十年後のこと

  • 河出書房新社
3.11
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本棚登録 : 140
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309025193

感想・レビュー・書評

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  • 10年後のことを35人の作家さんたちが描くアンソロジー。
    様々な日常がありました。ディストピアな薫りがするお話やダークな色のお話が好みでした、ぶれない。
    海猫沢めろんさん、小山田浩子さん、早助よう子さん、日和聡子さん、森絵都さん、吉村萬壱さん。早助よう子さんは初めて読みましたが他の作品も読みたくなりました。
    中村文則さんはこの短さでもどうかしててさすがでした。中村という作家のジメッとしてる方。。
    東欧情勢で平和的解決を祈る日々には、海猫沢めろんさんのお話のラスト一文が残りました。「とにかく、今日は殺さなかった。」
    早助よう子さんのお話のラストの、母親の子どもへの呼びかけも凄かった。「ねえ、教えて。無希望の社会に生まれるって、どんな気持ちがするの。それって、どういう気分なの」(人は生まれ落ちるとポイントカードをもらい、人生の段階を踏み経験値が上がるとカードにポイントがたまっていく世界。とくにポイントを交換することはないようです)
    玉石混交だけれど面白かったです。

  • 「10年後」がテーマの、35のショートショートアンソロジー。幅広いメンツで、初読みの作家さんも多いのでお得かな、と思ったが。全体的にシュールでつかみどころのない作風が多く、終始ざらざらした感触を拭いきれなかったような。改めて、ショートショートって難しいなと思った。ついつい星新一的なオチを期待してしまって…。
    そんな中でも面白いなと思ったのは、壇蜜“ふたつの王国”。わかりやすく、起承転結も綺麗でよかった。ショートショートを書き慣れている森絵都“Dahlia”はさすが。短いながらも色々考えさせられる内容だ。絲山秋子“飛車と騾馬”は、仙台の東一連鎖街が出てきて驚いた!「小松とうさちゃん」も是非読んでみたい。松田青子“履歴書”は、ジェンダーを皮肉った内容で、色々タイムリーで刺さったなぁ~。小山田浩子“延長”は不気味さが際立ったホラー。
    好き嫌いは分かれるかもしれないが、様々な作風をお試しで読めたという意味では収穫有。

  • 10年後、をテーマにした多様な短編集だ。ページにして4ページというごくごく短い掌編が集められている。
    寄稿している作家も小説家から漫画家、タレントとさまざまで、話も詩編のようなものからブラックユーモアに満ちたもの、おとぎ話風から近未来を描いたSFまでバラエティに富んでいる。
    隠れテーマとして、東日本大震災があるように感じたのは、作品が発表された時期によるのだろうか。
    大きな災厄に見舞われた後の世界を描いたような作品が多く、10年後、というものを、どちらかというと暗く捉えている作者が多いのだなと思う。
    個人的には森絵都の『Dahlia』が好きだなと思った。大いなる災厄(原発事故を暗示しているように思う)で傷ついた世界で、見舞うことを職業としている女性が絶望の先に見つけようとしている希望を描いている。
    たった4ページで、こういう世界が描けるのだなと思う。

  • 早助よう子 ポイント・カード
    雪舟えま 渡りに月の船
    がよかった
    P204。褒められたい欲求が人一倍強いのに、じっさいにはほんのちょっとの感謝の言葉で焼け切れそうになるらしく、耐えられないように話をそらしたり涙ぐんだりするのだった。そういうぎこちなさを目にするたび、彼の中心にある水晶のような輝きを眺めている気持ちになる。生きることにたいするういういしさを見るとき俺はその人を美しいと思う。

  • SFだったり、小市民のぼやきだったり、ファンタジーだったり、エッセイ風だったり
    多種多様なジャンルの著者による、あらゆる「10年後」の話
    山戸結希監督の「君を得る」が個人的にめっちゃ好きな雰囲気だった…。
    映画はどれも拝見したことはないのですが…繊細な人なんだろうな…。
    雪舟えま先生の「渡りに月の船」は、久々のみどたて短編
    月に移住した世界線のみどたてですが、なんだかプラトニックにラブラブでこっぱずかしかったな…。そうそう、緑ってこんなに盾にデレデレだし、内心盾も緑にデロ甘なんですよ…。

  • 季刊文芸誌『文藝』2014年秋と16年秋の「10年後のこと」特集を、著者名のアイウエオ順に並べた。テーマ的にこういう短いものは発想が月並みになりがちだから苦吟するだろうし、緻密にまとめる必要があるので枚数割なら原稿料が不利ではないか。顔見世的サービス。10歳の「十年後」は人生でもっとも主要な岐路・選択があるだろうし、死亡から遡っての十年は、同年齢を同時代に比較しても最も差異が嵩むだろう。俺の余命もそんなもので活用しなくてはいけない、しかし「健康を保ち、困窮を避ける」以外に有効なライフの消費法が見つからない

  • 吉村萬壱の希望 がベスト

  • 35人の書き手によるショートショート。それぞれ一篇は短いものであるが読んでいる方は頭の中をクルクルと回転させねばついて行けない。意味のわからないものもあったけど、楽しめた。

  • 壇蜜さん ご結婚おめでとうございます。

  • 10年後、確かに想像通りにはなっていない。
    自分にとって、これまでの10年と、これからの10年は違い過ぎる。35人の描いた10年後、全く共通項が無い、つまりは何が起きるかわからないという事か。

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。

「2023年 『ゲンロン15』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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