ラジオラジオラジオ!

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 263
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309024738

感想・レビュー・書評

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  • 「ラジオラジオラジオ!」
    週に一度、収録で「カナアンドトモのラジオラジオラジオ!」はオンエアされる。そこら辺の男子はタマネギと同じくらいにしか思えない華菜は智香のことをひそかに想っている。ラジオを二人でやろうと決めた頃、始めた頃は盛り上がっていたけど、だんだん二人のラジオ番組(進路や将来に対する考え方も含む)に対する温度の差が広がっていって、ある時から「カナの、ラジオラジオラジオ!」になってしまう。

    ”わたしたちのラジオ番組を、わたしのラジオ番組にしなければいけない。いくしかない。”=99ページ=
    ”消えていってしまうものを、今この瞬間にも積み重ねている。”154ページ

    広くはないブースに今までは二人でいたけど、一人になったブースは広くて寒々しい。日常生活でもパーソナリティーとしても微妙に空回りし続ける華菜。自分のことで頭がいっぱいになってしまってトラブルも起こってしまう。痛々しい…。生放送でトモに「聴いてるかな?」と問いかけるシーンとか切なくなった。

    10代って空回りが多くって、周囲のことを気にする余裕もなくって、自己満足とエゴと、そういうので満たされている空間に生きている。だけど景色は無駄にキラキラして見えて懐かしさをおぼえた。

    「なんかわたしたちって水槽の中にいる気がしない?」=24ページ= という感覚に母校の校内が浮かんできた。もっと長いお話だったら、もっと良かったのにな。少し残念な気がする。

    「青と赤の物語」
    カトチエさんにしては珍しいお話だった。
    「物語」が国民の前から隠されてしまったある国の「赤」と、「青」が、自分たちのための物語を見つける…というストーリー。赤が植物の図鑑だけを読み、青が人体に関する図鑑を読んでいた理由が明らかになってゆく。『ダ・ヴィンチ』に掲載されたものらしい。

  • 舞台は2000年初め。東京に憧れる女子高生の華菜が、いずれ上京してテレビ局で働くという夢の足掛かりの為、地元ラジオ局のパーソナリティーとして、友人の智香と番組を担当している。
    「ラジオ」とタイトルにあるだけに、ワクワクと番組作りに奮闘する、高揚感に溢れた内容なのかなと思っていたが、加藤さんらしく、10代特有の青臭さや背伸びっぷりが印象的だった。高3ということもあり、進路を意識するにつれ、少しずつ相方の智香との距離が生まれてくる。焦る華菜だが、距離は広がるばかり。
    迷走する華菜の頭でっかちっぷりが如何にも地方の高校生という感じで、自分にもいろいろ思い当たることもあり、アイタタタ…でした。いつも加藤さんの小説を読むと、心のあちこちを引っ掻かれる。今はいい大人だから、華菜の行いをたしなめたくなる気持ちにもなるけど、この年代の頃を思い出すと、コッ恥ずかしくなるくらい周囲が見えないんだよなぁ…。でも、様々な経験をして一皮むけた華菜がどんな番組作りをするか、興味あります。
    短篇が多い加藤さんだけど、中篇もなかなかいいですね。もっと中篇~長篇の作品も読みたいなと思いました。そして、加藤さんのラジオ番組も是非聴きたいと思う。成長した華菜の姿を重ねてしまいそうだなぁ。
    同時収録の短編「青と赤の物語」、ちょっとファンタジーな舞台設定が新鮮でした。ドキッとするけど、是非ティーンに読んでほしい内容。

  • 『ラジオラジオラジオ!』と『赤と青の物語』の2編が収録されています。

    表題作は、ローカルのFMラジオのパーソナリティーを務める女子高生、華菜のお話。
    華菜は東京に憧れていていつかはマスコミ関係の仕事をしたいと思っている。
    その足掛かりに友達の智香を誘ってパーソナリティーに応募。
    週一でラジオをすることに。

    ただ高3で受験生ということもあり、智香がラジオから抜けたいと言い出す。
    華菜は人と違う人間だってことに重きを置いてるというか個性的と思われたいって欲望がつよくてわりと他人に興味がない。

