俺たちのBL論

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 208
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309024417

感想・レビュー・書評

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  • BLとは、腐女子とはなんなのか.....Bl作品そのももの解説書であり、著者サンキュータツオのオタク遍歴書でもあり、腐女子の眼鏡を通して世の中の「読み方」を変える指南書。今まで知らなかった世界が一気に広がった気がする。
    自分自身は普段はBLを読むこともないし、男に対して恋愛感情を持つようなこともない。オタク文化にはそれなりに浸かっているがBLレーベルに手を出したことはなかった。まず大半の男性が思うのは「男同士の絡みを見て何が楽しいんじゃ!」という感情だと思う。僕自身もそうだったし、作中での春日さんもそうだったらしい。

    でもこの本を読んでそれら全ての疑問が一気に氷解した。行間を読み取り、自分なりに吟味して、補完する.....めっっちゃ楽しそうじゃないか。
    普段から、無意識的にそういった作業をしているんだとしたら、そりゃ腐女子は鍛えてる筋肉は男オタの比じゃないだろう。男オタの作品に対する妄想っていうのはコミケ会場をみてわかる通りどうしても「エロ」に着地してしまう傾向があって(もちろん全てではないが)多様性に欠ける。「セックス」がゴールではないという感覚。だからこそ妄想は無限に広がっていく。「二次元の性別は記号でしかない」「男なら傷付けてもいい」「母乳が出た」などなど名言(迷言)の嵐。腐女子目線というとなんとなく下世話な妄想というイメージを持ってしまっていたけど、そうではなく「世の中を解釈する手段の一つ」というタツオさんの言葉はホントに革命だった。「物事に対する見方はひとつではない」なんていうけど、アニメも漫画も映画も、まだまだ自分が思っている以上に様々な手段で楽しめるみたいだ。消しゴムと鉛筆で萌えるレベルにはまだまだ程遠いが少しずつ筋トレしていくのもいいかもしれない。

  •  ずっと腐女子脳がほしかった。
     BLや百合は読むが、既存の作品に対して二次的な意味で腐ることがない私は、ずっと腐女子脳がほしかった。
     なぜならば、もともとの作品を、新たな視点で楽しめるというのは、ただ本を読むより2倍以上美味しい気がするからである。
     腐女子脳は天性のものであり、才能が無いものには与えられないのかと思っていたが、これを読むとそうでもなく、読み方を知ることにより、腐女子視点を鍛えることができるとのこと。なんだそれすごい。天才か。

     この本はとある男性2人が、BLについて知りえたことを、一般人にも分かりやすく説明した本である。腐女子じゃなくても目からうろこだ。
     自分にとって必要なものを見つける力というか、自分と考え方が違う他人に対する優しさを鍛える意味でも良書。
     とりあえず誰が読んでも面白いんじゃなかろうか。
     (BL嫌いはやめといたほうがいいかもしれない)

  • わりとしっかりと腐女子の思考の流れを分析してて面白かったです。なるほどなーっていうところと、そうかなー?っていうところは混じってましたけど、BLを理解するための手順のきっかけみたいなところなのかも。性別は属性とか、BLは閉じたタコツボとか、表現自体が面白かったりもしました。性別は属性論はわかるなーと思ったり。囚われない発想みたいなのが理解への第一歩ですよね。とりとめのない感想笑

  • 「どうせ流行の男評論家先生のあっさいBL論だろ?腐女子は女性性を拒否している可哀想な存在とかそんなんだろ?」と軽く舐めた気持ちで読み始めたがディープだった。サンキュータツオさんはヤリ目自称腐男子ではなかったのだ。タツオさんが春日太一氏にBL講義をして洗脳してゆく(違)という内容。しかし、NL(男女カップリング)好き、黒髪ロング女性とNTR(寝取られ)シチュ好きな私からするとクリエイティブジェンダーの喪失感(勝手に命名)に襲われてしまう。時代劇ベストBLカプの発表がマニアックです。

  • やおいの時代からBLにワープしてきた私のような人間にも良書。BLの受容の仕方と萌えの構造が論理的に説明されてる。


    逆に、BLというものが自分の中で構造的に確立できているひとにはおそらく物足りないだろう。
    古典時代劇をBL的に再受容するあたりは本書の目玉のひとつなのだろうが、そんなこと、腐女子は誕生した瞬間からやっていたわけで。
    若かりし頃の大岡越前と伊織先生は最高にエロい。

