アカガミ

著者 :
  • 河出書房新社
3.23
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本棚登録 : 604
レビュー : 119
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309024608

感想・レビュー・書評

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  • 2030年の日本、若者達は生や性に対する興味を完全に無くしていた。
    体だけは大人へと変化しているにも関わらず、恋愛感情を理解できない、という。
    そんな若者達や日本の将来を憂い、国が作り出した制度「アカガミ」。
    志願者をマッチングして一緒に住まわせ子供を産ませる、というもの。

    読んでいると怖くなる。
    何が怖いって、もしかしたらこんな制度を現代の日本の政府が近い将来、作り出す可能性を否定できないところ。
    時代設定もそんなに遠くはない未来の日本。
    未婚の若者が増加し出生率も低下している現状を見ると、こんな未来も侮れない。
    超合理的な結婚システム。
    けれど結婚制度を合理的にはできても、人の気持ちは合理的に操作できない。

    「アカガミ」で知り合えた二人の行く末がとても気になる。
    本物の家族となり自分達の力で真の幸せを掴み取ってほしい。

    戦時中、赤紙を受け取った若者達はお国のために戦場で敵と戦わされた。
    近未来の日本における「アカガミ」もまた少子高齢化に歯止めをかけるため、お国のために産めよ増やせよ、と若者達から自由を奪おうというのか。
    いつの世も犠牲になるのは発言力のない年若き者達…皮肉なものだ。

    「あなたのことを誰かが好きになれば、少なくとも、その誰かはあなたの顔を忘れないわ。万一、あなたが恋をして結婚して、子どもを産めば、その子どもは母親の顔を忘れないわ」
    結婚とは家族をつくるとは、本来そういうものと信じたい。

  • これも近未来。
    窪さんだからやっぱり生と性。
    設定は悪くないけどタイトルがそもそもダメ。
    「アカガミ」なんて聞いたら不穏でしょ、普通。
    あと数十年経てばみんな聞いたこともない?
    いやいやそんな馬鹿じゃないでしょう〜
    「アカガミ」来たら逃げるよね(笑)
    明るい未来なんてあるはずがない。

    近未来もので幸せになれた試しがない。
    なんてSF読まないからよく分からないけど。

    前作に続き迷走してますね。
    私が求める窪作品はこんなんじゃない、と勝手です、はい。

  • 恋愛、結婚、セックスをしなくなった若者たち。
    少子化に拍車がかかり、『アカガミ』という国が作ったお見合い制度に参加する男女たちを描いたディストピア的な小説。

    序盤から何だか不穏な空気が漂っていて、途中まではカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」を読んだ時の感覚に似てるなぁと感じる。

    ただ終わり方が少し残念。
    ハッピーエンドともバットエンドとも取れるラストだったのだけれど、どうせやるならもっと極端にしてくれたらSFとして楽しめたなぁ。

  • 近未来の日本を描いた小説。SFの要素が大きいながら本当に将来の日本にこのような制度ができてしまうのではないかと感じる。
    少子化が進み、若者が異性への興味も結婚にもそして「生きる」と言うことにも興味がなくなり、若者の自殺者が多い未来の日本。
    そこに登場するのが「アカガミ」という制度。コンピュータ等により自分に最適と思われる異性を紹介され、結婚、妊娠して子供をもうけるというシステムだ。言うなれば、現代のお見合い制度や婚活産業を国が率先して行うということ。ここで出会う若いカップルの恋愛小説のように思われるのだが、終盤は…というお話である。
    若い二人の出会いと恋愛に至る初々しい感情の変化などまるで初恋物語のようである。その感情表現はきめ細やかで、恋愛小説としても文学的に卓越した文章だと感じた。
    最後に二人の取る行動はSFとはいえ、「愛」の物語の結末ともいえるものだろう。
    恋愛小説としても、SF小説としても楽しめる作品だ。

  • 読み始めたら止まらなかった。
    ミツキとサツキ、初対面で一緒に暮らすようになり、二人がすこしずつ歩み寄って、夫婦になっていくさまがとてもよかった。初々しくて、どきどき、そわそわして。ふたりの性格も好きだな。だから、ちょっと重たいお話でも読み進めれたのかもしれない。
    ラストはなかなかザワッとする感じだった。
    国がすべてサポートしてくれるけれど、手厚すぎてこわいな・・と思ってたんだよね。
    でもほんとに未来にこんなことになってしまったら・・なんて思うとほんとこわい。自殺が増えてるというのもリアルだったしね。
    いつもの窪さんとはすこし感じが違うくて、これもまた興味深くおもしろく読めた。また窪さん読みたくなってきちゃったな。。やっぱり好き。嘘がなくて。

  • 最初から、不穏な影をチラ見せさせるような描き方で、最後にとんでもないことが起こるなと思わされるストーリー。
    制度に反対する勢力があるというのも頷ける。
    最後まできちんと説明のないシステムを政府が作り出して実行することは、ままあることだ。
    それの風刺かも知れない。

