ねこのおうち

著者 :
  • 河出書房新社
3.45
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本棚登録 : 582
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309024721

感想・レビュー・書評

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  • アメトーーク!で光浦靖子が泣ける本として紹介してたのがこの本。
    柳美里と猫の組み合わせが意外で、しかも泣けるとはどんなもんかなと思って手にとってみた。

    4編からなる本書だが最初のお話「ニーコのおうち」。これ泣いちゃったなぁ。
    何しろ切なくって。おばあさんもニーコも。
    デスマス調で童話っぽい雰囲気で語りかけて来るのが追い打ちをかける。

    柳美里ってこんな小説書く人だったの?
    自己顕示欲が強くて、私小説を描く典型的な作家だと勝手に思っていたけれど、この小説は全く違う。
    自己を捨てた他者に寄り添った小説だ。

    インタビューを読んでもわかるように、東日本大震災が彼女に与えた影響ってずいぶん大きなものだったようだ。
    苦しんでる人たちの救いとなる小説を書いたというこの作品。その意義は十二分に感じられた。

    とはいえ、猫を愛する人間として単純に、涙なしには読めない猫小説の傑作として読んだ方がいいのかもしれない。
    嫌なこと辛いことみーんな忘れちゃって、ただ膝の上に乗る猫を撫でる幸せ。
    それに代わるものなんてこの世にあるだろうか。

  • 公園に捨てられた猫をめぐる人々の物語。
    どこか童話的な語り口です。
    柳美里さんがこんな本を書くとは思わなかった‥

    雑種だからと、あっさり捨てられてしまった子猫。
    近所の猫を気にかけ、時々えさをやっていた渡辺さんのおばあさんが、飼うことにします。
    ニーコと名づけた猫と、とても仲良く暮らしていたのですが‥

    おばあさんが病気になって入院させられ、ニーコは再び公園へ。
    6匹の子猫を生みます。
    生き延びた子猫たちを拾う人も、飼えない人も、それぞれに事情がありました。
    子供の間のいじめや、猫嫌いの人‥
    容赦のない現実も、太い筆で描くようにばっさり書かれていますが。

    動物病院の先生や、すべてを見守っている人も。
    そして、かって捨てた経験を悔やむ人もいました。
    老人ホームで猫を飼うことにして、暮らす人の心を癒すとは。
    記憶もあまりなくなっているおばあさんに駆け寄った猫、おばあさんがニーコと呼んで撫でている猫。
    涙せずにいられません。
    こんな老人ホームに住みたいものです☆

  • 子猫が捨てられた公園から物語が広がっていく。
    拾い育てたおばあちゃん、この公園に毎日訪れる田中さん、
    近所の小学生たち、その家族。
    大人になった猫が産んだ子猫たちから又広がる物語。

  • 目次を見て全く違う話かと思い読み進めたら、4つの環境で飼われることになった猫と飼い主達の運命が絶妙に絡み合っていて、率直な感想として面白かった。
    他の方のレビューでは子供たちのいじめの描写が酷く後味が悪い作品、などと評されていたこともあり覚悟していた。
    だが「留香」の心情の描写が小学3年生とは思えないほど大人びていて、大人同士でもこんな気まづいシーンはあるなと感情移入してしまう場面が多々あった。
    読んでいて辛い場面もあったが、最後には人の動物を思う気持ちの温かさが残って、読み応えのある作品でした。

  • 久々に感動を与えてくれる本に出会った。読み終わるのが勿体無くて何回も読み直しながら読み終わった。最初の章から涙が止まらなかった。物語口調で書かれているのも良かった。柳美里さんの小説は何冊か読んだ事があるけれど、こんなに優しい文章を書く人だと思ってなかった。優しい中に現実の残酷さを淡々と綴っていて、途中辛くなったりしたけれど、最後の締めくくりで物語が繋がった。人と人との縁や優しさや温もりに気持ちがほっこりする場面もあり。何より猫の持っている癒しを知っているだけに読んでいて、うんうんと何回もうなづいたりした。この小説は多分私の宝物になるだろうな!装丁もとても綺麗。読んで良かった。

  • 悲しいこともかいてあったけど、きっと優しい気持ちでゆっくりかいたんだろうとわかったから、ゆっくり読みました。
    だいたいの動物は好きだけど、猫には特別幸せでいてほしいと思う。自分の猫だけじゃなくて全猫。それで、猫好きな人は全員博愛家でいてください。みんなで猫を大事にしよう。
    先月わたしの猫が死にました。誰にも、普通の人には誰にも今まで言えなくて、一人で悲しく過ごしたけど、楽しい思い出ばかりで、これは大きなドーナツの一部分で、これからもわたしは全猫を愛す。

    • ちゃこさん
      二匹の猫と暮らしていましたが、うちも先月一匹がいなくなってしまいました。9年近く一緒に過ごし、家族みんなでかわいがっていました。残された猫は...
      二匹の猫と暮らしていましたが、うちも先月一匹がいなくなってしまいました。9年近く一緒に過ごし、家族みんなでかわいがっていました。残された猫は、毎日夕方になると探しているかのように鳴くし、私も悲しみに暮れていて、少しずつ、立ち直ってきたところで、この小説を読みました。
      幸せに暮らす猫、悲しい目に合う猫、後半は
      涙があふれ、愛猫を撫でながら読みました。
      初めの章は、現実にあることと思いながらも
      心苦しかった。私は、愛猫を最後までかわいがってあげたい。
      2016/09/22
  • 始めて読む作家さん、タイトルに惹かれて読んでみた。
    猫を撫でながら読みたい本かと思ったら、主人公の猫が毒団子食べて死んだり、11階のマンションから落ちたりと、え!ってなった。

    各章にそれぞれ主人公の猫が異なるが、それぞれの猫は兄弟。

    やっぱり猫はいいねー 

  • ニーコとその子供たちと人間のはなし。
    世界中の猫が幸せでありますように。

  • 最初だけ少し読んで一年以上積読に。
    社会人2年目になり仕事の楽しさを感じつつも、辛さも増えてきた頃に読みました。

    全ての話が繋がっていきます。
    読み進めると、それぞれの章で人間らしい感情が自然に湧いてくる。
    最後は優しい心に包まれて終わる。

    やっぱり読書はいいなあ、久しぶりにゆっくり過ごせたと満足しています。
    寝ても覚めても仕事、常に忙しい。そんな人に読んでほしいなと思います。

  • 私は小動物を飼った事が無い、接する機会もなく、どう接して良いかわからない、たまに縁側にひょっこりと野良が日向ぼっこやら、たまーに、出産している時がある
    この本を読んで、猫好きならわかるだろうなと、勝手に情景が浮かんでこれた

    動物を飼うなら最後まで世話して欲しいと願う

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著者プロフィール

柳美里(ゆう・みり) 小説家・劇作家。1968年、神奈川県出身。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」に入団。女優、演出助手を経て、1987年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。1993年、『魚の祭』で、第37回岸田國士戯曲賞を受賞。1994年、初の小説作品「石に泳ぐ魚」を「新潮」に発表。1996年、『フルハウス』で、第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞を受賞。1997年、「家族シネマ」で、第116回芥川賞を受賞。著書多数。2015年から福島県南相馬市に居住。2018年4月、南相馬市小高区の自宅で本屋「フルハウス」をオープン。同年9月には、自宅敷地内の「La MaMa ODAKA」で「青春五月党」の復活公演を実施。

「2020年 『南相馬メドレー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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