    そんな中、友人のアヤちゃんがフラれたことをラジオで話したことで露呈していく。

    大人の友人である、なつねえさんと付き合うのも実は自分のため。
    自分本意だということに気づいた華菜。

    高校生のときってこういう自己顕示欲みたいなもの、たしかにあるかもなーと思った。
    なんか痛い。少しひりひりした。

    でも初めて生放送でやったラジオは好感が持てたかな。

    この経験を通して華菜が成長するといいなーと感じたラスト。


    『赤と青の物語』は物語が禁止されまったくない時代に育った中学生の赤と青のお話。
    赤と青というのはあだ名のようなもので、赤が女の子、青が男の子。

    いつも図鑑を図書館で読んでいた二人。
    青が図書館の地下には物語があると知り、ふたりは夜の図書館へ忍び込む。

    そこで見つけた物語を貪るように読むふたりはネガティブなことを考え、それを実行しようとしていたのをやめることを決意する。

    物語の持つ力というのは、本当にあると思う。
    勇気付けられたり、元気をもらったり。
    フィクションの世界に救われることはあるから、物語がない世界なんて本当に考えられないし、そんな世界嫌だなーと思った。

    物語のおかけで、前向きになれた二人はすごく素敵でした◎
    読み終わった後、ほっこりと温かい気持ちになりました。

  • 「私は私の水槽の中にいる」
    まわりが見えた瞬間の鮮やかさがとても印象的だった。

    「共感できないけど、理解はしたい」これ、改めて沁みた。みんな違うから。でも、違うことは悪ではないし、同じことが正解ではないから。

  • 表題作「ラジオラジオラジオ!」と「赤と青の物語」の2篇。
    前者は自分が前にツイキャスでラジオっぽいの配信してた時の気持ちを思い出した。有名になりたいという気持ちよりも誰かに聞いてほしいなあ!って気持ち。久しぶりにまたそういうのやってみたいなあ……。
    後者は物語自体が無い時代に物語自体と出会った少年少女の話。すごい共感できる。小説が、物語が無かったらきっと今頃死んでたかもしれない。自分は幸せだと思った。

  • 加藤千恵の新刊。
    ラジオのパーソナリティをしている女子高生の話です。
    なんだか当時の自分をみているようで胸が痛かった。
    東京には自分の欲しいものが何でもあると無条件に信じていたあの頃。
    今あるものが見えず、常に何かを求めるだけだったあの頃。
    自分は特別なんだ、と思いたいし思っているのに、その特別さの手がかりが本当はみつかっていないもどかしさ。
    そんな女の子の心が、不器用なラジオ放送を通じながら水に溶かすように伝わってきました。ほろ苦い青春だ。
    そしてもう一つの『赤と青の物語』もあわせて、高校生のうちに読みたいものだった。
    加藤千恵さんティーンズ向け小説も素敵です。

  • 以前から声がすきだった友人のトモを誘い地元ラジオ局に応募したことで番組を持っている高三のカナと友人達の日々。手作りなラジオや個人HP運営の様子がリアルで昔を思い出して懐かしくなる。歌も知っている時代のものが多く親近感。他、物語が一切禁止された国の短編は中学生の男女の話なのにファンタジーのようで不思議。

  • タイトルに惹かれて(*^^*)

  • 短編2本。加藤作品はこちらサイドが好き。青少年にも安心しておすすめできる。

  • カナはバイトで買ったパソコンでインターネットをするのが一番の楽しみの、地方都市に住む高校三年生。
    一刻も早く退屈なここを出て、東京の大学に行って、将来はテレビ局で働きたいと思っている。
    「東京はここよりも、インターネットの中の世界に近い気がする。早く本物の場所に行きたい。」
    ある日、カナは 地元ラジオ局のパーソナリティー募集をフリーペーパーの広告で見つける。
    以前から声が好きだった友達のトモを誘って面接を受けたところ、ラジオのパーソナリティーとして、週に一回、「ラジオラジオラジオ! 」という番組を持つことになる。
    だが進路決定が近づくにつれて、二人の未来への夢は次第にすれ違い始めて……

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著者プロフィール

1983年、旭川市生まれ。2001年、歌集『ハッピーアイスクリーム』で、高校生の時にデビュー。現在、小説・短歌・漫画原作ほか、幅広い分野で活躍。著書に『ハニー ビター ハニー』『あかねさす』など。

「2019年 『ラジオラジオラジオ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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