  • 「さよならニルヴァーナ」でもうこの人はいいや!と思った窪美澄、でもまた物騒なタイトルにやめておけばいいのに手を出してみたものの…やはりやめておけばよかったか。
    着想は悪くないと思う、遠くない未来にこんなことが起こり得ることは充分に考えられるのだから。
    でもなんとなく物語に入り込めないのは先入観だけではないよなと思いながら読み進めては見たもののやっぱり最後にやらかしてくれた。
    そのオチを不適合と言うのなら作家としてのデリカシーがなさ過ぎなのではないか?
    あなたの書いているのは同人誌などではない

  • こんな近未来、まっぴらごめん。
    若い男女の性欲がなくなり、生殖機能も後退、若者の自殺にも歯止めが効かない。
    これにより、政府や国が超個人的な子作りに介入してくる。「アカガミ」= 選ばれし男女は「マッチング」して「つがい」となり、最適な環境を全て与えられて出産、育児までシステムサポートを受ける。が、主人公の二人は次第に疑問を抱く。そしてあることに気づいてぎりぎりの選択を… 最終的に待ち受ける運命とは。。
    男女のぎこちない愛の育て方の段階ではまだほんわか優しい気持ちでいられたけれど、終盤に向かうに連れ空恐ろしい心持ちになってしまった。戦中の軍国主義が形を変えただけ的な。近世がここまで極端な現実にはならないとは思うけれどある種の危惧を抱いてしまったのは私だけではないような…
    何とも穏やかには終われない、でもこの若いお二人に微かな、でも確かな希望を託して物語は終わる。いや、終わらない……
    続編も出来そうよ(^_^;ふぅぅ..

    • kakerikoさん
      途中で切れてしまいます
      途中で切れてしまいます
      2017/02/19
    • 嵐さん
      いえいえ!レビュー久しぶりですもね。
      私もコメントするの何て書いてよいのかわからなくなりましたよ(笑)
      いえいえ!レビュー久しぶりですもね。
      私もコメントするの何て書いてよいのかわからなくなりましたよ(笑)
      2017/02/19
    • kakerikoさん
      ありがとうございます(;ω;)
      ありがとうございます(;ω;)
      2017/02/20
  • 日本の近未来~2020年東京オリンピックの後、青少年の自殺率は低年齢層を中心に増加。
    その理由は2020年に発表された生物学者の「2000年以降に生まれた若者の寿命は40歳までもたないかもしれない」による。
    若者に思春期がみられなくなり、異性を求める情動が欠落した。異性の身体を見たいと、触れたいとも思わない若者が増え、少子化はすすむ一方。

    ミツキは、不倫で出て行った夫のために精神が安定しなくなった母を二人で暮らし、介護職についている。
    ある店で薬を大量に飲んで自殺をしようとしたことで、ログという謎の女性と知り合う。
    彼女の言葉から「アカガミ」に登録。
    「アカガミ」は、政府の少子化対策で、ある一定の年齢の男女をカップリングして、番わせて、子をもうけさせるもの。

    ミツキの相手サツキは、ミツキとは生まれも育ちも違う青年だった。また「アカガミ」に登録した理由も違う。

    ふたりはゆっくりと距離を狭め、妊娠に成功するが・・・



    ありそうで怖い。
    恋愛の過程を、サンプルのようにとりだしてみせている窪さんの手法も面白い。
    ラストは皮肉な結末をうまく書いていると思う。
    ちょうどナチスの優生思想についてのドキュメンタリーを見たところなので。

  • 面白かった。性的な事に嫌悪感さえ抱いていたのに、まぐわいたいと思うようになる過程とか、微笑ましいと同時になんだか感動しました。
    強制的に相手をあてがうのは、チェンジもありなら結構いい制度かも、生活費も必要ないならスペックもあまり気にしなくていいし。
    でもラストには、まだ何人も産むかもしれないのに非効率的な事するなぁ、この世界の日本は金持ちなんだな、とかくだらない感想を持ってしまいました。こういう事を大真面目に考えるお偉いさんはいそうで怖い。

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著者プロフィール

窪美澄(くぼ・みすみ)
1965年東京都稲城市生まれ。カリタス女子高等学校卒業。短大中退後、広告制作会社勤務を経て、出産後フリーランスの編集ライターとして働く。2009年「ミクマリ」で第8回R-18文学賞大賞を受賞し小説家デビュー。2011年、受賞作収録の『ふがいない僕は空を見た』(新潮社)で第24回山本周五郎賞受賞、第8回本屋大賞第2位。同作はタナダユキ監督により映画化され、第37回トロント国際映画祭に出品。2012年、『晴天の迷いクジラ』で第3回山田風太郎賞受賞。2018年『じっと手を見る』で直木賞初のノミネート。2019年『トリニティ』で第161回直木賞、二度目のノミネート。

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