- Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309024226
感想・レビュー・書評
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レビューは下巻にて
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本家を読んでないので、たぶん楽しさも半減してるのかもしれませんが、
それでもぐいぐい読めました。
登場人物ごとに、視点がかわって進んでいく構成も、飽きずに読めたし、続きが気になって、どうなるのかしらと。
はじめの方は「Kの手記」とかよくわからないけど、だんだんとつながっていくところから、ぐっと入り込みました。 -
ドストエフスキーを齧った者なら、
書店で並ぶ本書を見て、ある種の驚愕が走ったであろう。
新カラマーゾフの兄弟。ここまで大胆なタイトル、著者はあの亀山郁夫。
なるほど、ここまで大胆なのにも納得できる。
カラマーゾフの兄弟と絡めながら読み解いていくも
上巻だけで相当な量である。一筋縄ではいかない。
現代の日本、とは言え時代は1995年。
阪神大震災、そしてオウム事件と日本が震撼した年。
時代設定にこの年代を選んだのも、なるほど納得である。
旧ソ連の崩壊、そしてロシアの誕生。
国家の滅亡と誕生を目の当たりにした黒木リョウは何を思う?
まだまだ壮大な下巻へと続く途中、先を急ごう。 -
『新カラマーゾフ』が新刊書の棚に並んでいるのを見て、正直鳥肌が立った。
しかも、訳者である亀山郁夫さんの小説。(私が読んだのは原卓也版だから申し訳ないけど)
それでも単なる焼き直しなら、先日『カラマーゾフの妹』を読んだことだし、しばらく待っていただろう。
舞台は1995年の日本。
阪神淡路大震災であり、地下鉄サリン事件のあった年をクローズアップして、カラマーゾフ家を送り込むなんて、凄すぎる展開じゃないか!
と、ここで誘惑に負けて購入に至ったのだった。
前巻だけで700ページ近い量に圧倒されながらも、一気に読めてしまった。
なるほど。本家カラマーゾフのような国家的広さは持ち合わせてはいない。宗教的下地も、日本だとどうしても薄まる。だが、セクト(コミューン)の中で共同生活を送る人々と社会を繋ぐ三男リョウと、ロシアの結び付きが上手い。
リョウの言う「グローバリズムへの恐怖」と、富の集中による世界の大審問官化。つまりは世界的システムによる、人間の支配。
また次男イサムの、人間の不死化と世界の破滅。
これら90年代以降の視点と、カラマーゾフの繋がりがとても魅力的なのは間違いない。
『父殺し』云々が何を示唆しているかは、まだハッキリ読み取れていない自分の脳みそが悔しい。
村上春樹『1Q84』とも重なる。壁と卵。
あとは、新版グルーシェンカと考えられる瑠佳はもちろん魅力的なのだけど、グルーシェンカには及ばない。あまり重ねない方が「読み」としては良いのか。
カラマーゾフの女たちも、なかなかしたたかで好きなのだけど。
下巻に続く、が、なかなか道のりは険しい(笑)
「社会主義のソ連こそが、大審問官の世界だったのじゃありませんか?」
「もちろん、ですとも。スターリンが、まさに、その、象徴、でした。ところが、これからの世界は、システム、という、世界に仕える、無数の、大審問官が、支配する、のです」