    物語がポルノの様相を呈することと受容の仕方がポルノであることは天と地ほども違うのに、言葉足らずで乱暴にくくったらそら炎上もするわな、ってあたりもわかりやすい。

    そういえば、某声優の書いた文章のなかで「なぜBLCDに『喘ぎ』が必要なのか」というのがあったが、それについても本書は回答している。
    BLの性行為は生身の男性とは違った意味で恋愛の「ご褒美」であり、「喘ぎ」は行為中の承認行動である。とすればそれは、恋愛のプロセスの一つであって、欲動を煽る装置とは違った意味でまた必要なものだと解釈することが可能。

  • 項目ごとにポイントが設けられ、何について論じているかチェックしながら読み進めることが出来るライト学術書。テクストや現実世界の余白・関係性に、新たな考え方を想像し当てはめる妄想の楽しさを説いている内容。それが"BL"や"やおい"についてであることに男性的な障壁が立ちはだかるのだが、非常に丁寧に論考重ねて「読む楽しみ・考える愉しみ」を提示してくれる。考え方の提示がなされた後、男性読者がいかにその先の愉しみへ進んでいくかにこの本の行く末がある(何を言っているのか……ってこれも妄想か)。

  • サンキュータツオさんの感性で要約され噛み砕かれたBL論。『俺たち』の示す範囲に留意しながら自己責任で適切に用いれば伝道書になり得ます。

  • 「ヘンな論文」のサンキュータツオが非ゲイ男性のためのBL道を指南。個人的には対談本じゃないほうが良かったな。

  • 共感できるところと、かなり的外れに感じるところが半々…または6:4の割合くらい。
    ただ、「最終的にBLは個人的経験であり、BL観は個人によってバラバラなもの」という原則を最後まで貫いて考察していたので、共感できない部分があっても、それが彼ら個人のBLなのだなと納得して読めた

  • シンプルなのに過不足ないタイトル。
    サンキュータツオさんは以前読んで
    (『東京ポッド許可局~文系芸人が行間を、裏を、未来を読む~』)
    面白かったので覚えてる。
    BL初心者の春日さんに面白さをレクチャーしていくのだけど、
    終盤の「男はBLの絡みをどう楽しめばいい?」までいくと
    女性では書けない男性ならではの視点が出てきて唸りまくり。
    草食男子の内実ってこういうことなのか?と。
    萌えは個人的に細分化された世界で、
    BLややおいを語っていくと最終的には自分のセクシュアリティにも触れざるをえず、
    「これは精神的なもの!」というイイワケを越えて
    さらに踏み込んだ先の実感や言葉に圧倒される。
    女性の世界を、男性がちゃんと興味を持って好意的にとらえ、
    男性の視点で客観的に言葉に置き換えていく文章って本当に面白い。(子育てとか)
    BLは知的遊戯。
    余白、ちょっとした違い、行間から、
    あらゆる可能性を脳内で生み出すクリエイティブな作業。
    その視点を導入することで
    面白さが倍増する未開の地がまだ山とある。時代劇とか。
    「男は丈夫だから安心」というのはけっこう大きなポイント。
    この言葉で傷つく人もいるんじゃ、と思いつつ
    この前提あればこそ、無茶な状況に放り込んでもエンタメとして楽しめる。
    以前三浦しをんの『シュミじゃないんだ』を読んだ時にも
    BLの世界の面白さや広さを感じたし、
    今回の本でも、BLやおいを読み解き、
    偏見や誤解をとっぱらって見えてくる、他ジャンルとの共通性や共感や可能性を知った。
    じゃあBL読みますかと言われると、
    恋バナを面白がれない、恋愛小説読まない人間なので、たぶん読まない。
    絵柄が好みかどうかというのも、漫画である以上、大きな要素だし。
    私はこういう評論で十分だったりする。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。芸人。オフィス北野所属。お笑いコンビ「米粒写経」として活躍する一方、一橋大学非常勤講師もつとめる。早稲田大学第一文学部卒業後、早稲田大学大学院文学研究科日本語日本文化専攻博士後期課程修了。文学修士。ラジオ出演や雑誌連載など多数。

「2017年 『ヘンな論文』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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