    1.5倍くらい書き込まれたものを読みたいな。

  • こんな展開になるのかとびっくり。
    どなたかがレビューで「日常の中の洗脳」と表現されていたがまさにと思った。
    商店街再生ストーリーかと思いきや。
    集団心理の恐ろしさ。
    まさに洗脳。
    ここまで転がり落ちるようにいくものかと思うけれど、
    実際はもしかしたらそんなものなのかもしれない。
    人間関係のごたごたもある意味洗脳かもしれない。
    正しく疑うことの難しさをつくづく感じる。
    その後の商店街の行く末が気になる。

    2015年 河出書房

  • テーマは興味深い。今の時代性を感じられる気がする。
    話の流れに無理がある。人物描写が乱暴。

  • 面白かったし、いろいろ考えさせられたりしたけれど、全体的な流れ、ラストに向かっていく流れ、小説としてのまとまりがちょっとどうなんだろうと思ってしまった。

  • 古い店は廃業し新しい店は長続きせずで、空き店舗が増えつつある『松保商店街』。この空き店舗を借りトルタ屋を始めた『霧生』だったが、売り上げが伸びず、あと二ヶ月ほどで運転資金が底をついてしまうところまで追い詰められていた。

    活性化を目指す商店街をめぐる人達のオムニバス。地域おこしの再生ものかと読み進めていたら、どんどん不穏な方向へ・・・。下剋上よろしく若手の男が組合を牛耳り、街全体を飲み込んでいく。彼を信奉する者達も集まってきて、あげくハラキリだというのだから理解不能。
    終始ぞわぞわと嫌な気配が付きまとう話だった。

  • ブラック企業のやり口と一緒

  • 「俺俺」もそうだったが、中盤から後半に掛けてが急ぎ過ぎという気がする。
    後半、図領が殆ど出てこないのもおかしい。
    何となく浦沢直樹の漫画のように、最初は面白いのに段々混乱して収集が付かなくなるようなきらいがあるような…

    また、これも俺俺と同様、救いの展開があっても良い。
    なので、読み進めているときは湯北の存在にはかなり期待したのだが…

    とは言うものの、その夜の夢に出てくるくらいに気分が悪くなるので、読み物としては決して悪くない。

  • 寂れていく一方の商店街。
    しかし、ひとりのリーダーを中心に変わり始める。
    活気のある商店街へ。
    縁側のようにのんびりくつろげる場所へ。

    後継者のいない老舗の店に若い後継者を。
    若者に人気のある店を。
    クレーマーに屈することのない断乎とした姿勢を。

    目指したものは明るい未来のはずだった。
    けれど読み進むほどに息苦しさが増す。
    目的のために選ばない手段が、どんどん過激になっていく。
    これはすべて計算のうちなのか。それとも暴走なのか。

    読者が感情移入するために作られたであろう霧生という人物。
    店の経営は上手くいかないものの、商店街改革の熱狂から少し離れて冷静を保っていたはずだった。
    が、彼が取り込まれてしまってから、狂気に加速度がつく。
    最終的にはすっかりおいていかれてしまった私。

    目的に対して視野狭窄だったり、洗脳の恐ろしさだったり、生きがいの持てない人生だったり。
    言わんとすることはわかるけど、共感はできなかったし、できないうえでの納得というのもなかった。
    ただただ、集団的暴力の恐ろしさが迫ってくるのだった。

  • 切腹!

  • おしゃれで人が集まる地域の隣、格安出店できる商店街だが、売上があがらず次々と店がつぶれていく。モンスターブロガーに対する正論に支持を集める。サポートグループは、地域から失格者を追い出し、自らクズを自覚して自決を使命とするようになる。

    がんばる商店街、地域のために活動する人たち、という明るい話が、あれあれ?なんでそんなことに?という展開。なんかよく理解できないってところが、呪文なのかな。

著者プロフィール

1965年、 アメリカ・ロサンゼルス市生まれ。88年、 早稲田大学卒業。2年半の新聞社勤務後、 メキシコに留学。97年 「最後の吐息」 で文藝賞を受賞しデビュー。2000年 「目覚めよと人魚は歌う」 で三島由紀夫賞、 03年 『ファンタジスタ』 で野間文芸新人賞、11年 『俺俺』 で大江健三郎賞、15年 『夜は終わらない』 で読売文学賞を受賞。『呪文』 『未来の記憶は蘭のなかで作られる』 など著書多数。

「2018年 『ナラ・レポート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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